おそうしき読本

さいごの「別れ」について考えよう。

column お葬式の「いま」を考える

VOL16

僧侶派遣サービスに見る最近のお葬式事情

少し前から、某ショッピングサイトで「お坊さん便」なる僧侶派遣サービスが購入できるようになりました。検索結果一覧に「通常配送料無料」という一文が入っているのには笑いをさそう部分もありますが、これはもちろん冗談ではありません。
今回は、「僧侶派遣」の背景やトラブルにについてご紹介します。

ワンクリックで僧侶を購入?

都心を中心に葬儀の小規模化が進み、家族葬を希望する人が増えていることの是非については「家族葬ってなんだろう」でメリットやデメリットとともに紹介していますが、「僧侶派遣」も安価で小規模を望む人のためのサービスと言えます。
内容によってランクがあり、自宅から霊園への移動も無く、戒名も無ければ35,000円~という価格設定です。移動と戒名がセットになっても最大で65,000円となっており、安価であるのは間違いありません。

ショッピングサイトですから、カートに追加して支払いのクレジットカードを指定し、購入ボタンをクリックしたら購入完了です。普通に考えると、簡単すぎて不安になりそうですが、口コミを見ると利用者はそれなりにいるようです。「〇〇円~」と表記されているのではなく、定額であるという安心感も大きいのかもしれません。

 

僧侶派遣1

 

菩提寺を持たない家庭の増加

特定の寺院に属することを檀家といい、その特定の寺院を「菩提寺」と呼びます。
昔は多くの家庭が菩提寺を持っており、寺との付合いがありました。このため、お葬式や法要、お墓などについてはまず菩提寺に相談する習慣がありました。

しかし最近では都心を中心に檀家離れが多く、いざお葬式や法要を行う際には葬儀社に僧侶を紹介してほしいという希望が年々増えているようです。

紹介を希望する理由としては、出身が遠方で菩提寺との付き合いが無くなっている場合や、現在の菩提寺との付き合いをやめたい場合、次男や三男で実家の墓には入らないなど、様々です。

このように菩提寺を持たなくても、いざお葬式や法要を行うとなると仏式で、僧侶に読経してほしいと思う人が多いのです。

仏教の教えでは読教によって故人の苦しみを取り除いて成仏を願うため、仏式のお葬式では基本的になくてはならないものとされています。
しかし最近では日本人の宗教観が薄れ、無宗教葬や自由葬など読経しないお葬式も増えていることもあり、僧侶の読経自体が形式化してしまった結果がワンクリック購入というサービスを生み出したのかもしれません。
菩提寺の無い人にとっては、どうせ付き合いのないお寺に頼むのなら安いほうが良いという発想になるのでしょう。

 

僧侶派遣3

 

僧侶派遣のトラブル

インターネットを利用した僧侶の手配は簡単で便利ですが、簡単な分だけトラブルの可能性も含んでいます。

たとえば実家の宗派とは違う宗派の僧侶を手配してしまった場合、気づくのは葬儀の当日に親戚から指摘された時です。

この場合は後日改めて正しい宗派の僧侶に法要の読経をお願いしたり、戒名を付け直したりする手間が出てしまい、かえって費用がかかってしまうことになります。菩提寺がなく、実家の宗派に対する認識も不確かな人は増えていますので、他人事ではないトラブルです。

また、お葬式で読経する僧侶は「導師」と言って寺の住職を務めているのが常識ですが、寺を持たず住職でもない僧侶が派遣されたり、時間に大幅に遅刻した上読経を10分程度に省略されてしまったという話もあります。
故人との最期のお別れとなる場で、このようなことになってしまっては取り返しがつきません。

もちろん、インターネットでの僧侶手配がすべてトラブルになるというわけではありません。自分で手配する場合は、まず親戚に宗派(宗派を確認しよう)を確認し、依頼する際の注意点などについて葬儀社に事前に確認することをお勧めします。

 

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