お葬式のマナー
お葬式のマナー
弔辞を頼まれたら
お葬式では、宗教や宗派を問わず「弔辞」が読まれます。弔辞は参列者の中から故人と特に親しかったり、関係が深かったりした人が一人から数人依頼されることが一般的です。ここでは、弔辞の紹介と、依頼された時の注意点についてご紹介します。
弔辞とは
弔辞とは、故人の死を悼み、弔いの気持ちを伝える最期の別れの言葉です。それだけでなく、故人の生前の業績や人となり、経歴を参列者に伝えるという役割も持っています。
そのため、故人と特に親しかった人や、つき合いの長かった人に依頼されることが多く、もし弔辞を依頼された場合はできるだけ断らず、快く引き受けるのがマナーです。
どうしても引き受けられない事情があるときは、できるだけ早めに事情を伝えて、丁重にお断りすることを心掛けて下さい。
弔辞の書き方
●奉書紙か巻紙を使う
弔辞を書くときは、奉書紙か大判の巻紙に薄墨を使って毛筆で書くのが基本です。但し最近では略式も増えており、略式の場合は便せんに万年筆で書くこともあります。
奉書紙か巻紙で書いた場合は、折りたたんだあとに更に奉書紙で上包みをした後、毛筆で「弔辞」と表書きをします。
上包みをする奉書紙は半分に切ったものを三つ折りにし、左前になるように弔辞を包んだら上下を反対側に折りたたむようにします。
男性であれば上着の内ポケットに、女性は袱紗で包んで持参すると良いでしょう。
略式で弔辞を便せんに書いた場合は、何の表書きもない白い封筒に入れて持参します。この場合、封筒は二重になっているものは避けるようにしましょう。「重ねる」という忌み事が入ってしまうからです。
●弔辞の内容
弔辞は特に決まった形式で書かなければいけないということはありません。故人への気持ちを丁寧な言葉で書くのが一番ですが、どう書いていいか分からない場合は以下の流れを参考にしてみて下さい。
●故人への呼びかけ(●●くん、●●さん、●●先生、または役職など自分が生前に呼んでいた呼び方で)
●故人の死を知った時の驚きと悲しみ
●故人と自分との関係
●故人の人となりが伝わるようなエピソード
●故人への感謝の気持ち
●遺族へのお悔やみの言葉
●故人の冥福を祈る言葉
この全てを盛り込む必要はなく、1)と6)以外は順番にこだわる必要もありません。但し、締めくくりとして6)の故人の冥福を祈る言葉だけは最後に入れるようにしましょう。
また、故人の経歴などを弔辞に入れる場合は、間違いのないよう遺族に確認しておくと安心です。長さは全体で3分くらいが目安です。弔辞を書きあげたら一度練習してみることをおすすめします。
●忌み言葉を避ける
これは弔辞に限らずお葬式全般に言えることですが、忌み言葉は避けるようにしましょう。「再三」「重ね重ね」「返す返す」「くれぐれも」「また」「続く」などは代表的な忌み言葉です。
また、「成仏」「供養」「冥福」などは仏教用語のため、キリスト教や神式のお葬式では避けたほうが無難です。
弔辞の読み方
一般的な弔辞の流れは以下の通りです。
1)名前を呼ばれたら遺族と参列者にそれぞれ一礼し、故人に向かって一礼した後一歩前に出る
2)包みを開いて弔辞を書いた紙を取り出し、包みは弔文の下に重ねて持つ。弔文は左手で持ち、右手を添えて開く。
3)弔辞は参列者に聞きやすいよう、低めのトーンでゆっくりと読む。声を張り上げるような読み方は場にふさわしくないのでNG。
4)読み終えたら包みなおして卓上に置く。
5)故人に一礼したあと遺族、参列者にそれぞれ一礼して自分の席に戻る
弔辞は、故人にかける最期の言葉でもあります。口語を多用するのはおすすめしませんが、聞いている側にも分からないような難しい言葉を無理に使う必要はありません。
自分らしい表現で、故人の人柄も併せて伝えられるような内容を自然な流れで話せると良いですね。
喪主側から弔事を頼みたいときのマナーは「弔事の頼み方」でご紹介していますので参考にしてみてください。