お葬式のマナー
お葬式のマナー
喪主(施主)がお葬式ですべきこと
喪主(一般のお葬式では施主と喪主は同一です)はお葬式の最高責任者です。喪主は遺族の話し合いで決められますが、慣習では配偶者、直系の子ども、直系の親族の順に喪主を務めることが可能な人が任にあたります。故人はもちろん、遺族、会葬者が納得できるお葬式となるよう、喪主が気をつけなければいけないことを一緒に考えてみましょう。
喪主(施主)の役割と心構え
喪主はお葬式の責任者として、些細なことも含めてお葬式に関するすべてを決断しなければなりません。お葬式の内容を葬儀社と相談して決定する、訃報(ふほう)を故人と縁ある人に伝える、宗教者(僧侶、神父など)とのコミュニケーション、告別式終了後やお斎の場での会葬者へのお礼の挨拶などが喪主の役割になります。細かなことでは、お葬式やお斎(精進上げ)の席次や供花の位置の決定、弔電に目を通し読み上げる順の決定なども喪主の役割です。
このような多様な役割を担う喪主は、お葬式の当日はとにかく忙しくなることを覚悟する、物事を決定する際は故人が望むかどうかで判断する、すべてを抱え込まずにできる限り家族や葬儀社の協力を得る――ことを心にとどめておきましょう。3つ目については、進行や手配の実務を家族の中から選んだ補佐役と葬儀社に任せて、喪主は最終決定と宗教者のお相手のみをするケースが増えています。
訃報を伝える
喪主の最初の役割は、故人の逝去を訃報として連絡することです。病院や自宅で亡くなった後から連絡し始めます。連絡する範囲とその内容は一般的には次のようになります。
訃報の範囲
●菩提寺、教会など宗教者
●家族、親族
●勤務先
●故人の交友関係(親しい方)
●自治会・町内会(隣組的な互助組織が機能している場合)
訃報の伝え方と内容
亡くなったことの第一報です。電話で完結に亡くなったことを知らせます。
ここで伝えることは、
●故人の名前
●亡くなった日時
●死因
●もし決まっていたらお葬式の日時・場所
●こちらの連絡先
第一報の時点ではお葬式については決まっていないことが多いでしょう。その場合には、詳細決定後に改めて連絡する旨を伝えましょう。
お葬式の詳細が決定したら、第一報を伝えた方々に改めて電話で連絡をします。あわせて、自治会・町内会、故人と縁のあった方(お葬式に招く方)などに対して、やはり電話でお葬式の案内をします。
新聞のお悔やみ欄などを通した訃報の伝え方もあります。全国紙に死亡広告を出すのはかなりの費用がかかりますが、地方版や地域のコミュニティー誌にお悔やみ欄があり、そこに掲載することができます。多くの場合はその手配も葬儀社がしてくれますので相談してみましょう。
お葬式の進行と喪主の挨拶
お葬式の進行は葬儀社が段取りをしてくれますので、家族の中から選んだ補佐役と葬儀社に任せるのが良いでしょう。
喪主のお葬式における一番の役割が挨拶です。会葬し、焼香または献花してくれた会葬者ひとりひとりへのお礼の言葉、お通夜の後、告別式の後、お斎(精進上げ)の前にそれぞれ遺族を代表して挨拶をします。挨拶のポイントと一般的な文例を次にあげてみます。
会葬者ひとりひとりにかける言葉
ポイント | 簡潔なお礼の言葉 |
文例 | お忙しいところお運びいただきありがとうございます。
ごていねいに恐れ入ります。 故人も喜んでいると思います。 など |
お通夜の後
ポイント | お通夜参列へのお礼の言葉、故人の説明あれば簡潔に、告別式の案内、お斎(精進上げ)あればその案内、最後のお礼の言葉 |
文例 | 本日は遠路ご多忙のところ、通夜に参列くださり、心からお礼申し上げます。
亡○○もみなさま方にお見送りいただき、さぞ喜んでいることと存じます。 |
~故人の説明あれば簡潔に~
なお、明日の葬儀・告別式は、○○において○○時からとり行います。なにとぞよろしく
お願い申し上げます。
また、ささやかではございますが、別室に粗茶を用意しておりますので、お召しあがりながら、故人を偲んでいただけると幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
告別式後(出棺前)
ポイント | 遺族を代表、会葬・焼香へのお礼の言葉、故人の説明、遺族の思い・決意、最後のお礼の言葉 |
文例 | 遺族を代表し、みなさまに一言ごあいさつを申し上げます。
本日は遠路ご多忙のところ、ご会葬、ご焼香を賜り、心からお礼申し上げます。 亡○○もみなさま方にお見送りいただき、さぞ喜んでいることと存じます。 |
~故人の説明、思いなど~
遺された私たちにも、故人同様のおつきあい、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
簡単ではございますが、これをもちましてお礼のあいさつにかえさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
お斎(精進上げ)の前
ポイント | お葬式を無事に済ませられたことへのお礼、膳をすすめる言葉、故人の説明あれば簡潔に、最後のお礼の言葉 |
文例 | 本日は遠路ご多忙中のところを亡き○○のために、お心遣いただき、誠にありがとうございました。
お蔭様をもちまして、本日滞りなく葬儀・告別式をすませることができました。改めてお礼を申し上げます。 ささやかではございますが、お斎(精進上げ)の膳を用意いたしましたので、故人をお偲びいただきながら、ごゆっくりお召し上がりください。 |
~故人に関する話があれば簡潔に~
本日は誠にありがとうございました。
挨拶における忌み言葉
喪主の挨拶の中では、不幸が続くことがないように、次のような連続性を想起させる言葉は使わないように注意してください。
●重ね重ね
●たびたび
●またまた
●再三再四
●次々
●再び
●続く