お葬式が終わったら
遺族年金がもらえる人
まず、遺族年金がもらえる人の条件を確認しましょう。遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに「故人によって家計を維持されていた遺族」と定義されています。
遺族基礎年金は国民年金加入者を対象とした遺族年金です。18歳未満の子供の養育に重点が置かれており、18歳未満の子、18歳未満の子のいる妻が対象とされています。
これに対して遺族厚生年金はもう少し幅が広がります。18歳未満の子がいなくても、故人によって生計を維持されていた配偶者は遺族年金を受け取ることができ、共働きなどで配偶者に年収が850万円以上あり、対象にならない場合は両親や孫にその対象が広がります。
遺族年金がもらえない人
前述の通り、遺族基礎年金は国民年金加入者を対象とした遺族年金です。
18歳未満の子供の養育に重点が置かれているため、専業主婦だったとしても18歳未満の子供がいなければ遺族年金を受給することはできません。
また、子供が18歳(正確には18歳を迎える年度の3月31日)を超えると受給できません。
遺族基礎年金は、あくまで未成年の子の養育に焦点をあてた保障の制度であると言えるでしょう。
残された配偶者が夫であっても条件は同様です。
これに対し、会社員を対象とした遺族厚生年金は、遺族基礎年金よりも対象が広がります。
妻が故人の扶養家族だった場合は18歳未満の子供がいなくても遺族年金を受給できますが、妻の年収が850万円(または所得が655.5万円)以上ある場合には、遺族年金を受給する権利がありません。
また、個人によって生計を維持されていたのが夫や両親だった場合、年収に関わらず55歳以上でなければ遺族年金が受給できない仕組みになっています。
婚姻関係の有無
配偶者が遺族年金を受給しようとする場合、戸籍上の婚姻関係にあることが前提となります。故人によって生計を維持されていたとしても、戸籍上の婚姻関係が無い場合は遺族年金を受給する資格がありません。
もし配偶者同然の生活をしていても、戸籍上の婚姻関係が無かった場合は遺族として認められず、遺族年金を受給することができません。
また、子も同様で、家族として生活していても、故人が法律上認知していない子の場合は、遺族年金を受給できない仕組みになっています。
但し、戸籍上の婚姻関係になくとも長期に渡って事実上の婚姻関係にあり、それを証明できれば遺族年金を受給できる可能性があります。
保険料に滞納があると受給できない?
故人と戸籍上の婚姻関係にあり、扶養家族であるなどの「生計を維持されている」状態であっても、遺族年金をもらえないケースがあります。
「遺族基礎年金の受取り方」や「遺族厚生年金の受取り方」でもご紹介している通り、遺族年金を受給するためには加入期間の2/3以上の保険料納付期間が必要になります。
つまり、滞納機関が長いと婚姻関係や生計を維持されているなどの条件を満たしていても、遺族年金を受け取れない可能性があるため、注意が必要です。
特例があり、死亡日の前々月までの1年間に年金の未納が無ければ受給することができますが、これにも死亡日が令和8年4月1日以前で、死亡日に万65歳未満であること、などの前提条件がつきます。
但し国民年金は2年1か月前までの分は遡って支払うことができるため、遡って支払うことで2/3の保険料納付期間の条件を満たすことができれば、遺族年金受給の権利を得ることが可能になります。
以前は10年分をさかのぼれる「後納制度」などの救済措置がありましたが、平成27年9月30日をもって終了しています。
年金の支払い状況は年に1回の誕生日月に「年金定期便」でお知らせされます。インターネットで確認できるサービスも提供されていますので、主たる生計維持者の保険料に未納機関がないかどうかは確認していたほうが良いでしょう。
遺族年金をもらいながら、自分の年金受給が始まった時
遺族厚生年金を受給している配偶者が、自分自身も年金受給が開始する年齢に達した場合はどうでしょうか。以前は両方を受給することができましたが、平成19年から改正になりました。
これにより、自分の老齢年金受給が始まると、その金額分だけ遺族厚生年金の支払いが停止されます。
以下に、遺族年金がもらえないケースをまとめましたので参考にしてみて下さい。
遺族基礎年金
●子のない妻、または子が18歳以上の妻(障害があると認定されていれば20歳)
●18歳以上の子(障害があると認定されていれば20歳)
遺族厚生年金
●年収が850万円(または所得が655.5万円)以上の妻
●故人が亡くなった時点で55歳未満の夫、両親
遺族基礎年金、遺族厚生年金共通
●故人と婚姻関係が無い(但し事実婚を証明できれば受給できる)
●故人が保険料を2/3以上払っていない(滞納がある)
●老齢年金の支給が開始されたとき