お葬式が終わったら
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相続税から控除できるお葬式費用
お葬式費用は相続財産から控除できる支出です。ただし、お葬式費用には様々な費目があり、何が控除できて、何ができないのかはよく分からない人が多いでしょう。
ここでは、相続財産から控除できるお葬式費用についてご紹介します。
相続財産とは
相続財産とは、家族が亡くなった時に残された遺族や親戚に引き継がれる権利や義務のことを差します。相続財産には住宅や土地、車や貴金属、美術品などの有形のものから、有価証券やゴルフ会員権、著作権など無形のものがあり、借入金などのマイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産を相続した場合は別ですが、プラスの財産があれば相続税の対象になるため、必ず申告する必要があります。
しかし、相続税には基礎控除をはじめ以下のように控除対象があり、その一つがお葬式にかかった費用です。
●被相続人の入院・治療費の未払い分
相続開始後に支払った被相続人の入院費用や治療費用は相続財産から控除することができます。支払ったのが相続開始前の場合は、確定申告の際に医療費控除します。
●借入・債務
被相続人が銀行などから借り入れた借入金の残額、その支払い利息は控除の対象となります。また、相続開始の時点で確実な債務も控除できます。例えば税金や事業上の買掛金、未払い金などです。
●お葬式費用
お葬式費用は相続財産の控除対象です。但し、全てが控除できるとは限らず、対象が決められています。
相続税の控除対象になるお葬式費用
お葬式にかかった費用の中で、相続税の控除対象となるのは以下の通りです。
●死亡診断書
死亡診断書の発行には一般的に3,000円~10,000の費用がかかりますが、この費用も控除の対象になります。
●搬送費用
遺体を安置場所、または葬儀場に搬送する費用は控除の対象になります。また、遺体の捜索にかかった費用も控除の対象に含まれています。
●通夜費用
●お葬式費用
通夜、お葬式などを執り行うためにかかった費用は、会場の使用料や祭壇、棺などのお葬式基本費用をはじめ、飲食接待費なども控除の対象になります。
●宗教関係者費用
お布施・戒名料、導師に渡すお車代など、宗教者関係費用は控除の対象になります。但し、お布施や戒名料には領収書がもらえないため、金額と用途、日付をしっかり記録しておきましょう。
領収書がもらえないと控除の対象にならないと思っている人もいますが、領収証がなくてもきちんと記録があれば控除の対象にすることができます。
●火葬、埋葬費用
火葬、埋葬の費用だけでなく、埋火葬証明書の発行にかかった費用も控除の対象になります。
●納骨費用
納骨費用は控除の対象になりますが、この後説明する四十九日の法要にかかった費用は控除の対象になりません。四十九日の法要と同時に納骨を行う場合、領収書は分けてもらっておきましょう。
●受付やお手伝いをしてくれた人に渡す心づけ
受付や駐車の誘導など、お手伝いをしてくれた人に渡す心づけも控除の対象になります。但し戒名料やお布施と同様に、領収書がもらえない費用になりますので、支払った相手、金額、日付、用途などをしっかり記録しておく必要があります。
相続税の控除対象にならないお葬式費用
お葬式関連の費用でも、以下に関しては控除の対象になりません。
●香典の返礼品
●墓地
●墓碑
●位牌
●法要にかかる費用
初七日、四十九日などの中陰法要、一周忌などの年忌法要にかかった費用
葬儀費用を積み立てていた場合
互助会などで葬儀費用を積立ていた場合を考えてみましょう。
被相続人が自分のお葬式のために積立ていたのであれば、それは被相続人の財産となり相続税の対象になります。たとえばお葬式にかかった費用が総額で200万円だったとして、互助会の積立が50万円あったとします。
その場合、積立金の50万円は相続税の対象になりますので、相続税の控除の対象になるのは残りの150万円ということになります。
但し、積立を相続人が行っていた場合は話が変わります。
例えば子供が両親のために互助会で積立をしていた場合は、自身が積立金を充当してお葬式の費用を支払ったことになるため、お葬式費用の全額が控除の対象になります。
このように、お葬式にかかった費用には相続税の控除対象になるものとそうでないものがあります。相続税の申告の際には、参考にしてみて下さい。