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遺言の作成方法

遺言書の作成にはいくつかの方法があります。主に、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三つが存在し、それぞれ異なる特徴があります。
公正証書遺言、秘密証書遺言は証人の立ち合いが必須な点から、パソコンを使って作成することが認められています。
これに対し、自筆証書遺言は手書きが前提となっています。遺言者が全文を手書きし、日付と署名を自ら行い、押印する必要があります。手数料がかからず、いつでも自由に作成できる手軽さから、遺言書の多くは自筆証書遺言で作成されています。

 

自筆証書遺言の現状と課題

自筆証書遺言は、手数料がかからず手軽に作成できるものの、全てを手書きする必要があるため、長文の場合や複数の財産を記載する際にはたいへんな手間がかかります。
また、書式や訂正方法も厳格なため、不備があるとせっかく作成した遺言が法律的に無効になる可能性があります。
加えて、遺言書の紛失や保管場所が不明になるなどの問題も少なくありませんでした。
これらの課題に対して、2019年の民法改正により、自筆証書遺言の一部(財産目録)のパソコン作成が認められるようになりました。本文の作成は自筆に限定されたままですが、法務省はデジタル機器での自筆証書遺言の本文作成を認める方針で、近く民法改正の議論を本格化させる予定です。
これにより、遺言書の作成が手間を省くことができ、高齢者を含めた幅広い層が利用できるようになることを目指しています。

財産目録をパソコンで作成するメリット

2024年8月現在、パソコンで遺言書を作成する方法は財産目録に限られています。
財産目録作成については、種類が多い場合などは書き出すだけでも大変なうえ、書き間違いやその訂正など、大変な手間がかかります。
また財産は時間が経つにつれて変化することがあり、その管理にも問題がありました。記載が間違えたままの遺言では、相続争いの原因になる可能性もあります。
そのため、まずは財産目録をパソコンで作成可能にするというのが、政府の対策でした。
書き間違いの訂正や、修正管理が容易で手間が省けることが財産目録をパソコンで作成することの最大のメリットです。

財産目録作成方法

財産目録をパソコンで作成する際は、Exelなどの表計算ソフト、Wordなどの文書作成ソフトを使用するのが一般的で手軽です。形式に決まりはありませんが、不動産、預貯金、有価証券、負債の項目を作成し、その種類と金額を書き記すと良いでしょう。それぞれに連番を振ると管理が容易です。
京地方裁判所では参考の書式が公開されていますので、参考にすると良いでしょう。

財産目録をパソコンで作成することの一番のメリットは、何といっても作成の容易さです。
パソコンを使用することにより、文字を書くのが困難な高齢者でも手軽に財産目録を作成することができます。パソコンに慣れていない人は誰かのサポートが必要にはなりますが、修正が容易なため、遺言者の意思に変更が生じた場合でも迅速に対応できます。
また手書きによる誤字や脱字など、表記の誤りを防止することもできます。

財産目録作成の注意点

以下に、財産目録をパソコンで作成する際の注意点を記載します。

正確に記載する

財産の詳細は正確に記載する必要があります。例えば不動産であれば所在地は正確に記載したり、地積なども記載しておくようにします。また預金であれば口座番号だけでなく預金種目の記載をする、株式であれば一般枠か、NISA枠か、積立かなど、詳細を記載するようにしましょう。

署名、捺印が必須

文書を作成したらプリントアウトし、作成した日付と署名捺印をします。データのまま保管していても、それ事態には効力がありませんので注意が必要です。

プリントアウトした書面に署名・捺印をしたら、手書きの遺言書と同じ場所に保管します。自宅保管は紛失のリスクがあるため、法務局の遺言書保管制度を利用するのも良いでしょう。

バックアップを取っておく

うっかりデータを削除してしまったり、データを保管した場所を忘れてしまう可能性があります。また、保存しているパソコンが壊れてしまい、データを復元できないなどの可能性もあります。こういった事態を防ぐために、クラウドサーバなどの外部にデータをバックアップしておくことをお勧めします。

セキュリティ対策を行う

デジタルデータであるため、パソコンでの作成には改ざんのリスクが伴います。セキュリティ対策が重要となり、保管方法についても慎重に検討する必要があります。

 

このように気をつけるべき点はいくつかあるものの、パソコンでの財産目録作成はメリットの多い方法です。遺言書作成の際には、検討してみると良いでしょう。

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