お葬式のマナー
お葬式のマナー
香典返しを辞退するには
日本では、ご祝儀やお香典などの金品を頂いた場合には、「半返し」といって、半額相当の品をお返しする習慣があります。
しかし、少しでもお葬式費用の足しになればと思って渡した金額の半分を返してもらうのは、気が引けることもあるのではないでしょうか。
ここでは、香典返しを辞退する時のマナーについてご紹介します。
香典返しとは
香典返しとは、お香典を包んでくれた参列者に向けて感謝の気持ちを込めた品を送ることです。お香典を頂いたのに、何もお返ししないのはマナー違反になります。
「半返し」という言葉があるように、お香典返しとして贈る品物の金額は、いただいた金額の半額程度が相場となっています。個々のお香典の額に対してきっちりと半額を返す必要はなく、およその目安を3分の1から半額と考えておけば良いでしょう。5,000円には2,500円、1万円には5,000円、2万円以上には1万円の3パターン程度を用意するのが一般的なようです。
しかしそもそもお香典とは、お通夜やお葬式に参列する際に、故人に対する供養の気持ちを込めると同時に、何かと入用なお通夜・お葬式に対応する遺族の金銭的な負担を少しでも減らせるように渡すものです。
反返しは遺族の負担にもなるため、中には辞退したいと考える人もいます。この場合、辞退はマナー違反になるのでしょうか。
香典返しを辞退する理由
まず、なぜ香典返しを辞退するのかについて考えてみましょう。主な理由については、以下が考えられます。
●遺族の負担を減らしたい
故人を供養する気持ちももちろんですが、遺族の金銭的負担を減らす意味も込めてお香典を渡すのだから、お返しをもらうと本末転倒になってしまうと考える人もいます。
そういった場合にどうぞお気遣いなく、という意味で香典返しを辞退することがあります。
●複数人でお香典を包む場合
会社の同僚などが、複数人でお香典を包むことがあります。例えば2,000円ずつを5人で出し合い、10,000円のお香典を包むような場合を考えてみましょう。
反返しのルールに従うと700円~1,000円程度の品を5人にお返しすることになりますが、郵送で送る場合は送料がかかってしまうため、結局渡したお香典が全部お返しに使われてしまうようなことになってしまいます。また、お返しする人数が多いことで遺族の負担も増えることになります。
こういった場合は、始めから香典返しを辞退するケースがあります。
●公的機関や組織からの香典の場合
公的機関では、基本的にお礼やお返しを受け取ることを禁止している場合があります。規則で決められている場合、香典返しは辞退の旨が予め伝えられます。
上記が主な辞退の理由になりますが、どれも気遣いや規則に添った行為です。これを見て分かる通り、お香典返しを辞退すること自体は、マナー違反にはなりません。
気をつけたいのは、お香典返し辞退の意思の伝え方です。
香典返しを辞退する方法
香典を辞退したい場合は、以下の方法で遺族に伝えるようにします。
●香典袋の裏面に辞退の旨を記載する
●香典袋の中袋に辞退の旨を記載する
●白い便箋に辞退の旨を一筆書いて同封する
●受付でお香典を渡す際、辞退の意思を伝える
受付で辞退の意思を伝える場合でも、香典袋や中袋への一筆も併用すると良いでしょう。当日は受付も忙しく、口頭での意思表示は遺族に伝わらない可能性も考えられるためです。
以下は記載する文章の例です。
●お返しなどのご配慮は遠慮させて頂きます。
●お返しなどのお心遣いは不要でございます。
●お香典返しは辞退したく存じます。
●お香典返しは辞退させて頂きたく、お願い申し上げます。
上記の前に「誠に勝手ながら」「大変恐縮ではございますが」などの前文をつけると良いでしょう。
最後に「わずかではございますが、ご遺族様の今後にお役立ていただければ幸いです」などの結びをつけるとより気持ちが伝わります。
但し、長すぎる文章を書くと確認する負担が増えてしまいますので、出来るだけ完結な文章を心掛けると良いでしょう。