お葬式のマナー
お葬式のマナー
コロナ感染防止対策から考えるお葬式
2020年4月に発令された緊急事態宣言。「密閉」「密集」「密接」の三密を防ぐため、不要不急の外出を避けるよう、「外出の自粛」が呼びかけられています。
このような状況において、お葬式は不要不急の対象になるのでしょうか。
ここでは、コロナ感染防止対策とお葬式いついてご紹介します。
(この記事は5月10日時点の情報をもとに作成されています)
お葬式は「不要・不急」にあてはまらない
人の死は急におとずれるもの。遺体を安置する場所や火葬のタイミングもあり、長期にわたって延期できるものではありません。そのため、葬儀場も社会生活を維持するために必要な施設として、「不要・不急」の自粛対象となってはいません。
エンバーミングを施せば遺体を長期保存できますが、それも数週間単位がやっとです。コロナの収束時期を待つとなると、遺体を火葬しないで維持しておくのは不可能ということになります。そのため、お葬式は緊急事態宣言下でも自粛要請の対象とならない儀式になります。
しかし、密閉された場所に多くの人が集まると言う点で、感染のリスクが高いのも確かです。
自粛の対象とはなっていなくとも、実際には多くの遺族がお葬式を自粛せざるを得ない状況になってしまっているようです。
また、お葬式に関係しているのは感染に対する懸念だけではありません。実は日本で使用される棺の約9割が中国産と言われており、遺体を納める棺の不足も問題になっているようです。
もちろんこれは棺に限ったことではありません。中国経済が立ち直るまでは、中国に依存してきた物資が不足し続ける事態が続きそうです。
増える火葬式、家族葬
こういった背景から、コロナ感染防止のためにやむなく直葬や火葬式を選んだり、一般葬を予定していた遺族が急遽家族のみで行う家族葬へ変更したりするケースが増えているようです。
また、一般的なお葬式はお通夜とお葬式を2日間に渡って行いますが、これを短縮する1日葬を選択し、最低限の人数で実施するケースも増えています。もし今後緊急事態宣言が解除されたとしても、しばらくはこの傾向が続くと考えられます。
このような状況下では仕方ないこととは言え、大切な家族との最後のお別れをしっかりと行えないのは遺族にとって心残りでしょう。
葬儀社の取っている対応
葬儀場は社会生活を維持するために必要な施設となっているため、ほとんどの葬儀場は24時間受付可能な体制を継続し、通常営業しています。しかし、感染防止のために様々な対策を取っているようです。
入り口や斎場の各所にアルコール消毒液を設置したり、スタッフが全員マスクや手袋を着用したりするだけでなく、遺族、参列者へのマスク着用の呼びかけは多くの葬儀場で実施しています。
また、会場は念入りに除菌する、お通夜やお葬式での席の間隔を通常よりも多く取る、換気を頻繁に行う、などの対策を取ることによって濃厚接触や感染拡大を避けるようにしています。
葬儀場によっては入場時に検温し、発熱が認められる場合には参列をお断りする対応を取っている場合もあるようです。
せっかく故人と最期のお別れをと訪れた会葬者にとっては残念なことですが、このような状況下では致し方ないことと言わざるを得ないでしょう。
後日葬や、お別れ会という選択肢も
「グリーフケアとお葬式」でもご紹介していますが、お葬式は遺族のグリーフケアの一つと考えられています。喪失感と向き合い、故人の死を受け入れると言うプロセスに重要な役割を果たしているため、「緊急事態宣言下だからお葬式ができなくても仕方ない」と割り切れない遺族がいるのも確かです。
やむなくお葬式を断念した遺族に、のちのち「大切な家族ときちんとお別れできなかった」という後悔が残ってしまうのはとても残念なことです。こういった場合は、後日正式なお葬式を行ったり、お別れの会を行ったりする選択肢もあります。
後悔を残さないように、ぜひとも遺族間で様々な選択肢について話し合うことをお勧めします。
親戚や知人、友人も弔問を避けざるをえませんが、弔電や手紙などで弔意を表すことはできます。電話をしても問題ありませんが、あまり長時間話すのは避け、遺族の負担にならない範囲で行うようにしましょう。