おそうしき読本

さいごの「別れ」について考えよう。

column お葬式の「いま」を考える

VOL14

地域のお葬式事情-名古屋のお葬式

生活形態の変化によって少しづつ様変わりするお葬式ですが、昔ながらの伝統を大切にする地域があります。お葬式の「いま」を考えるとともに、受け継がれる習わしも考えてみてはいかがでしょうか。変わった風習に感じることも、その理由を知ると違った思いで受け止めることができるかもしれません。

お葬式におけるマナーや習わしは、地域によって大きな違いがあり、自分の地元では常識であることも、地方へ行けばまったく違うことも。お葬式で遠方へ出向くような場合は、その地方の葬儀の特徴を予め把握しておいた方が無難でしょう。今回は、名古屋のお葬式についてご紹介いたします。

名古屋の結婚式はきらびやかなイメージがありますが、お葬式も同じように盛大に行われるかというと、そういうわけではありません。一般的なお葬式のように、つつましくしめやかに行われるお葬式がほとんどです。
但し一部で独特な風習がありますので、もしものときのために覚えておくと役立つでしょう。

通夜に持参する「お淋し見舞い」

お淋し見舞いとは

愛知県の一部では、通夜に参列する際に「お淋し見舞い」というものを持参する風習があります。お淋し見舞いは、香典とは別に持参する手土産のようなものです。香典のように香典返しなどはなく、通夜の控室などで気軽に分けあうものとして扱われます。

通夜の夜は集まる人もまばらなことが多く、親族や関係者などが待つ時間が多くあります。このような場で気軽に食べられるようにとの意味を込めて、参列者はお淋し見舞いを持参するようです。故人が淋しがらないよう、お淋し見舞いをもらった遺族はすぐテーブルなどに出し、遺族や持参してくださった人を含めて皆で分け合えるようにします。

 

名古屋葬式1

 

お淋し見舞いとして持参するものは人によって様々ですが、一口サイズのケーキやお饅頭、お菓子の詰め合わせなどが多い傾向があります。小分けになっていて、残れば持ち帰りできるものが良いようです。中には手作りのぼた餅や、お寿司、お酒などを持参する方もいます。
お葬式の小規模化が進む最近では、皆が食べ物を持参すると食べきれずに傷んでしまうことも考えられ、お線香などを持参することもあるようです。


現金での渡し方

お淋し見舞いは、手土産として食べ物や飲み物を持参する他に、現金で手渡すという選択肢もあります。このような場合は、香典とは別の不祝儀袋に包み、「御淋見舞」と記載して香典と一緒に喪家の方へ渡しましょう。「御淋し見舞」「淋し見舞い」「御淋見舞」「御淋見舞い」どの書き方でも間違いではありません。

お淋し見舞いを現金で渡す場合の金額は、お菓子の詰め合わせを買える程度の額(2~3千円程度)を包むと良いでしょう。香典の金額が1万円以上の高額であったとしても、それに見合うようにお淋し見舞いを高額にする必要はありません。

名古屋葬式2

 

出棺時の「白布」

名古屋のお葬式ではまた、出棺する際に、棺を持つ男性の額へ三角の白布を着けるという風習があります。白布は、白い紙で代用される場合もあります。

三角の白布は、死装束のひとつで、「宝冠」と呼ばれるものです。白布の白は、故人との別れを意味しています。出棺の際、棺を持つ男性陣が故人の死装束と同じ色のものを身に着けることで、旅立つまでの間は故人のそばに寄り添うという思いを表現しています。

これも愛知県の一部で伝わる風習で、愛知県民でもこの風習を知らない人は多いようです。

 

涙汁

お葬式では、お葬式後に行われる精進落としにて精進料理を食べますが、愛知県では、ここで胡椒や唐辛子が入った汁が出されることがあります。これは涙汁と言われるもので、胡椒や唐辛子がふんだんに入れられているため辛味があります。三重県の一部でもこの習慣が残る地域があるようです。

涙汁には、供養のために辛い物を飲んで涙を出すという意味合いや、長きに渡るお葬式での疲れを癒すという意味が込められているようです。村や町によって出し汁を使ったり使わなかったり、胡椒を加えるか唐辛子にするかなどその作り方は様々です。涙汁の作り方は広く公開しないため、地域や家によって作り方は異なります。

 

名古屋葬式3

 

少し変わった風習ではありますが、すべてその由来が分かると納得の習慣ばかりです。よく分からない時や振る舞いに困るときは、その場にいる人に聞いてしまうのが間違いないかもしれません。

 

 

 

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