忌中見舞いとは

忌中とは

そもそも忌中とは、何を指すのでしょうか。これは仏教の教えに基づいた考え方で、人は亡くなってから四十九日間、六道輪廻（ろくどうりんね）の間をさまようとされています。これを中陰、または中有（ちゅうう）と呼びます。

この間7日ごとに十王の裁きが行われますが、四十九日目には裁きが下り、故人の魂は浄土へ召されると考えられています。この間遺族は喪に服す必要があり、お祝い事への参加はもちろんのこと、派手な行事や服装は控えなければなりません。この期間を「忌中（きちゅう）」と呼び、これが明けると「忌明け」といって日常の生活へ戻ることが可能になります。

但し、四十九日は仏教の教えに添った日数で、神式では五十日間が忌中となります。

忌中見舞いとは

忌中見舞いとは、この忌中の期間に遺族を見舞うことを言います。
弔問とは何が違うのかと言うと、いずれもお通夜やお葬式に参加できなかった人が自宅へ訪問するという意味では同様です。

しかし、弔問が故人への弔意を伝えることを目的に訪問するのに対し、忌中見舞いはどちらかというと故人に対してというよりも、遺族を気遣って訪問するのが目的です。故人を悼むことはもとより、遺族の心痛を見舞う気持ちを伝えるものと考えると良いでしょう。

忌中見舞いのマナー

●忌中見舞いの時期

忌中見舞いは忌中に訪問するのが基本のため、故人の死後3日後～四十九日目までに訪問するのが基本です。遺族の心労も重なっているため、葬儀直後は避けるようにしましょう。但し、あまり間を開けるのも望ましいとは言えません。葬儀直後を避けた1か月以内くらいに伺うのが良いでしょう。

遺族を見舞うのが目的のため、遺族の都合を最優先に考える必要があります。事前に遺族と相談してから、訪問の日程を決めるようにして下さい。遺族と日程の調整をした結果、四十九日を過ぎてしまったとしても、それは問題ありません。
くれぐれも、突然訪問するようなことの無いようにしましょう。

●忌中見舞いに持参するもの

お通夜やお葬式に参列できなかった場合に訪問することが主となっていますので、お香典の代わりに現金やお供え物を持参するのが一般的です。

●現金の渡し方

金額の相場は故人との関係性や立場によって変わりますが、基本的にお香典と同様と考えて問題ありません。詳しくはお香典の相場とマナー（リンク）を参考にしてください。

現金を包む封筒は、不祝儀袋を使います。仏教の場合、四十九日前は「御霊前」、または「お香典」などの表書きを選びます。但し同じ仏教でも、浄土真宗だけは「御仏前」を使うようにします。これは、浄土真宗では人は無くなると同時に成仏すると考えられているためです。

また、神式の場合は「玉串料」、キリスト教の場合は「御花料」の表書きの封筒を使います。迷った際は、宗派や時期を問わない「お香典」を選ぶと良いでしょう。また忌中見舞いの場合、お香典とは違ってお返しが無いのが特徴です。

●忌中見舞いの服装

忌中見舞いに遺族を訪問する際の服装は、ダークカラーを基本にした平服です。お通夜やお葬式、弔問と違うのは、あえて喪服で訪問しないことがマナーになっている点です。なぜかというと、忌中見舞いはあくまで遺族を見舞う行為であり、これに喪服を着ていくと、遺族に悲しみを思い出させてしまうからだと言われています。

但し、平服と言っても普段着と勘違いしないようにしてください。ダークカラーだからと言っても、トレーナーやデニムで訪問するのはマナー違反です。男性はダークカラーのスーツやジャケット、女性は同じくダークカラーのワンピースやツーピースなどを着用するようにします。
派手なアクセサリーや装飾品、ヘアスタイルを避けるのは、お通夜やお葬式へ参列する際と同様です。

●訪問中のマナー

遺族の自宅へ訪問し、中へ通されたらまずは弔意を述べ、お通夜やお葬式に参列できなかったお詫びを伝えるようにしましょう。四十九日前までは自宅に後飾り祭壇がありますので、そこで手を合わせてお線香をあげるようにします。

無理強いは避ける

遺族が多忙であったり、体調を壊してしまったりしている場合、忌中見舞いをお断りされる可能性もあります。そこで無理に訪問すると、遺族を見舞うはずの忌中見舞いが本末転倒になってしまいます。
その場合は無理強いをせず、時期を改めて伺うようにしましょう。