お葬式が終わったら
死亡一時金とは
死亡一時金とは、一家の生計を担っていた世帯主が亡くなった際、遺族に支払われる年金の一つです。国民年金の第一号被保険者に向けて支払われるもので、厚生年金の加入者は対象になりません。
遺族基礎年金は18歳未満の子供の保護を目的にしているため、子供のいない妻や、子供がいても18歳以上の場合は遺族基礎年金が受給できない仕組みになっています。
しかし、故人が一家の生計を担っており、かつ18歳未満の子供のいない遺族の生活は何の補助も受けられず困窮してしまいます。
また、被保険者が老齢年金を受け取らないまま亡くなった上、遺族に18歳未満の子供がいなければせっかく支払ってきた年金を一円も受け取ることが無い状態となってしまいます。
そのような状態を避けるために、少額ではありますが支給されるのが「死亡一時金」です。
死亡一時金の受給対象
死亡一時金の受給対象は以下の通りです。
・被保険者が第1号被保険者として保険料を納めた月数が36か月以上ある
(但し、3/4納付月数は3/4月、1/2納付月数は1/2月、1/4納付月数は1/4月として計算される)
・被保険者が老齢年金・障害基礎年金を受けないままに亡くなった
・遺族基礎年金が受給できない
上記を満たす被保険者に、生計を維持されていた配偶者、子供、父母、孫、兄弟姉妹などが受給することができます。但し受給できるのはこの中の一人のみで、優先順位が一番高いのは配偶者です。
配偶者がいない場合は子供、子供がいない場合は父母という具合に、優先順の高い順に支払われます。
死亡一時金受給条件
受給対象者が、以下の受給条件を満たした場合に死亡一時金を受け取ることができます。
・被保険者によって生計を維持されていた
・被保険者と同居していた、または別居していても仕送りを置けている、健康保険の扶養親族になっている
・配偶者の場合、婚姻関係にある(事実婚であっても、生計を維持されていたことが証明できれば認められる)
・被保険者が死亡してから2年以内に申請をしている
死亡一時金には時効があり、故人の死後2年以内に申請を行わないと受給資格が失効するため注意が必要です。
受給できる金額
死亡一時金は最低36か月以上の保険料納付が支給条件となっていますが、さらに長い期間納めていれば納付月数によって金額が上がる仕組みになっています。
納付月数の合計 | 死亡一時金 |
36月以上180月未満 | 120,000円 |
180月以上240月未満 | 145,000円 |
240月以上300月未満 | 170,000円 |
300月以上360月未満 | 220,000円 |
360月以上420月未満 | 270,000円 |
420月以上 | 320,000円 |
付加保険料※を納めた月数が36か月以上ある場合は、上記に加えて一律8,500円が加算されます。
※付加保険料とは、定額保険料に付加保険料400円の上乗せして支払うことで、受給する年金額を増やすことができる保険
死亡一時金の申請
死亡一時金の申請は、住民票のある市区町村役場、または近くの年金事務所、年金相談センターにて行います。必要な書類は以下の通りです。
亡くなった方の年金手帳 | 提出できないときは、その理由書 |
戸籍謄本(記載事項証明書) | 死亡者との続柄および請求者の氏名・生年月日の確認のため |
亡くなられた方の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票の写し | 死亡者との生計同一関係の確認のため |
受取先金融機関の通帳等(本人名義) | カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳またはキャッシュカード(写しも可)等請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要 |
印鑑 | 認印可 |
(日本年金機構ホームページより抜粋)
死亡一時金が受給できないケース
死亡一時金は必ず受給できるものではありません。受給できないケースは、以下の通りです。
・被保険者が生前に老齢年金、障害基礎年金を受給していた
・遺族基礎年金が受給できる
・寡婦年金を受給する
・被保険者が死亡してから2年以上経っている
遺族基礎年金を受給できない遺族への救済措置としては、死亡一時金のほかに寡婦年金があります。死亡一時金と寡婦年金はどちらか一方しか受給できないため、どちらがより多くの金額を受け取れるか計算してから申請すると良いでしょう。