お葬式が終わったら
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レンタル墓に見る、現代の供養
「レンタル墓」をご存知でしょうか。
少子高齢化の進む日本で、お墓をどのように維持していくかについては深刻な問題となっています。また、核家族化や宗教離れの影響から、「お墓」自体に対する価値観も多様化しています。そのような中で、「レンタル墓」という言葉を目にする機会が増えてきました。
ここでは、レンタル墓について詳しくご紹介します。
お墓が抱える問題
お墓とは、故人の遺骨を葬り、弔う場所です。お墓は遺産として相続人が均等に分割することができないため、遺産分割の際は祭祀財産(さいしざいさん)として遺産とは別に考えられます。
祭祀財産はお墓のほかに仏壇や家系図などが含まれますが、血縁のある親族によって代々受継がれ、旧民法では家督(家の跡目を継ぐもの)を継承するものが相続すると定められていました。
1947年に民法の家督相続が廃止されてからは、祖先を祭る役割を持つ相続人が祭祀財産を継承することとされており、「跡継ぎ」ではなくても継承が可能になりました。
そうは言っても一般的に考えると、お墓を継ぐのは男性、それも長兄であるというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。しかし、少子化が進む現代ではそれも難しくなっているのが現状です。
●跡継ぎがいない
少子化が進む日本ではそもそも子供がいなかったり、子供がいても女性のみだったりするケースが増えています。お墓を維持するためには費用や手間がかかるため、結婚によって配偶者の姓となって家に嫁ぐ女性にとっては、様々な面で負担が大きいのが事実です。
●お墓を維持できない
経済的に管理料を払うのが困難なケースも増えています。管理費が払われないまま放置され、墓地の管理者からの連絡にも応じない状態が一定期間続くと、遺骨は共同墓地へ移され、墓石は撤去されて権利を失うことになります。
●お墓を用意できない
また一方で、核家族化が進む中、家族が亡くなった際にお墓を購入しなければならない問題もあります。
数百万円もかかるお墓代を用意することができず、共同墓地に遺骨を葬らざるを得なくなり、共同墓地がパンク状態になっているという現状もあります。
レンタル墓とは
最近では、このような問題を解決する一つの手段として、「レンタル墓」が注目されるようになってきました。レンタル墓は「賃貸墓」とも呼ばれ、住宅をイメージしてみると分かりやすいかもしれません。
同じ住宅でも使用する期間が短ければ、購入するより賃貸のほうが安価に済むのと同じことです。同じようなサービスで「期限付き墓地」がありますが、レンタル墓地は期限付き墓地よりも土地の権利の面で価格が安めに設定されているようです。同じように住宅に例えるなら、「期限付き墓地」は「定期借地権付き住宅」といったところでしょうか。
レンタル墓の外見は普通のお墓と変わりませんので、他の人から見て「これはレンタル墓だ」と気づかれることはありません。
普通のお墓と違うのは。使用する期間が決まっているということだけです。
使用する期間は契約時に決定しますが、期間は自由に選ぶことができます。提供元のプランによって異なりますが、一般的には10年間で契約するケースが多いようです。但し、当初の契約期間内であれば途中解約や契約更新が可能なため、事情に応じて柔軟に利用できることがメリットの一つです。
以下は、レンタル墓利用料の一例です。
期間 | 初期 | 5年、10年、15年から選択できる。 |
延長 | 1年単位 | |
費用 | 5年契約で25万円 |
お墓という存在の是非については様々な考え方があり、何が正しいという事はありません。
しかし、故人の遺言や遺族の考えで墓を持たないという選択もあるでしょう。
しかし故人との接点を持てない状況に対して喪失感を感じたり、やり残したことがあるような気がしていつまでも故人の死を乗り越えることができないケースも多々あります。(グリーフケア)
残された家族に負担をかけたくない、自分たちが生きている間だけと考える場合は、レンタル墓も一つの選択肢になるかもしれません。