お葬式が終わったら
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株式の相続方法
預金好きと言われる日本人ですが、最近は資産運用の認識が広まり、資産として株式(有価証券)を保有する人が増えてきました。
但し相続の観点から見ると、株式は手続きが多少面倒です。相続の方法や気を付けるべき点などに関しては「相続の注意点」でもご紹介しましたが、ここでは「株式」の相続に焦点をあててご紹介します。
株式と現金・預貯金の相続の違い
株式の相続が現金や預貯金と違うのは、主に以下の点です。
●相続の割合が必ずしも法廷相続の割合と一致せず、遺産分割協議を行う必要がある
●相続にあたってまず証券口座を開設する必要がある
●評価額が日々変動する
●相続するまでに必要な書類が多い
詳しくは、以下でご紹介します。
株式の分割方法
●相続の割合が必ずしも法廷相続の割合と一致しない
株式を相続する場合、必ずしも法定相続の割合に合わせて分割相続するとは限りません。
例えば夫婦と長男次男4人家族の父親が亡くなると、現金や預貯金であれば妻が5割、残りを子供の人数で等分するのが一般的です。
しかし株の場合は、すべての遺産を計算した上で、家族間の協議によって分割されます。不動産のように分割しいにくいものを妻が相続し、株を兄弟で半分ずつ、または兄は他の資産を相続するため弟が株式のすべてを相続する、といったケースも十分にあり得ます。
一般的に、株式の相続手順は以下のようになります。
【1】遺産分割協議を行う
株式の相続人が複数の場合は分割相続が必要になります。相続の割合は、遺族がどのように相続するかを決める「遺産分割協議」によって決定されます。この協議が終わるまでは、株は相続人の共有財産とみなされ、移管や売却することはできません。
中にはなかなか話し合いがまとまらず、遺産分割協議が長期にわたるケースもあるようです。
あとあとトラブルを招かないためにも、協議内容がまとまったら遺産分割協議書を作成しておくと良いでしょう。これは相続税の申告時にも必要になる重要な書類です。
【2】株式の名義変更手続き
●証券口座を開設する
遺産分割協議によって相続の割合が決まった後は、株式の名義変更手続きを行います。故人と相続人の口座が同じ証券会社にあれば比較的手続きは簡単ですが、別の場合は手続きが少し煩雑になってしまいます。まずは故人と同じ証券会社に口座を開設し、同じ証券会社の口座同士で株を移管するほうが良いでしょう。もし証券口座をいくつも持ちたくないという場合は、いったん移管したあと、もともと自分が所有していた証券会社に株を移管すれば良いのです。
現金化を希望する場合
●評価額が日々変動する
株式の評価額は日々変動します。相続人が複数いた場合、手続きの時期によっては評価額に差が出る可能性があります。
相続人Aが移管した時よりも相続人Bが移管した時のほうが株式の評価額が下がっていることは十分に考えられますので、たとえ均等に分割していた場合でも相続した金額に差が出る可能性があることは覚えておくと良いでしょう。
もし相続人全員が現金化することを考えている場合には、代表相続人を決め、代表相続人が一般口座を作成していったん移管した株式を売却し、代金を分割するという方法もあります。
●相続するまでに必要な書類が多い
遺産分割協議書をはじめ、口座開設、移管手続きなど、手続きが多い分必要な書類も多いのが株式の相続の特徴です。
主に必要な書類は以下を参考にしてみて下さい。
●遺産分割協議書、または遺言書(分割の割合について記載がある場合のみ)
●相続人全員の印鑑証明
●戸籍謄本
●印鑑証明書
●証券会社の口座開設申込書
●株券名義書換依頼書
●被相続人の除籍謄本(口座の名義人が亡くなったことを証明できる書類)
相続税は現金持ち出しになるか
株式は現金や不動産と同様資産になりますので、相続した以上相続税が発生します。株式のまま保有しようとすると、相続税は手元の資金から支払うことになります。もし手元に現金が無ければ相続した株を売却して相続税を支払う必要があります。
もちろんすべての株式を売却する必要は無く、相続税を支払うのに必要な分だけを売却すれば問題ありません。但しこの時にも評価額は日々変動しており、売却のタイミングによって売却益が変わることを念頭に置いておいて下さい。