おそうしき読本

さいごの「別れ」について考えよう。

column お葬式の「いま」を考える

VOL29

ドライブスルーのお葬式

2017年、長野県上田市の葬儀場が「ドライブスルー葬儀場」をオープンして話題になりました。ワンクリックでお坊さんを注文できる「お坊さん便」、お墓の賃貸版である「レンタル墓」、宅急便を利用した納骨である「送骨」など、時代に合わせて様々なお葬式や供養のサービスが生まれる中で登場した「ドライブスルー葬儀場」とはどのようなサービスなのでしょうか。

ドライブスルー葬儀場とは

ドライブスルー葬儀場とは、その名の通り、車から降りずに供養のできるシステムです。ドライブスルーでお葬式に参列を希望する場合は専用のレーンに進み、タブレット型の芳名帳に名前や住所を登録し、香典と共に葬儀場のスタッフに渡します。
車内での焼香は火をつかわない電熱式で行われ、遺族はモニタ越しにドライブスルーの焼香の風景が見られるようになっています。

オープン当初は話題性が高かったこともあり、ネット上で賛否両論が繰り広げられました。
革新的であるがゆえに、不謹慎であるとの声が多かったのも事実です。

現在行われているドライブスルー葬は、身体的な事情でお葬式に参列できない一部の参列者が車中から参列し焼香をする仕組みが主な趣旨です。
そのため、お葬式そのものを完全にドライブスルーで行うわけではありません。

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供養に込める思い

高齢化が進む中、お葬式や供養などが現実的に身体の負担になるケースが増えているのは事実です。

自身ではお葬式に参列できなかった高齢者が、こういったシステムのおかげで参列できるようになったという声もあります。故人のお葬式に立ち会うことができたという思いを持てることで、生前親交があったにも関わらずお葬式にも出ることができなかった、という後悔の念を持ち続けないで済むかもしれません。そういう意味では、メリットもあると言えます。

一方で、こういった斬新なシステムが広がっていかないのも現実です。
それは利便性と、供養に込める思いのギャップを埋めるには、時間がかかるということかもしれません。

利便性だけを追い求める結果になる可能性も

もともとの目的が身体的に不自由な人の参列を目的にしていたとしても、中には時間を短縮したいがためにドライブスルーで焼香を済ませたいと考える人が出てくる可能性も否めません。

極端なことを考えると、本来のお葬式には誰も参列せず、全員がドライブスルーで焼香を済ませて帰るという事態になる可能性も無くはないのです。それが良くないとも決めつけられませんが、故人との最後のお別れをする場としては簡略化しすぎと感じる人も多いでしょう。

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グリーフケアから考える

グリーフケアとお葬式」でもご紹介している通り、お葬式はグリーフケアの意味を持っています。大切な人の死を受け入れるには、誰しも時間がかかるものです。

お葬式という別れの儀式を経ることで、一歩前に進むことができたという遺族の声も多く聞かれます。
参列者と顔を合わせ、会話を交わすことも大切なグリーフケアの一つです。
お葬式には、故人を悼む気持ちを全員で共有するという大切な役割があるのです。
それがドライブスルーのお葬式で解決できる問題であるかどうかが、今後この方法が広がるかどうかのポイントになるでしょう。

 

 

 

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