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家族の遺体を引き取るには

9割近くが病院で亡くなると言われる日本では、死亡を確認した医師の死亡診断書を取得するとともに、病院から葬儀を行う場所まで遺体を搬送します。
しかし故人が事故や災害に巻き込まれて不慮の死を遂げた場合や、一人暮らしの部屋で孤独死した場合、まずは「遺体を引き取る」必要があります。こういったケースでは、病院で亡くなるよりも様々な手続きや費用が発生します。
以下に、連絡を受けてから遺体を引き取るまでの流れについてご紹介します。

 

警察から連絡を受ける

病院以外の場所で遺体が発見されると、ます警察によって現場検証と検視が行われます。その後遺体の身元が判明すると、その遺族や親族に警察から連絡が入ります。遺族への連絡は、血のつながりが近い順番に入ります。
配偶者に始まり、子供、両親、兄弟姉妹、祖父母、叔父叔母などです。警察からの連絡を受けたら、遺族は指定の場所に出向き、遺体が本当に自分の家族や親族であるかを確認します。

遺体の身元を調べる方法

警察が遺体の身元を調べる方法はいくつかあります。

1.遺留品や所持品の確認

遺体の遺留品や所持品に身元を確認する書類があるかを確認します。運転免許証や保険証、マイナンバーカードなどがあれば、身元の確認は比較的容易です。
身分証明書が無い場合は、その他の所持品や着衣、身体の特長などから身元の手がかりを見つけます。

2.身元不明者データベースの確認

身元不明者の情報が登録されたデータベースを検索して、一致する情報がないか調査します。

3.指紋認識

遺体から指紋を取得し、データベースと照合して身元を特定します。

4.歯科所見

歯のデータを使用して個人識別を行います。歯の状態や治療履歴が個人を特定する手がかりになることがあります。

5.DNA鑑定

遺体やその他の生体サンプルからDNAを抽出し、データベースと照合して身元を確認します。

 

身元が不明の遺体は、これらの手段を組み合わせて身元特定に向けた調査が行われます。身元が判明するまでの間、遺体は専用の保管庫で保管されますが、遺体保管には保管料がかかり、1泊2,000円ほどです。遺体の死因と身元が特定されるまでは引き渡しが行われないため、総額は状況によって異なりますが、この保管料は遺体の引き取り時に遺族が支払う必要があります。

またこの時間が思った以上にかかることがありますが、あまりに時間がかかると遺体の腐敗が進んでしまいます。その際は、やむを得ず火葬を行われますが、この火葬費用も遺族に請求される費用の一つです。

 

死体の検案

病院で亡くなった場合は、死亡時刻や死因を病院側で把握できるため、書類は問題なく作成できます。しかし、自宅やそれ以外で亡くなった場合、死亡推定時刻や死因について医師が遺体の確認を行う必要があります。これを検案、または「死体検案」と言います。治療中の持病などがあり、医師が故人の病状を把握できている場合は自宅以外で死亡した場合でも死亡診断書を作成することもあります。

しかし、通院も入院もしておらず、医師側で患者の状態が把握できていない場合は遺体の検案を行い、異常死でない場合は死体検案書を作成します。もし検案の上で死因がはっきりしなかったり、異常が認められたりした場合には警察に依頼し、警察の管轄で検視を行う事になります。
検案の費用は保険対象外のため対応する医師によって異なりますが、おおよそ2~7万円程度です。

 

事件性があれば検視を行う

検視を行う基準は以下の通りです。

事件性が考えられる場合
災害などで亡くなった場合
自殺した場合
交通事故などを含む事故で無くなった場合
孤独死などで死亡時間が不明な場合

検視後は医師によって死体検案書が作成され、遺体は遺族に引き渡されます。異常性が確認されれば行政解剖、または司法解剖を行いますが、これは検視には含まれません。
検視は法律に則って行われるため、遺族がこれを拒否することはできません。また、検視そのものには費用は発生しません。

しかし、遺体を検視場所に搬送する費用は遺族の負担になります。搬送費用は距離に比例しますので、距離が遠いと中には数十万円に上ってしまうケースもあります。また、検視後は必ず死体検案書を作成しなければならないため、その作成費用は別途遺族の負担になります。

 

遺体の搬送

検視が終わり、死体検案書を作成したら、遺体を安置場所に搬送する必要があります。この搬送費用も遺族の負担となります。検視場所への搬送と同じく、距離が長ければその分費用はかさみます。

お葬式を行う葬儀社が決まっている場合、パッケージプランに搬送費用が含まれていることがありますので、確認すると良いでしょう。
しかし、パッケージプランに含まれる搬送費用は基本的には近距離で、遠方からの搬送の場合は別途費用が必要になります。

 

遺体の引き取りは拒否も可能

一般的には、遺体の引取りは家族や親族、関係者が行いますが、既にご紹介したとおり様々な費用や手続きが必要になります。
疎遠になっていた遠い親戚や、家族であっても絶縁状態であったりした場合、遺体引取りからその後の処理にかかる費用と時間は大きな負担となり、引き取るか否か、悩むこともあるでしょう。身内であれば、必ず遺体を引き取らなければならないのでしょうか?
結論から言うと、血縁者だからと言って必ず遺体の引取りをしなければいけないということはありません。

法的な義務はないため、疎遠であったことや絶縁状態であったことを理由に遺体の引取りを拒否することは可能です。
但し、引取りを拒否する場合でも、手続きのために警察や自治体に出向かなければいけないこともあります。詳しくは「遺体の引取りを拒否するには」でご紹介していますので、参考にしてみて下さい。

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