お葬式のマナー
お葬式のマナー
お葬式での合掌礼拝の作法
仏式のお葬式で行われる合掌は合唱礼拝といって、作法があります。
ここでは、合掌礼拝の意味と作法についてご紹介します。
合掌礼拝の意味と由来
合掌礼拝とは、両手の平を合わせて目を閉じる動作のことを言います。これは仏教において非常に重要な意味を持つ作法であり、両手を合わせることで心を集中させ、仏と一体になることを象徴しています。また、己の煩悩を払うために心身を集中させる際にも行われています。
合掌は古代インドで発祥した作法で、右手は神聖なもの、つまり仏、左手は不浄なもの、つまり人とされ、これらを合わせることで清浄と不浄、仏と人が結ばれ、一体となると考えられています。
合掌は仏教を通じてアジアの各地に広まり、スリランカやネパールでは挨拶の作法に使われるなど、各国の文化として根付いています。日本に伝わったのは六世紀の中頃で、中国から仏教とともに伝来したと言われています。
日本ではこの合掌の姿勢が日常の挨拶や敬意、感謝、祈りの行為としても広く受け入れられており、特に葬儀の場においては、故人の魂が仏の手に委ねられ、極楽浄土へ導かれるように願う際にこの作法が用いられます。
お葬式での合掌礼拝の作法
お葬式における合掌礼拝の作法は、遺族や弔問客が故人に対して最大の敬意を表す行為となります。合掌礼拝は葬儀全体を通して何度も行われ、特に焼香の際に用いられます。礼拝の一連の流れを理解することで、故人を滞りなく送り出すことができます。
また仏式のお葬式では、通常合掌して礼拝する際に「数珠」を使います。数珠は、故人の供養と自分の煩悩を取り除く象徴であり、持参することがマナーとされています。
基本的な作法としては、両足を揃えて姿勢を正し、両手を胸の前で合わせます。このとき、指は自然に揃え、中指の先が鼻の高さに来るようにします。背筋を伸ばし、肘を少し張ることで、全体の姿勢が整います。軽く頭を下げ、黙祷を行った後に、合掌を解きます。
また、焼香の際には、香炉に向かい、抹香を指で摘み取り、それを眉間に持って行って祈りを捧げます。宗派によって異なりますが、焼香を1回から3回行うことが一般的です。その後、再び合掌し、礼拝を行います。この一連の所作は、仏に対して心からの祈りを捧げる重要な儀式です。
合掌礼拝において特に気を付けたい点は、礼拝は故人に対して行うのではなく、仏に向けて行われるということです。祭壇に向かって合掌する際は、故人が仏によって極楽浄土へ導かれるように、仏に対して祈りを捧げています。
宗派ごとの作法の違い
日本の仏教にはさまざまな宗派が存在し、それぞれの宗派において合掌礼拝や数珠の扱い方には違いがあります。葬儀の際、宗派に応じた正しい作法を知ることで、礼拝がより深い意味を持つものとなります。
浄土真宗
浄土真宗では、数珠は一連の形状をしており、両手の親指と人差し指の間にかけて合掌を行います。合掌の際には肘をはらずに軽く体につけて両手を胸の前で合わせ、指先を斜め前方45度に伸ばして行います。この際「南無阿弥陀仏」と念仏を唱え、合掌したまま上半身を45度傾けてお礼をし、上体を戻してから合掌を解きます。
真言宗
真言宗で行われるのは、「金剛合掌」といわれる合掌です。両手を合わせた際、右手の指の先が左手の指の上になるように交互に組ませます。「金剛」とは、絶対に壊れない、強固な信心を表しています。
右手は仏を表すため、必ず左手の上に来ると覚えれば良いでしょう。
真言宗では、数珠(念珠)を非常に大切に扱い、礼拝の際に数珠を左手にかけます。但し念珠の使い方や持ち方に関しては、宗派ごとの教えに従う必要があります。
浄土宗
浄土宗の合掌では、両手の指は全て合わせた状態にします。十指爪を全て付けた合掌のことを「堅実心(けんじつしん)合掌」と呼び、最も一般的な合掌です。十指爪をしっかりとつけて胸の前に合わせ、指先の方向は斜め45度、一は顎の下に来るように保ちます。両手の間に空間ができないように、注意しましょう。
時宗
時宗で行われる合掌は、「未敷蓮華(みぶれん)合掌」と言われるものです。これは時宗の独特な合掌スタイルで、両手を合わせた時に手の平に膨らみを持たせ、両手の中指をほんの少し開きます。この形が蕾(つぼみ)のように見えることから、このように呼ばれています。
開花していない蕾の状態、つまり煩悩にとらわれたままの心を表していると言われています。時宗のみで行われる、非常にめずらしい型式の合掌です。
天台宗
天台宗の合掌では、数珠を人差し指と中指の間に掛けるのが特徴です。合掌した手は胸の前で自然に手を合わせるようにします。
神道・キリスト教
仏教以外の宗教でも葬儀の際に両手を合わせる動作が見られますが、合掌とは異なります。神道では柏手を打つなど独自の作法があり、キリスト教では胸の前で手を組む形が一般的です。それぞれの宗教に応じた作法を理解し、尊重することが大切です。
以上のように、合掌礼拝の作法は宗派ごとに異なるものの、どの宗派においても仏や神に対する深い敬意と祈りの気持ちが根底にありますお葬式の際には、その宗派に合った正しい作法で合掌をするように心がけましょう。どの宗派で行われているのか分からない場合は、葬儀場のスタッフに確認すると良いでしょう。