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水葬とは、死者を川や海に葬ることを言います。世界各地で見られるお葬式の方法の一つで、火葬、土葬、林葬と合わせて四葬と言われるものです。水葬は海洋散骨とは別のもので、現在の日本では禁止されている葬法です。

ここでは、水葬についてご紹介します。

水葬の由来

水葬は様々な国で自然に行われてきた葬法です。

インドでガンジス川に遺体を流す話は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
水葬の由来は国や宗教によって様々です。インドでは、聖なる川であるガンジス川はすべての源と考えられているため、生まれたばかりの赤ん坊の産湯として使い、人生の最後はまたガンジス川に帰るという、インドの人生観が水葬に映し出されています。

また、チベットやポリネシア、アメリカ・インディアンでも同じように水葬が行われていました。チベットの山間部では、伝染病で亡くなった遺体を水葬にすることで洗い流す習慣があります。海に囲まれた島や、運河に面した地域や国では自然に行われていた方法であったと言えるでしょう。今のように火葬の技術が発達していなかったことも一因と考えられます。

また、ヨーロッパでもスウェーデンやノルウェーで「舟葬」と呼ばれる水葬の一種が行われていました。

現在では、衛生面や感染症の問題などから火葬したあとに水葬を行うか、水葬そのものが行われなくなるなど、一部の地域を除いては減少傾向にあります。

アメリカでは州ごとに法令化

現在でも水葬が行われている国に、アメリカがあります。アメリカはカリフォルニア州を含む14州で土葬、火葬と合わせて水葬が法令化されていますが、古来の水葬とは内容が異なります。

アメリカで行われている水葬は「アルカリ加水分解葬」とも呼ばれ、遺体をアルカリ溶液につけて骨だけにする葬法です。火葬よりも有害物質が発生しにくいとされており、むしろ火葬より自然に近い方法だと言う人もいます。

 

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日本の水葬

現在の日本では、遺体は必ず埋葬・または火葬しなければならないと法律で定められているため、例外を除いて水葬は禁じられています。

例外とは船員法15条に定められた内容で、航行中であり、以下の条件を満たしたときのみ船長が水葬を実施できるとされています。

船舶の航行中

死亡後24時間経過している(伝染病以外)

本人の写真撮影、遺品、遺髪の保管

遺体が浮き上がらない処置

相応の儀礼を尽くすこと

この条件に当てはまらない状況での水葬は埋葬法違反となります。

 

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以前の日本でも、水葬が行われていた地域もありました。海に囲まれた島国である日本で、遺体を海に返すという発想があったことは自然なことと言えるでしょう。

小舟を棺に見立て、あの世への旅立ちを見送った習慣の名残からか、今でも皇族の納棺の儀式を「お舟入り」と呼びます。

葬儀を進行する人を「船導」と呼ぶ地域もあり、これも水葬の名残です。

衛生面の問題や火葬技術の発達とともに水葬は徐々に行われなくなり、法律で禁じられてからは日本で水葬を行うことは無くなりました。

 

 

 

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