お葬式が終わったら
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お彼岸のタブーとは
お彼岸は、お墓参りや法要を行って先祖を供養する期間です。
この時期にやってはいけないことや、避けるべきことはあるのでしょうか。
ここでは、お彼岸の期間にはタブーと言われていることについてご紹介します。
お彼岸とは
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、彼岸は季節を表す言葉だと思っている人も多いでしょう。しかしそもそも「彼岸」とは彼方にある岸のこと、つまりあちら側の世界という意味で、仏教用語に由来しています。それに対してこちら側の世界、この世は「此岸(しがん)」と言われます。此岸と彼岸は三途の河によって分けられており、此岸にいる人間たちは修行を積まなければ彼岸へは行けないとされています。
欲や煩悩にまみれたこちら側である此岸を脱し、悟りの世界であるあちら側、つまり彼岸に至るための修行をする期間であるというのが「彼岸」の考え方なのです。
もともとの意味を考えれば、お彼岸の期間はいつもより熱心に修行をする期間だと言えます。実際、この期間に彼岸会の祈祷を行う寺院も多くあります。
しかし、お彼岸の時期には先祖供養の意味を込めて家族そろってお墓参りをするというのが、一般的な過ごし方だと言えるでしょう。
お彼岸でしてはいけないこととは
お彼岸の期間にするべきことは、仏教徒の場合はさらなる修行、一般の場合はお墓参りや自宅での供養などです。
逆に、お彼岸の期間にやってはいけないことはあるのでしょうか。
●結婚式などのお祝いごと
仏教行事であるお彼岸の期間にお祝い事をするのはタブーだと考えている人もいますが、特に根拠はありません。お彼岸は喪に服す期間ではありませんので、結納や結婚式などのお祝い事を避ける必要は特にありません。
但し、お彼岸の期間にはお墓参りや法事の予定を入れる人も多く、お彼岸のお墓参りをとても大切な行事と考えている地域もあります。お墓参りと結婚式などの行事が重なると、遠方から出向く親族などにとっては負担になることも考えられます。そういった意味で、避けた方が良いと考える人はいるかもしれません。お彼岸の時期に行事を行う場合には、出席者の状況にも配慮した対応が必要になると言えます。
●引越し
引っ越しや地鎮祭など、新たに始めることに関してはどうでしょうか。こちらもお祝い事と同様、仏教的にタブーと言うことはありません。特に、転勤などを伴う引っ越しの場合は、お彼岸の時期しか日程が取れないという場合もあるでしょう。
但し、引っ越しは心身ともに負担が大きい作業でもありますので、その疲れからお彼岸の供養をすっかり怠ってしまった、ということにならないようにしたいものです。
●新車の購入、納車
お彼岸の期間中に新車を購入したり、納車したりするのは縁起が悪いと考える人がいます。この時期に納車をすると事故を起こすという迷信を信じている人もいるようです。しかし、これも結婚式や引っ越しと同様、仏教の教えではありませんので、気にする必要はありません。
どうしても気になるという人は、お寺や神社に行って無事故の祈願を依頼してはどうでしょうか。
彼岸花を持ち帰るのはタブー?
お彼岸と言えば、赤く咲く曼殊沙華を思い浮かべる人も多いでしょう。一般には「彼岸花」と呼ばれ、お彼岸の時期には色々な場所で目にします。
子供の頃にこの花を家に持ち帰って、家族に叱られた経験のある人も多いのではないでしょうか。「彼岸花を持ち帰ると家が火事になる」という言い伝えを聞いたこともあるでしょう。
なぜ彼岸花を家に持ち帰るのがタブーなのか?それには訳があります。
実は彼岸花は自然に生えているのではなく、人間が意図的に植えたものです。草花の部分には弱毒性が、根茎部分には強毒性があります。
そのため、動物に掘り返されると困る場所、つまり畑や田んぼの周りに植えてネズミやモグラを防いだのが始まりです。
墓地にたくさんの彼岸花が咲いているのも同じ理由で、火葬が今のように一般的になる前は土葬が主流でした。遺体が土に帰る前に掘り起こされないよう、動物が避けるように植えた毒性のある植物が彼岸花だったのです。
もしこれを子供が何も知らずに持ち帰って、口にするようなことがあると大変です。そのため、様々な理由をつけて彼岸花を持ち帰ることを戒めたのがこの迷信の始まりです。
火事になるというのは、彼岸花の赤い花から連想されたものだという説もありますが、因果関係はありません。
このように、お彼岸の時期にやってはいけないことというのは特にありません。
もしあるとすれば、先祖との距離が近くなっているお彼岸の時期に供養を怠ることでしょう。墓地が遠方にある場合や、ケガや病気で動けないなど、様々な事情でお墓参りに行けないこともあるかと思います。こういった場合は、無理をしてお彼岸の期間にお墓参りをしなくても、時期をずらして問題ありません。
それでも、先祖を供養する気持ちは忘れないようにしたいものです。