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なぜ遺言書が必要なのか

遺言書は、自分の死後のために相続や財産などに関する内容を書き記したものです。遺品の分け方や親族への感謝の言葉などを記すエンディングノート、自分の人生を書き記した自分史などと違い、遺言には法的な力があり、最も優先される文書です。そのため、どのように次の世代へと引き継ぐかということに関して、自分の死後でもしっかりと意思を反映させることができます。
特に財産については親族間のトラブルに発展するケースも少なくないため、誰が何を相続するのか、遺言書に遺したほうが良いでしょう。

遺言書に決まった形式はありませんが、いくつか要件があります。せっかく作成しても要件を満たしていなければ、遺言書としての効力を発することができません。また要件を満たしていたとしても、遺言を確実に実行するためには専門家のサポートが必要になるケースがあります。
こういった際の選択肢の一つとして、「遺言信託」があります。

 

遺言信託とは

遺言信託とは、その言葉の通り信託銀行などに遺言の作成や保管、執行を依頼するものです。遺言書には大きく分けて裁判官や弁護士などの公証人が作成する「公正証書遺言」と遺言者が自身で作成する「自筆証書遺言」がありますが、いずれの形式でも遺言信託を依頼することが可能です。

遺言信託の依頼先

遺言信託を行いたい場合は信託銀行や信託会社、信託契約代理店に依頼することができます。いずれも金融庁の認可を得て事業を行っている会社になります。

遺言信託のサポート範囲

遺言信託を依頼した場合、サポートされるのは遺言書作成のサポート、遺言書の保管と定期的な照会、遺言の執行です。遺言書作成や保管、亡くなった後に遺言が確実に実行されるのかについて不安がある人には、安心のサービスと言えるでしょう.

遺言信託のメリット

遺言書作成のサポート

法的な効力を持つ遺言書を作成するためには、いくつか決まりがあります。これを守らずに作成すると、せっかく作成しても効力のない遺言書になってしまいます。
この点、遺言信託を依頼すると専門家のサポートが受けられるため、安心です。

遺言書の保管

遺言書の保管場所に決まりはありませんが、自宅保管には紛失や破損、改ざんのリスクが伴います。安全に保管するためにはしかるべき機関に保管を依頼する必要がありますが、サービス内容に保管が含まれるため安心です。

定期照会

遺言書は一度作成すれば終了というわけではありません。財産の内容や家族関係の状況が変われば、それに合わせて変更する必要があります。
遺言信託ではこういった確認が定期的に行われるため、遺言書の内容を常に最新にしておくことが可能です。

相続手続きの執行

遺言書作成のサポートや保管についてはもちろんのことですが、遺言信託の最大のメリットは、遺言者の死後に相続手続きを専門家に任せることで、相続人の負担を大幅に軽減できる点にあります。
遺言信託を利用することにより、相続人が複雑な手続きに煩わされることなく、スムーズに財産を承継できます。また、信託業者は資産管理のプロフェッショナルであり、金融商品や不動産の管理・運用に関する高度な知識と経験を持っています。特に有価証券や収益用不動産などの管理が必要な資産の場合、適切な管理を継続するためのアドバイスが受けられるため、資産価値の維持・向上に役立ちます。

 

遺言信託の依頼方法

遺言信託の利用は、主に以下のステップで進行します。

1. 事前相談

事前相談を行い、遺言者の希望を確認します。ここで担当者が高度な提案が必要と判断した場合、提携する弁護士や税理士と協力してコンサルティングを行います。

2. 遺言書作成

遺言書作成の詳細を打ち合わせし、遺言内容を確定します。決定後は公正証書遺言を作成し、信託業者が遺言執行者として指名されます。

3. 遺言書保管

作成した遺言書を信託業者が保管し、定期的に相続状況の確認が行われます。必要に応じて遺言書の変更も行います。

4. 遺言執行

遺言者の死亡後、速やかに相続手続きが開始されます。これには相続開始の通知、財産目録の交付、遺産の名義変更手続きなどが含まれます。

遺言信託を依頼する際は、事前に担当者としっかりと相談し、必要な書類を準備することが重要です。また、公正証書遺言の作成時には証人の確保が必要となります。

遺言信託の費用

このように、遺言信託は遺言書を残したい時には心強いサービスではありますが、唯一のデメリットとしてはある程度の費用が必要になる点です。
遺言信託の利用には複数の費用が発生します。まず、契約時には手数料が必要です。手数料は業者によって異なりますが、一般的には安価なプランで20万円から30万円、高額なプランで70万円から110万円が相場です。次に、遺言書の保管料が毎年発生し、1年につき5,000~6,000円が目安です。さらに、遺言執行報酬は遺産評価額に応じて決定され、通常は遺産評価額の0.3%から2%がかかります。最低報酬額も設定されており、例えば三菱UFJ銀行では最低報酬が165万円かかります。その他にも、公的書類の取得費用や遺言書の変更手数料などが追加で発生する場合があります。これらの費用は信託業者によって異なるため、契約前に詳細を確認することが重要です。また、相続税の申告や納付については相続人が負担する必要があります。信託業者が提供するプランの内容と費用を比較し、コスト対効果を十分に考慮した上で選択することが求められます。

 

また、相続時にトラブルが発生した場合には、信託会社や銀行が遺言執行できない場合がありますので、注意が必要です。

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