おそうしき読本

さいごの「別れ」について考えよう。

column お葬式の「いま」を考える

VOL21

「子供に迷惑をかけたくない」は間違い?

「子供に迷惑をかけたくない」ために、お葬式は行わない、墓もいらないという親たち。しかし、それは本当に子どもにとって迷惑なのでしょうか。現在増えつつあるお葬式離れの現状と、お葬式が持つ本来の意味について改めて考えてみましょう。

お葬式離れが増えつつある現代

おじいちゃん世代から孫までが同じ屋根の下で生活するようなライフスタイルががらりと変わり、親族とのつながりも希薄化しつつある現代。昔は親族から知人を多く招待して行われる一般葬が主流でしたが、現在はごく一部の親族のみで行う家族葬や、通夜から告別式までを1日で行う1日葬を選択する人が著しく増えてきました。また、「子供に迷惑をかけないように」との想いから、お葬式を行わずに火葬だけを行う「直葬」を選ぶ人や、代々受け継がれてきたお墓には入らず、散骨などを希望する人も増えています。

直送や散骨は、一般葬で大勢を呼んだりお墓を管理したりする必要性がなく、子供の負担が軽減されると思われます。残された子供に負担をかけたくないという想いは叶いますが、それは子供にとって必ずしも良い選択ではないこともあります。

 

子供に迷惑02

 

親の死後に子供が対応すること

では、自分たちの死後、実際に子供達にはどのような負担が及ぶのでしょうか。具体的には以下の内容に対する対応が必要になります。
【1】通夜・葬儀・火葬
【2】遺品の整理、処分
【3】相続の手続
【4】墓の準備、納骨
【5】墓参り、墓の維持
【6】法要

細かく言えばもっと色々ありますが、おおまかにはこのようなことに対して時間や費用がかかります。中でも【1】の通夜・葬儀・火葬と【4】の墓の準備、納骨に関しては具体的に費用がかかるため、費用を残しておくかそれ自体を行わないという選択をしなければ、子供たちが負担をすることになります。もちろん悲しみの中での気持ちの負担も少なくありません。こういったことから、親世代が子供を思ってどちらも負担せずにすむようにしようと考えるようです。

故人をしっかり送り出せなかったという後悔

お葬式は、故人があの世へ安心して行けるようにと送り出してあげる儀式です。僧侶を呼んで読経してもらい、旅立ちの準備をしっかり整えてあげられる大切な時間です。「お葬式をしなくていい」と親から言われて簡単なお葬式を選択したものの、「本当にこれでよかったのだろうか」「本当はしっかりお葬式をしてほしかったのではないか」という気持ちが残ってしまうこともあるようです。

一般的なお葬式は何かと用意しなければならないことも多く、また親族がまったく知らない人達への気遣いもあるため負担はありますが、「しっかりと送り出してあげられた」と満足感を感じる遺族もたくさんいます。

 

子供に迷惑03

 

故人の死とゆっくり向き合えなかったという後悔

お葬式はまた、故人を送り出してあげる儀式であると同時に、故人の親族や知人が故人との死にゆっくり向き合う大切な場でもあります。親の死は、子供にとって想像以上に大きなものです。親の死を受け入れ、ありがとうという気持ちを持って送り出すためには、お葬式というおごそかな儀式や、僧侶からの温かい言葉、故人を知る知人との会話などで、ようやく整理できることもあります。

このようなやりとりを一切省いた簡素なお葬式では、遺族の心に整理がつかないまま終わってしまうこともあり、後悔が残ることもあるようです。

このように考えると、実はお葬式は故人を送り出すだけでなく、遺された遺族のための儀式でもあるということで、これについては「グリーフケアとお葬式」でも詳しくご紹介しています。

 

親や先祖に会う場がない

親の死によりお墓の管理を余儀なくされると、場合によっては遠方のお墓へ定期的に通わなければならない人も出てくるでしょう。このような事態を避けるため、「お墓を作らなくていい」という親も増えています。

確かに、お墓の管理には金銭的な負担があるだけでなく、お墓の清掃などで何かと手間がかかります。しかしながら、お墓は親や先祖に出会える大切な場所。年に一度でも親のことを考えられる場所があるというのは、子供にとっても重要な意味を持ちます。また、代々続いてきたお墓を自分の世代で終わらせてもよいものかと悩む人も多く、「やっぱりお墓を建てればよかった」と後悔する人もいるようです。

「お葬式をしない」「お墓を建てない」という選択肢は、残された子供の負担を軽減するための選択肢のひとつです。しかし、場合によっては後悔につながることもあります。親も子供も後悔しないようにするためには、子供はどうしたいのかをしっかり聞いておくことが大切です。

 

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