お葬式が終わったら
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親のお墓に入る?自分の墓を建てる?
核家族化が進み、「墓」を継ぐという意識が薄れてきている今、お墓に関する様々な問題が出てきています。子供や親戚がたくさんおり、慶事や法事だけでなく様々な場面で親族との関わりが多かった時代は、実家の家を子が継ぐのと同じように、親のお墓も子が継ぐのは当たり前という考えが一般的でした。しかし現在では、子供のいない夫婦や、子供がいても未婚のままである家族が全体の半数以上を占め、今までの慣習を受け入れるにはなかなか難しい状況となっています。ここでは、様々な状況下における現代家族が抱える問題と、解決策についてご紹介します。
実家が非常に遠くにある場合
●深刻化する実家離れ
現代の日本では、大学進学や就職を期に実家を出て都心へ引っ越し、それからずっと都心で生活しているという人は少なくありません。また、最近では実家がどこにあるかに関係なく、住みたいところに拠点を移す人も増えているため、このような人達を中心に実家離れが深刻化しています。実家離れの問題は、都心から離れた土地であればあるほど多いのが特徴です。
しかし、少子高齢化が問題となっている現在でも、先祖代々受け継がれた土地や家、お墓は、子孫に受け継いでもらいたいと思っている親が多いのが現状です。これは、既に実家から離れた場所での生活が中心となっている子にとって、非常に悩ましい状況です。たとえ新しい土地で新たな生活拠点を作っても、先祖代々のお墓がある場合は、そのお墓へ入る必要があるのでしょうか。
●お墓は「改葬」する?それとも「分骨」する?
お墓の所有権が自分へ渡り、そのお墓が現在住んでいる場所からは離れた場所にある場合、お墓の管理はどうすればよいのでしょうか。元気なうちは、多少遠くても実家へお墓参りできますが、自分が高齢者になると、なかなかそうはいきません。また、新たな土地で長い間過ごしていれば、自分が骨を埋める時がきたら、できれば愛着のある地に骨を埋めたいと思うのも自然な流れです。
ここで考えるのが、お墓の「改葬」あるいは「分骨」です。「改葬」は、埋められている遺骨を新しいお墓へと移し、代々受け継がれたお墓は処分して更地に戻すという方法です。お墓を自分の近くへ引っ越しさせることで管理しやすくなり、また、自分が愛する土地に自分もいつか入れるという長所がある一方、先祖代々つけ継がれてきた土地を手放す必要があります。「分骨」は、代々受け継がれたお墓はそのままにしつつも、遺骨の一部を新たな土地へと移し、一緒に遺骨を保管するという方法です。これなら昔ながらのお墓もそのまま残しつつ、新しい土地にもお墓を構えることができますが、引き続き遠方のお墓の管理をしなければならないという事実もついてきます。「改葬」と「分骨」、いずれも一長一短ありますので、お墓をどのようにするかは、親族としっかり相談して決めた方がよさそうです。
継承者がいない場合
●妻はどこのお墓に入るのか?
子がいない場合は、お墓は誰が継ぎ、そして妻はどこのお墓に入るのでしょうか。一般的に、お墓の継承者は、お墓の所有者の指名によって決められます。そのため、お墓の継承者が子ではなく、妻である場合も十分にあり得ます。そもそも妻が夫のお墓に入らなければならないという法律上の決まりはないため、嫁ぎ先ではなく実家のお墓に入ったり、墓を立てたり、共同墓へ入ったりすることも可能です。
●一人っ子同士の結婚である場合
また、結婚したもの同士が一人っ子であった場合、お墓の管理で出費がかさんでしまうケースがあります。このような場合は、夫婦相談の上、お墓を一つにまとめて「両家墓」にするという方法を取れば管理費を抑えられ、納得のいく場所や大きさでお墓を立てることができます。両家墓が可能でない霊園もありますので、それぞれの決まりなどをしっかりと確認しておきましょう。
永代供養墓へ入る場合
●永代供養墓とは?
お墓を維持できない人のために、「永代供養」という方法もあります。親族に代わって寺院や霊園が遺骨を預かり、供養する方法です。
墓地のように墓石や土地が必要ないこともあり、費用が安価な点が利用者を増加させている原因の一つのようです。手入れもお墓参りもままならない状況よりは、しっかり供養してもらったほうが良いという考えもあるでしょう。
最近では、家族葬のように親族を集めずに友人だけで結婚式を行ったりごく少人数で行ったりと、古くから伝えられてきた伝統的な行事でさえも形が大きく変化している時代ではあります。しかし先祖を大切に想う気持ちと、供養する気持ちは忘れないようにしていきたいですね。