お葬式のマナー
お葬式のマナー
お供え物のお下がり
お通夜やお葬式の祭壇や仏壇に供えられた供物の中には果物や乾物などの食品が多くあります。また、影膳(お供え膳)として食事が供えられることもあるでしょう。
こういったお供え物はどのように処理すれば良いのでしょうか。
ここではお供え物の処理方法と、作法についてご紹介します。
お供え物の意味
お供え物とは、神仏に供える品や、先祖や死者を供養する品のことを言います。それは金品であったり、お酒や食品、菓子、地域の名産品であったりと、多岐に渡ります。これが生花の場合には、供花と呼ばれます。
仏式の場合はお線香やロウソクなどもお供え物として頂くことがありますが、供物で比較的よく贈られるのは、果物や缶詰、日持ちのするお菓子などです。神式の場合は神饌物として祭壇に果物や野菜、干物やお米、お酒、塩なども供物として供えられます。
また、故人が生前好んでいたものをお供えすることもあります。例えば煙草が好きだった、お茶が好きだった、といった場合には煙草やお茶をお供えするのも良いでしょう。
お供えしてはいけないものは基本的にはありませんが、お供え物を食品で贈る場合は遺族の負担にならないよう、なるべく日持ちのするものを選ぶのが良いでしょう。海産物や肉類などは、生ものの取扱いの難しさもさることながら、仏教では殺生を回想させます。本来仏教では殺生を禁じており、儀式で頂くのも精進料理が基本であるため、避けたほうが無難です。
日持ちのする加工食品、例えばハムやソーセージなどはどうか?と考える人もいますが、これも基本的にNGです。また地域の特産品だったとしても、香りのきついニラやニンニクなどもお供え物としては相応しくありません。
お供えものの処理
このように、お供え物は食品であることが多いですが、その後の処理はどうしたらよいか悩む人もいるでしょう。
実は、お供えものは「お下がり」として、頂くのが良いとされています。
一度神様や仏様にお供えしたものを、自分たちが食べても良いのか?と考える人もいるかもしれませんが、これは全く問題ありません。
神仏にお供えした供物には神仏の力が備わっていると考えられており、それを頂くことによってその力も頂くことができると考えられています。
特に神道では神前に供えた食物を「神饌(しんせん)」と呼び、これを頂くことはお清めの一つと考えられています。(直会の意味(リンク))
こういった考え方のもと、祭壇に供えられた供物はお通夜やお葬式、法要に参列した親族全員に分けて持ち帰ってもらうのがマナーです。
お供え物の分け方
●手提げ袋を用意する
お供え物を分けて持ち帰ってもらうことができるよう、手提げ袋を複数用意しておくようにしましょう。葬儀場でお葬式を行う場合は、葬儀場のスタッフに依頼しておけば用意してくれます。
お供えものは果物や缶詰など重さのあるものが多いため、手提げ袋もそれなりに耐久性があるものを用意しておくと良いでしょう。雨に濡れて破れることのないよう、ビニール製のものを選ぶのも一つの手です。
祭壇にお供えされたものを式の途中に下げることは難しいので、会食後に小分けにするようにします。
缶詰などの重いものが一か所に固まることの無いよう、全体にバランスよく色々な種類が入っているようにすると良いでしょう。
●無理に勧めない
中には遠方から参列しており、荷物になるものは出来るだけ避けたいと考える人もいます。そういう場合は比較的小さなもの、軽いもので持ち帰ってもらえそうなものを渡すようにしましょう。但し、無理に勧める必要はありません。
仏壇に供えた影膳(お供え膳)の「お下がり」
これと全く同じ理由で、仏壇に供えた影膳も家族で残さず頂くのがマナーです。故人に供えた膳は、神仏へのお供えものをお下がりとして頂くのとは少し違った意味あいがあり、これ自体が故人の供養になるという考え方のもと、家族で頂くものです。
故人にお供えした影膳のお下がりを家族で頂く際には、故人があの世で無事に過ごしているか思いをはせ、また生前の想い出などを話しながらいただくと、より供養に繋がるのではないでしょうか。
詳しくは「影膳供養とは」を参考にしてみて下さい。