お葬式の「いま」を考える
お葬式の「いま」を考える
生活保護受給者はお葬式ができない?
生活保護受給は財産を保持しないことが前提
生活保護を受給するには、基本的に財産を保有していないことが前提となっています。財産がある場合はそれを処分して生活費にあてることが可能なためです。
以前、生活保護受給者が受給された金額を学資保険として貯蓄していたことが発覚し、没収されたというニュースが流れたことがありました。
様々な理由で生活に困窮している人に向け、税金を使って最低限の生活を保障するのが生活保護であるため、数百万単位の貯蓄を持つことは基本的に認められないのです。
生活保護受給者が最低限のお葬式を施行できる制度
では生活保護受給者となった時点でお葬式を挙げることができないかというと、そんなことはありません。「葬祭扶助制度」という国の定める生活保護法があり、生活に困窮している人が一定の条件を満たせばお葬式の費用を受給できるというものです。
生活保護は、国民が最低限の健康で文化的な生活を送れるように国が保護する法律ですが、お葬式を行うことも「健康で文化的な生活」の一つとして国が認めているということになります。
以下に詳細をご紹介します。
●葬祭扶助制度の適用条件
生活に困窮しており、最低限の生活を送ることができない経済状態であること
●葬祭扶助の受給対象
・お葬式を行う遺族(配偶者、父母、子、兄弟姉妹)が生活困窮者である場合
※生活保護の受給有無は問わない
・生活保護受給者自身が死亡し、そのお葬式を行うべき親族がいない場合、お葬式を行う意思のある第三者
●葬祭扶助の範囲
1)検案
2)遺体の運搬
3)火葬または埋葬
4)納骨その他葬祭のために必要なもの
4)の「その他葬祭に必要なもの」については様々な考え方がありますが、生花代や香典返し代には適用されないようです。
●葬祭扶助の費用
級地別 | 大人 | 子供 |
1級地・2級地 | 201,000円以内 | 160,800円以内 |
3級地 | 175,900円以内 | 140,700円以内 |
※級地とは、生活保護支給額を地域の物価によって分ける際に使用される区分のこと。1級地は東京、大阪などの都心部で最も金額が高い。
上記は一般的な例となりますが、葬祭扶助制度の運用は各地方自治体に任されているため、自治体によって多少の違いがあります。
お葬式費用の全国平均が200万近いことを考えると、20万円程度で何ができるのかと考えてしまいますが、一般的なお葬式を行うことはやはり難しくなります。
内容については、費用も含めて葬儀社に相談してみると良いでしょう。
葬祭扶助費用の申請方法
自治体が管轄する福祉事務所で必要な手続きを行います。ケースワーカーに確認すれば詳細を案内してくれるでしょう。以下は申請の際に基本的に必要になる情報です。
●申請者の住所
●故人の氏名、生年月日、お葬式執行人との関係
●死亡診断書
●遺留の金品の状況
葬祭扶助制度の注意点
葬祭扶助制度を適用する場合、必ず事前の申請が必要になります。
葬祭扶助制度適用には様々な条件があるため、申請すれば必ず支給されるというものではありません。
また、お葬式を行った後に申請しても、適用外となってしまうため注意が必要です。お葬式を行って葬儀社に費用を払った後では、費用を払える能力があったと見なされるためです。
このように様々な条件のある制度ではありますが、条件をクリアすればお葬式をあきらめずにすむ救済の制度でもありますので、希望する場合は一度自治体に問い合わせてみると良いかもしれません。