お葬式の「いま」を考える
お葬式の「いま」を考える
沖縄のお葬式
沖縄のお葬式の特徴
●檀家制度がない
沖縄のお葬式の大きな特徴は、檀家制度がないという点です。江戸時代に寺請け制度が導入されて以来、本州ではお葬式やお墓の設置を菩提寺にお願いするのが一般的です。しかし、江戸時代の頃の沖縄県は江戸幕府に属さず、琉球王朝として独立した存在でした。このような背景から沖縄県では菩提寺という考え方がなく、お葬式を行う場合は、どの宗派のお寺に依頼してもよいとされています。
●「死」に対する考え方
沖縄では、琉球王朝時代から多神教宗教である琉球神道が信仰されています。琉球神道は神道と同じように先祖崇拝を重んじ、故人を含む祖先へ畏敬の念を抱きます。
このような考え方から、妊婦とその夫は臨終からお葬式までの一連の儀式へ立ち合うことはしないのが沖縄の風習となっているようです。
沖縄のお葬式の風習
●一般人でも新聞に訃報を掲載する
沖縄では、一般人が新聞に訃報を掲載するのは一般的であるとされています。本州でも地方へ行けばこのような風習が強くなる傾向がありますが、沖縄の地方紙などでは訃報専用ページがあります。訃報ページには、故人名や喪主の名前、葬儀の日時だけでなく、配偶者や子供、親戚の名前なども記載されることがあるようです。地域によっては、町内会の放送で読み上げられることもあります。
●枕飾りには「豚の三枚肉」
一般的な枕飾りと言えば枕団子ですが、沖縄では団子の代わりに豚の三枚肉をお供えするのが一般的です。枕団子は、故人が旅の途中でお腹がすかないようにという意味や、またこの世界へ戻ってきてほしいという気持ちを表したものとされています。豚の三枚肉は栄養価の高い食べ物とされ、故人に良いものを食べてもらいたいという気持ちから豚の三枚肉をお供えするようになったようです。豚の三枚肉の他にも、塩や味噌、饅頭などをお供えすることもあります。
●洗骨(シンクチ)
洗骨は、なまえのとおり骨を洗うという儀式です。火葬が普及する前の時代に沖縄全域で行われていましたが、火葬の普及と共に減っていたとされています。洗骨が行われていた時代では、洗う前の骨はけがれているとされ、仏様のところへ行く前に骨を洗って清められていました。琉球王朝の王室でも、一度埋葬して骨になった亡骸を再び出し、水で清めてから改めて埋葬するという手順がとられたという記録が残っています。洗骨の儀式は、故人の親族である女性や、長男の嫁によって行われるものであったようです。
●棺の大きさ
沖縄のお葬式の風習の一つとして、深い棺を使うというのも特徴的です。沖縄では、故人を棺へ納める際、ひざを少し立てて納める風習があります。このような状態でぴったり納められるように、棺は深さがあり、長さは短めであることが多いようです。
沖縄のお墓
●お墓の大きさ
沖縄のお墓は、本州のお墓に比べてはるかに大きく、見た目もまったく異なるものです。「破風墓」は、斜面や岩盤に掘った横穴を石や漆喰でふさぎ、その入り口を三角屋根の家のように装飾されたもの、「亀甲墓」は墓室の屋根が亀甲型のものです。形が亀甲のようなので亀甲墓と言われていますが、実際は女性の子宮を模したものと言われています。人は母の胎内から生まれ、死によって再び体内へ帰るという母体回帰の考え方により、お墓の入り口を参道、亀甲部分が子宮部分です。お墓の中は6~8畳もあり、まるで家のような大きさです。
このように沖縄のお葬式には本州とは異なる点が多くあります。もし参列する機会があった時には、この記事を参考にしてみて下さい。