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お墓の継承者不足

お墓とは」でご紹介している通り、お墓とは遺骨を葬り、故人を弔う場所です。日本においては、お墓は祭祀(さいし)財産として祭祀継承者が受け継ぐことが法律において定められています。

一族の子孫が代々お墓を継承していき、そこに遺骨が納められて行くのが通例のため、多くの墓石には「〇〇家の墓」と記載されています。

明治民法では、“家督制度”が定められていました。この法律では、一族の長が持つ地位を嫡出長男子に継承させることが基本とされていました。

地位のみでなく、祭祀も家督継承者が継承すると定められていましたが、現在では長男・次男、また長女・次女等に関わらず、慣習的に継承者が決められると民法が改正されています(祭祀継承者とは)。

 

近年は核家族化や少子化、未婚化が進み、この「祭祀継承者」が不在となるケースが社会問題となっています。また仮に祭祀継承者がいたとしても、維持費の負担の重さから放置してしまう場合もあります。

このように継承する人も管理する人もいない墓は、「無縁墓」となって撤去されます。撤去された墓に埋葬されていた遺骨は、骨壺から取り出されて他の遺骨と一緒に埋葬されるのです。

 

合祀墓を選択する理由

このように、個別の埋葬ではなく合同で遺骨を埋葬する墓のことを合祀墓と言います。色々な人の遺骨が混ざった状態となり、遺骨は長い年月をかけて土に帰っていきます。

合祀墓を選択する事情は、大きく分けて以下の3つです。

 

継承者が不在で、無縁墓となった場合
子孫に経済的な負担を負わせたくないという親の配慮
弔い上げをした遺骨の整理

かつては継承者が不在となって放置された墓の遺骨をまとめて葬る最期の手段となっていた合祀墓ですが、最近では少し様子が変わってきています。

継承者がいない、または子に負担をかけたくないという理由から、積極的に合祀墓を選択する人たちが増えているのです。昔のように、先祖代々の墓を守るという意識が時代とともに薄れてきていることもありますが、以前とはライフスタイルが大きく変化していることも一因と言えるでしょう。

また、先祖代々の墓とは言っても無限に遺骨が納められるわけではありません。33回忌を過ぎた遺骨を弔い上げし、代々の墓に新しい遺骨の入るスペースを確保するという現実的な理由で合祀墓にする場合もあります。

 

合祀墓の種類

合祀墓にはいくつか種類があります。慰霊碑や樹木を使ったものが代表的で、始めから合祀にする場合と、永代供養で一定期間個別に埋葬されたあと合祀となる場合があります。

 

慰霊碑型合祀墓

遺骨の上に石碑や仏像を立てるタイプです。石碑には合祀となった人の名前や没年月日が刻まれることがあります。慰霊碑の下には納骨スペースがあり、そこに様々な人の遺骨が一緒に埋葬されています。

 

樹木葬型合祀墓

石碑の変わりに樹木を墓標にしたタイプです。樹木の下に複数の遺骨を納骨します。樹木のある場所に自由に埋葬できるわけではなく、「墓地埋葬法」という法律で認められた場所に限られます。樹木葬で使用される樹木は墓地によっても異なりますが、ハナミズキやサルスベリ、モミジなどの常緑樹の他、サクラやツツジなどが多く選ばれています。

納骨堂型合祀墓

納骨堂の屋内に合祀のスペースを設けたタイプです。

合祀墓のメリット

合祀墓のメリットとしては、何といっても祭祀継承者への負担を減らせることでしょう。費用も5~10万程度と、墓地を用意したり維持したりするよりはるかに低く抑えることができます。

一般に、新たにお墓を用意しようとすると平均200万円程度の費用がかかると言われているため、最大のメリットは費用を抑えられることだと言えるでしょう。

 

合祀墓のデメリット

合祀の場合、いずれも個別の埋葬は無く、他人の遺骨と合わせて埋葬されます。そのため、人によっては受け入れ難さを感じる場合もあるでしょう。

子孫に祭祀継承の負担をかけたくない一心で合祀を選択したにも関わらず、子供や孫から反発を受けてしまうことも少なくありません。また、家族で相談して合祀墓を選択しても、親戚の理解を得られていないとあとあとトラブルになる可能性もあります。

もしトラブルになったとしても、合祀墓の場合は一度他人の骨と混ざってしまうと返却は不可能です。

そういった場合は一定期間永代供養を行い、期間終了後合祀になるタイプを選択するのも一つの手です。合祀墓を選択する場合は、家族や親族間で事前によく話し合うことをお勧めします。

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