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死亡退職金の意味

多くの企業には、退職金制度があります。一定期間就業した従業員に対し、規定に添った金額を支払う性質のものです。定年時に支払われる定年退職金をイメージする人も多いかもしれませんが、この規定は企業によって実に様々です。3年以上勤務した場合に支払われるケースもあれば、もっと長い年数の勤務が必要なケースもあります。また、退職金制度そのものが無い企業も最近では増えています。

社会保険の加入と違って退職金には制度化の義務が無いため、その内容は会社によって実に様々です。

退職金とは、本人の意思による退職、または会社の規定による定年を迎えた際に会社から従業員本人に支払われるものです。しかし、不慮の事故や事件などによる死亡で、本人の意思とは関係なく事実上退職となるケースがあります。この際に支払われる退職金のことを「死亡退職金」と呼びます。

死亡退職金は、本来であれば従業員本人が退職時に受け取るはずだった退職金を、本人に代わって遺族が受け取るものです。

死亡退職金を受け取る人

もともと退職金自体が法的な制度ではないため、死亡退職金の受取人が法律で決められているという事はありません。しかし、一般的には法定相続人を受取人とする企業がほとんどで、これは民法によって定められています。

法定相続人とは被相続人の遺族にあたる人間で、配偶者、子、両親、兄弟姉妹などがそれにあたります。

受取人の優先順位は被相続人の配偶者、つまり妻や夫で、配偶者は常に相続人となります。配偶者がいなければ子供、配偶者も子供もいなければ両親、次に兄弟姉妹となります。
死亡退職金は遺産分割の対象になるため、遺産分割協議によって相続の割合を決めることができます。

遺産分割協議を行わない場合は、民法で定められた法定相続分に従って遺産分割されることになります。

但し、被相続人が死亡退職金の受取人を遺言で指定していた場合には、この限りではありません。

 

見なし相続財産

被相続人が生前に所有していた財産は被相続人の固有財産であり、相続人にとっては相続財産になります。しかし死亡退職金は被相続人の死亡後に支払われるため、被相続人固有の財産とは言えません。
但し被相続人が亡くなることによって相続人が得る財産であることは間違いなく、これを税法上では「みなし相続財産」と呼びます。

みなし相続財産の代表的なものは、死亡退職金や死亡保険金などです。

 

死亡退職金にかかる税金

退職金を本人が受け取った場合は退職時の一時所得として所得税の課税対象となりますが、死亡退職金を遺族が受け取る場合は相続税の課税対象になります。国税庁では、相続財産と見なされる死亡退職金について以下のように定めています。

 

・対象

退職金、または功労金など、受け取る名目に関わらず実質的に退職手当金として支給される金品。従って、現金ではなく現物で支給された場合も含まれる。

・被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの

(1) 死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

(2) 生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

 

死亡退職金の全てが相続税の対象となるわけではありません。全ての相続人が相続した死亡退職金の手当や現物などを合計した額が非課税限度額以下の場合は、課税の対象にはなりません。
非課税限度額の計算式は以下の通りです。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

(1) 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

(2) 法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

※国税庁ホームページより抜粋

例えば死亡退職金2,000万円を故人の妻、子二人で相続した場合、500万円×3人=1,500万円までが非課税となり、課税対象となるのは死亡退職金2,000万円―1,500万円=500万円となります。
死亡退職金が1,500万円の場合は全て非課税になるといった具合です。

受け取った死亡退職金が課税対象になるか分からない場合は、一度税務署に相談してみると良いでしょう。

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