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遺言とは

遺言とは、故人(被相続人)が書面で自分の意思を証明したもののことを言います。自分の死後のために、相続や財産などに関する内容を書き記します。遺品の分け方や親族への感謝の言葉などを記すエンディングノートや、自分の人生を書き記した自分史などと違って、遺言には法的な力があります。そのため、最も優先される文書です。(遺言とは
遺言がその効力を発揮するのは本人が亡くなったあとのため、その内容をめぐってトラブルが起きることも少なくありません。
このような性質から、遺言にはその効力が保障される事項と、保障されない時効があります。それが「遺言事項」と「付言事項」です。

遺言事項とは

遺言事項は法定遺言事項とも呼ばれ、含まれる内容は明確に定められています。主な遺言事項は14項目あり、内容は以下の通りです。

法定遺言事項
1) 共同相続人の相続分の指定、または第三者への指定の委託
2)遺産の分割方法の指定、または第三者への指定の委託、および遺産の分割禁止
3)遺産分割における共同相続人間の担保責任の定め
4)推定相続人の廃除、または廃除の取り消し
5)特別受益の持ち戻しの免除
6)遺留分侵害額請求の負担方法の定め
7)遺贈
8)生命保険の保険金受取人の変更
9)財団法人を設立する意思の表示
10)信託の設定
11)認知
12)未成年後見人、未成年後見監督人の指定
13)遺言執行者の指定、又は第三者への指定の委託
14)祭祀主宰者の指定

遺言事項では、相続分の指定や遺産の分割方法、また相続人の廃除など、相続や遺産に関することを記載します。また、それを第三者に委ねることなどが指定できます。
たとえば複数の相続人への相続分を指定したい場合や、遺産を相続してほしくない相続人がいる場合などは法律に則った形で遺言に記載すれば、被相続人の死後にその効力を発揮します。
仏壇やお墓を相続して欲しい人も指定することができ、これは14)の祭祀主宰者の指定にあたります。
祭祀主宰者とは祖先を祀る役割を担う相続人で、特に継承して欲しい相続人がいる場合には、遺言に指定することができます。遺言に指定が無ければ「慣習に従う」とされています。
被相続人の子供、子供が複数いる場合には長男や長女が祭祀主催者となるのが一般的でしょう。お葬式の施行も「祭祀主催者」の役割となっています。
また、法定相続人以外に遺産を相続させたい場合も、遺言事項として記載することでその効力を発揮します。逆にこれ以外の事項については、遺言書に記載しても法的効力を持たないことになります。

なぜ付言事項を記載するのか

ではなぜ、法的には効力が無いのに、付言事項を記載するのでしょうか。法的効力が無いなら記載する意味が無いようにも感じますが、実は大切な役割を持っています。
付言事項に記載すると良い内容は、主に以下が考えられます。

遺品の処分方法
金銭的価値の無い遺品は、遺産として扱われません。しかし、腕時計は是非長男に使ってもらいたいとか、着物は娘に着て欲しいなど、自身が大切にしていたものを引き継いでほしい相手の希望がある場合はその旨を書き記しておくことができます。
直系の相続人でなくても、例えば生前よく一緒に釣りにいったから釣り具は甥にもらってほしい、孫が楽器に興味を持っていたから孫に引き継いでほしい、など、相続とは違った引き取り先を指定しておくことが可能です。

お葬式の方法
お葬式を施行する人は「祭祀主催者」として、遺言事項で指定することができます。しかし、その内容についての指定には法的効力が無く、付言事項となります。
法的効力が無いとは言え、残された家族にとっては本人がお葬式の施行に関する希望を記しておいてくれると、助かることもたくさんあります。
宗教、宗派、寺院の指定もそうですが、お葬式の形態、呼んで欲しい人などを記しておくと、遺族はそれを手がかりにお葬式を執り行うことができます。

遺言を書いた経緯
相続の配分などの具体的な内容は遺言事項として取り扱われますが、なぜそのように配分するに至ったのかについて、その経緯を付言事項として記載しておくことができます。
これにより不必要な争いを避けることも可能になります。例えば、晩年介護で負担をかけた長男の妻にわずかでも遺産を分けたいと思った場合、遺言事項として記載すれば相続を実行することができます。しかし、法定相続人ではないために他の兄弟から異論が出る可能性があります。ここでどれだけ負担をかけたか、また介護を頑張ってくれたかなどを付言事項として記載しておくことによって、遺族に納得してもらえる場合もあります。このように、特別な内容を遺言に記載する場合は是非その経緯も記しておくと良いでしょう。

付言事項に記載した内容は、場合によっては遺族の負担になる可能性もあります。受け取る側の気持ちや負担に配慮しながら、残された家族へのメッセージと思って書き記すのも良いかもしれません。

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