おそうしき読本

さいごの「別れ」について考えよう。

column お葬式の「いま」を考える

VOL17

行旅死亡人になる人、ならない人

行旅死亡人(こうりょしぼうにん)という言葉を知っていますか?
名前も住所も不明で、遺体の引き取り手もない死者のことを行旅死亡人と呼びます。行方不明者や自殺者のみでなく、最近では高齢者の孤独死もこれに含まれるようになり、増加傾向が見られます。望んでなる人はいないはずの「行旅死亡人」。ここでは、その詳細と対策をご紹介します。

身元不明の遺体の総称

「行旅死亡人」という言葉を見ると、旅先で死亡した人というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、必ずしも旅行中であるわけではなく、住所氏名が不明で引き取り手がない遺体のことを法律上「行旅死亡人」と呼びます。
高齢者の孤独死などで、アパートで遺体が発見された場合でも、引取り手がいなければ行旅死亡人として扱われるようになっています。最近では、このような「無縁死」の総称になっています。
無縁死は年々増加の傾向にあり、2010年のNHKの調べでは、3万2000人に上ったとのことで、一人暮らしの高齢者には他人事とは思えない状況です。

 

行旅死亡人3

行旅死亡人の扱い

行旅死亡人の取り扱いは、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に定められています。
これによると、身元不明の遺体が発見されると「行旅死亡人」として処理され、発見された場所の自治体が引取り先となります。発見された時点で遺体が腐敗していることも多いためすぐに火葬され、自治体が遺骨を保管した上で、国が発行する官報に所持品や外見の特徴、発見された場所や日時を告知します。引取り手が見つかった場合には遺骨を引き渡し、見つからなかった場合には、一定期間の保管のあと合葬し、無縁仏として無縁墓地に埋葬することになります。

火葬・埋葬の費用

遺体の所持品に金品があればそれを火葬・埋葬費用に充てます。所持金が無い場合は自治体が立替る形で火葬と埋葬を行いますが、引き取り手が見つかった場合には費用の弁済は引き取り手が行うことになります。
引取り手が見つからず、所持金も無い場合は、市区町村がその費用を負担します。
この際、自治体が故人の所持金を使って行えるのはあくまで火葬と無縁墓地への埋葬までで、それ以上の所持金があったとしてもお葬式を行うことはできません。
故人の所持金を相続できるのは、相続人のみであると法律で定められているからです。
最近では無縁仏の増加によって無縁墓地に入りきらなくなったため、遺骨を粉砕して合葬する自治体もあるそうです。無残に感じてしまいますが、それほど件数が増えているという事なのです。

 

行旅死亡人2

 

行旅死亡人にならないために

身寄りがない一人暮らしであったとしても、生前から準備をすることで行旅死亡人にならない方法がいくつかあります。

死後事務委任契約を結ぶ

自分の死後を託せる家族がいない場合や、親戚がいても遠方で疎遠になっている場合に、第三者に死後事務を委任する契約です。遺体の引き取りからお葬式の施行、永代供養の手続き、家賃や公共料金の精算まで様々な依頼が可能です。
これについては以下の記事で詳しくご紹介しています。
死後事務委任契約とは

行政のサービスを利用する

全国的な広がりは見せていないものの、高齢者の死後の対応をサポートしようとする動きが少しずつ出てきています。
前述した通り、たとえ費用があったとしてもそれを使って自治体が故人の葬儀を行うことは法律上許されていないのです。
これをできるようにしたのが、神奈川県横須賀市の「エンディングプラン・サポート事業」です。自分の住む地域でそういったサポートがあるか、一度調べてみると良いでしょう。
以下の記事で簡単にご紹介しています。
おひとりさまの終活

 

行旅死亡人1

家族が先立ったあと、いずれ一人暮らしとなることは他人事ではありません。また、最近では生涯独身の人も増えています。多様なライフスタイルが存在する中、死後の在り方については様々な考え方があるでしょう。
但し、もし残す家族がいなかったとしても、自分が死後行旅死亡人として扱われるかもしれないと考えると、決して気分の良いものではありません。
死後行旅死亡人にならない為に、是非上記の方法を参考にしてみて下さい。

 

 

 

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