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お盆とは

「盆、暮れ、正月」という言葉がある通り、お盆は年末年始と並んで大切な日本の行事です。この時期に帰省して家族と過ごす人も多く、帰省ラッシュなどで混むことは分かっていても、多くの日本人がこの時期に帰省します。

お盆の由来は仏教が元になっており、釈迦の弟子がその教えに従って亡き母の成仏を祈り、供養をしたことが始まりだとされています。これに日本の先祖供養の習わしが合わさって、日本特有の行事となったのが「お盆」です。

お盆の風習は地域によって様々ですが、精霊棚やお墓参り、盆踊り、迎え火、送り火などはどの地域でも見られます。

 

迎え火と送り火

迎え火と送り火は、お盆の間に帰ってくる故人やご先祖様たちの霊が迷わぬよう、火を焚いて道しるべとするものです。夏の夕刻に様々な家の前で焚かれた迎え火や送り火は通りから見ると一つの道を作ったように美しく、夏の風物詩の一つと言えるでしょう。

迎え火

ご先祖様たちの霊をお迎えするために焚く火のことを「迎え火」と言います。門口や玄関口で焙烙(ほうろく)や提灯に火を灯すと、それを目指してご先祖様たちが戻ってくると考えられています。

昔は仏壇の火を消えないように菩提寺の墓まで運び、その火を墓前で提灯に灯して先祖を連れ帰るという儀式がありました。現代ではこういった手段を取るのが難しいため、自宅前で迎え火を焚くのみになっています。

送り火

迎え火とは逆に、ご先祖様を見送るために焚くのが「送り火」です。お盆の最終日に、お盆を一緒に過ごしたご先祖様たちが無事に帰れるよう、迎え火を焚いたのと同じ場所で焚きます。キュウリやナスで作った精霊馬もこの時一緒に燃やすようにします。

ご先祖様たちはこの煙に乗って帰っていくと言われており、地方によってはこの日を灯篭に入れて川に流す「灯篭流し」が行われることもあります。

京都の五山で毎年8月16日に行われる「京都五山送り火」は全国的に有名な送り火です。五山に焚かれた大きな「大」の字は「大文字の送り火」とも言われており、死者の霊をあの世に送り届けるために焚かれる送り火の一つです。

ちなみに浄土真宗では、人は亡くなった瞬間に仏の元に行くとされています。そのため先祖の霊を迎えるという考え自体が無く、迎え火や送り火は焚きません。

 

迎え火・送り火を焚く時期

迎え火はお盆の初日に、送り火はお盆の最終日に行います。お盆には新盆と旧盆があり、新盆は7月の15日前後、旧盆は8月の同じく15日前後の土日にかけて行われます。

全国的に見るとほとんどの地域は旧盆で、新盆が取り入れられている地域は東京や神奈川の一部だと言われています。お盆の初日と最終日は毎年変わるので、カレンダーで確認するようにしましょう。

火を焚く時刻ははっきりと決まっているわけではありませんが、いずれも夕刻以降とされています。

迎え火は日が暮れ始め、明るさが多少残っている夕刻の初めから、送り火は日がとっぷりと暮れた時間に焚くのが一般的です。少しでも長くご先祖様たちに留まってもらいたいという気持ちが込められているのでしょう。

 

迎え火・送り火に必要な道具

苧殻(オガラ)

皮をはぎ取った麻の茎を苧殻といいます。お盆の迎え火、送り火で使われると共に、精霊棚に乗せるお供えものの下に敷く箸として使われます。

お盆の時期になるとスーパーなどで「お盆セット」として売られるのを良く見かけるようになります。

麻は悪いものを寄せ付けない植物と考えられていたため、ご先祖様の霊だけを導き、悪霊を寄せ付けないようにするという意味で苧殻を焚くようになったと言われています。

焙烙(ほうろく)

素焼きの平皿で、苧殻を燃やすために起きます。焙烙は仏具店や通販サイトなどでも購入できますが、持ち合わせていない場合は耐熱の平皿で代用しても構いません。

精霊馬

キュウリとナスで作るお供え物の一つです。キュウリは馬に例えられ、この馬に乗って少しでも早く来てほしい、ナスは牛に例えられ、ゆっくりと帰ってほしい、つまり「少しでも長く留まってほしい」という願いの込められたお供え物だと言われています。

夏の収穫が順調だったことを報告する意味が込められていると言う説もあります。

 

最近の迎え火・送り火

このように、古くからの日本の習わしとして行われてきた迎え火と送り火ですが、最近はマンションなどの集合住宅の増加や様々な住宅事情もあって、あまり見られなくなってきました。

集合住宅の場合は安全面から電池式の提灯等で代替することもあるようです。

お盆の風習として古くから行われてきた「迎え火」と「送り火」ですが、ご先祖様を家族全員でお迎えするという気持ちがあれば、あまり型式に捕らわれる必要はないでしょう。

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