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繰出し位牌とは

繰り出し位牌(くりだしいはい)とは、回出位牌とも書かれるもので、複数の札が納められている位牌です。

位牌には故人が亡くなった時に簡易的に用いられる内位牌と、四十九日後に使われる本位牌がありますが(位牌とは)、本位牌は大きく「札位牌」と「繰出し(回出し)位牌」の2つに分けられます。

札位牌は故人一人一人の戒名と没年月日を刻むもので、一般によく目にするタイプです。夫婦の場合は連名で刻む場合もありますが、こちらは札位牌の中でも夫婦位牌と呼ばれます。連名が可能なのは夫婦のみで、夫婦以外の複数人、例えば親子や兄弟でも、基本的には位牌に連名で戒名を刻むことはありません。

これに対し繰出し位牌は屋根や扉がついた形をしており、その中に戒名を刻んだ複数の札を納められるようになっています。

もともとは寺院用に作られていたものですが、最近では在家でも使われるようになっています。

札は通常8~10枚くらい、多いものでは20枚納められるようになっていて、命日の順に重ねていきます。命日が近くなったら、一番前に札場所を移し、命日が終わったら一番後ろに回します。

 

繰出し位牌が必要な時は?

位牌は、夫婦位牌を除いて一人に一つ用意するのが基本です。そのため、最初の位牌では通常は札位牌を選ぶことになります。しかし、仏壇を先祖代々受け継いでいると、先祖の位牌がどんどん増えていきます。どれだけ大型の仏壇でも、位牌が複数になってくるといずれは全てを納めるのが難しくなってくるでしょう。そういった際に位牌をまとめられるようにしたのが繰出し位牌です。

いわば、省スペース用の位牌といったイメージです。

増えた位牌をまとめる場合と共に、繰出し位牌に切り替えるケースとして多いのは祭祀継承のタイミングです。両親から実家の仏壇を引き継ぐことになっても、最近の住宅事情では大型の仏壇を置くスペースはなかなか取れないのが現実です。そのため、継承のタイミングで小型の仏壇に買い替えるケースは少なくありません。今までよりも小さな仏壇になると全ての位牌を納めることができないため、繰出し位牌に切り替えて対処します。

また同じ継承の理由で、子供に引き継ぐ前に両親が小型の仏壇に買い替えて位牌の整理をしておくといったケースもあります。

繰出し位牌への文字入れ

まず繰出し位牌に入っている札の中の一枚に、「〇〇家先祖代々之霊位」と記します。これが位牌が何家のものかを表すものになります。

その他の札には、故人の戒名と没年月日を1枚に一人分ずつ記していきます。既にある位牌に書かれた内容をそのまま書き写すので問題ありません。

 

位牌をまとめるタイミング

札位牌を繰出し位牌にまとめるタイミングですが、三十三回忌や五十回忌を区切りに切り替えるケースが多いようです。

但し、最近では三十三回忌や五十回忌の法要を行うケースは少なくなってきていますので、必ずしもこのタイミングでまとめなければいけないということはありません。

前述のように仏壇の継承のタイミングは必ずしも法要のタイミングと合うわけではありませんので、その場合は家庭の事情に合わせてまとめて問題ありません。

複数の位牌を繰出し位牌にまとめる場合は、今まで使用していた位牌の閉眼供養を行って魂抜きをしてもらうようにしましょう。法要のタイミングであれば、寺院に合わせて依頼するのが一般的ですが、法要のタイミングでなくても依頼することは可能です。お布施の相場は1~10万程度です。その際に、新しく使用する繰出し位牌の開眼供養の魂入れも併せて行うようにしましょう。

菩提寺が特にないという場合は、位牌を購入した仏具店に相談すると良いでしょう。

 

繰出し位牌購入時の注意点

繰出し位牌は、屋根や扉のついた「屋根・扉型」と、屋根や扉の無い「箱型」があります。最近ではインテリア性も考えてデザインがすっきりとした「モダン型」と言われる繰出し位牌も人気で、素材も様々です。金額も1万円程度から50万円を超えるものまで幅広くありますので、気に入ったものを選ぶと良いでしょう。

但し、複数の札を入れられるようになっているため札位牌よりも大型になりますので、いずれを選ぶ場合でもご本尊よりも高さがあるものは避けるようにしましょう。

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