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お盆とは

お盆とは、祖先の魂を供養するために行われる夏の行事で、この時期には先祖の魂が浄土からこの世へ降りてくるといわれています。お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」で、お盆はその略称です。

お盆は本来7月中旬に行われるのが主流でしたが、ひと昔前までは農作業を行う人が大半を占めており、7月中旬は農作業で忙しい時期でもあったため、少しずつずれて8月中旬に行われるように変化していきました。現在では、7月の場合は7月13日から4日間、8月に行われる場合は8月13日から4日間とする地域が多い傾向があります。日本では、この時期には仕事を休んで先祖の供養を行うという考えが元になり、「お盆休み」が定着するようになりました。

 

お彼岸とは

一方、お彼岸は春分の日と秋分の日を中日とし、その前後3日間を合わせた7日間で行われる行事です。春分の日と秋分の日は年によって若干のずれはありますが、春分の日は3月20日か21日、秋分の日は9月22日か23日に設定されます。これらの日付は、太陽が真東から昇って真西へ沈む日で、昼の時間と夜の時間が全く同じ長さであるのが特徴です。

仏教の世界では、私達がいる世界を「此岸(しがん)」、仏様がいる極楽浄土を「彼岸」と言い、極楽浄土は西にあるとされています。そのため、真西に太陽が沈む春分と秋分の日は仏様の世界へ通じやすい日であり、此岸と彼岸が最も近づく日とされているのです。

 

また日本では、自然の恵みに対する感謝を伝えるために祈りを捧げる風習があるため、種まきが行われる春や収穫が行われる秋に、ご先祖様へお参りをする風習も重なり、お彼岸という行事が根強く広がっていきました。

 

お盆とお彼岸の違いとは

このようにお盆とお彼岸はどちらもご先祖様を供養する日本の伝統行事ですが、起源や時期、意味合いには異なる点があります。
お盆は主に7月または8月に行われ、ご先祖様の霊が家に戻ってくると信じられる期間です。お盆の期間中、家族は故人の霊を迎え入れ、自宅で供養をします。

一方、お彼岸は春と秋の年に2回、それぞれ春分の日と秋分の日を中日とする7日間に行われます。お彼岸は「彼岸(あの世)」と「此岸(この世)」が最も近づくとされる期間で、祖先を供養するとともに、自身の修行と徳を積む機会でもあります。仏教的な行事としての側面が強調されており、「六波羅蜜」という六つの修行を行うことも推奨されています。

 

お彼岸とお盆、それぞれにやるべきこと

お盆とお彼岸の両方で共通して行うべきことには、墓参りや仏壇の掃除、供え物の用意、法要の実施などがあります。しかし、それぞれの行事特有の習慣や準備も存在します。

お盆では、家に故人の霊が迷わぬように玄関に提灯を置いたり、霊を迎え入れるための「迎え火」を焚き、送り出すための「送り火」を行うことが一般的です。仏壇には特別なお盆飾りを施し、精霊馬(きゅうりやなすで作られた馬や牛)を供える地域もあります。これらは、ご先祖様が速やかに来てゆっくり帰れるようにとの願いを込めたものです。

お彼岸の期間中には、特にお墓参りが重視されます。この時期は、彼岸(あの世)との距離が最も近くなるとされ、ご先祖様への想いがより一層強く伝わると信じられています。また、お彼岸の時には「ぼた餅(春)」や「おはぎ(秋)」を供える風習もあります。これらの和菓子は、餡子が煩悩を取り除くとされる仏教の教えに基づいています。

 

それぞれのお墓参り

お盆のお墓参りは、家に帰ってくるご先祖様を迎え入れる前後に行うのが一般的です。お墓を掃除し、新しい花や線香を供えてから、家に迎えるための「迎え火」をお墓で点火し、持ち帰ることもあります。お盆期間中は、家族全員が集まってお墓参りをすることが多く、地域や宗派によっては「棚経(たなぎょう)」と呼ばれる僧侶による読経をお墓や自宅で行うこともあります。

お彼岸のお墓参りは、お彼岸の中日(春分の日・秋分の日)を中心に行われます。お墓を掃除し、お花やお供え物を整えるのはもちろんのこと、彼岸と此岸の距離が最も近くなるこの時期に、ご先祖様に対する感謝の気持ちを込めてお参りをします。また、この期間には仏教の修行に励むことも勧められており、心を清め、徳を積む機会としてお墓参りが重視されています。

このように、お盆とお彼岸にはそれぞれ異なる意味と習慣がありますが、共通しているのはご先祖様への敬意と感謝を捧げる行事であるという点です。地域や家族の風習に従いながら、それぞれの行事を大切にしていきましょう。

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