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相続と生前贈与の違い

相続とは、亡くなった人の財産や権利を家族や第三者が引き継ぐことを言います。財産を遺す人を「被相続人」、財産を引き継ぐ人を「相続人」と呼びます。
通常は法定相続人が引き継ぎますが、遺言を残せばこの限りではありません。
相続が発生する場合、必ず被相続人の死亡が伴うのが相続の特徴です。
これに対し生前贈与とは、財産を持つ人間の死亡を伴わずに別の人間へ引き継ぐことを言います。
相続に関して考えることは、終活の中でも重要なことです。
相続の注意点」でもご紹介している通り、仲の良かった家族が親の遺産相続問題で揉めてしまい、絶縁状態になってしまうことも少なくありません。
こういった事態を避けるために、財産をどのように分割するかをしっかりと遺言で残すことは被相続人の重要な役目だと言えます。
その一つの方法として、死後に遺産を分けるのではなく生前に「贈与」という形で家族に遺産を分ける方法があります。これを「生前贈与」と言い、生前贈与には以下の二つのメリットがあります。

生前贈与のメリット

自分が亡くなった後ではなく、生きている間にある程度の財産を配分することができ、相続の揉め事を最小限に減らすことができる。
相続と贈与では税率が違い、贈与の方が税の負担を軽減できる場合がある。

贈与の場合は、年数を分割して贈与していくことでさらに税の負担を下げることができます。これを暦年贈与と言います。

 

暦年贈与

暦年贈与とは、財産を毎年少しずつ贈与していく方法のことです。財産の贈与に関しては非課税枠があり、非課税の範囲内で毎年財産を贈与していくと、一括で贈与する時に比べて税金がかからない、または少額で済むことがあります。

人から人へ財産が移動する場合、相続であっても贈与であっても課税されることに変わりはありません。しかし、贈与には年間110万円の基礎控除があり、110万円までなら贈与税の負担なく財産を贈与することができるようになっています。例えば子供が二人いた場合、それぞれに110万円ずつ、10年間贈与を続けると無税で2200万円の財産を移動することができます。
このように、非課税枠を利用して生前贈与を行うことを暦年贈与と言います。

暦年贈与の注意点

このように税金の軽減を期待できる「暦年贈与」ですが、いくつか注意点があります。税金の軽減を目的に暦年贈与を行っていると、そもそも初めからまとまった額を贈与しようとしていたのではないかと疑われ、追徴課税を受けてしまう可能性があります。

毎年同じ時期に同じ額を贈与する
たとえば、毎年同じ時期、年始や誕生日などの決まった時期に必ず非課税枠内の100万円を贈与し、これを10年間続けたとします。この場合、始めから1,000万円を贈与する意思があったと認められ、「定額贈与」になります。
定額贈与の場合、1,000万円以下の税率は30%となり、相続税の1,000万円以下の税率が10%であることを考えると、節税になるどころか税率が上がってしまうのです。
このような事態にならないためにも、毎年金額を変える、贈与の時期を一定にしないなど、定額贈与と見なされない工夫をする必要があります。

相続開始前3年以内の贈与に注意する
相続開始前、3年以内の贈与は、相続財産に加算して税金が計算されるようになっています。
そのため暦年贈与を行う場合は、できるだけ早く行った方が安全だと言えます。

 

相続税・贈与税一体化議論が開始

2020年11月、自民党税制調査会が幹部会合を行い、「相続税と贈与税に関し、海外ではいつ資産を移転しても公平で公正な制度がある」とのべ、相続税と贈与税の一体化に向けた見直しに意欲を示しました。
現在のように相続税と贈与税の税率が大きく異なる日本と欧米の中立的な税制を比較し、より中立的な税制の構築を図ることを目的とした検討を開始するとしています。
この検討により相続税と贈与税の税制が一本化されることになれば、いずれは暦年贈与が出来なくなることも考えられる点を注意しておくようにしましょう。

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