お葬式が終わったら
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生前から遺品に取り組む生前整理とは
遺族が遺品を整理する「遺品整理」はすでに紹介しましたが、生前に整理をはじめる「生前整理」という方法も存在します。残された遺族が、遺品整理で困ってしまうことのないように、生きているうちから遺品の整理をしておくことは、大切な家族への思いやりでもあります。ここでは、生前整理の意味と方法についてご紹介いたします。
生前整理について
●生前整理とは
生前整理とは、名前のとおり、自分が生きているうちに身の回りのものや財産を整理することです。自分が元気なうちに自分の持ち物をきっちり整理しておき、家族の負担を減らすという目的があります。本人が死去した後の遺品整理は何かと負担が大きく、遺族が非常に大変な思いをするという話はよくあることです。自分の最後を気持ちよく迎えるためにも、生前整理はある程度しておきたいものですね。
●生前整理のメリット
生前整理を行うことによって、以下のようなたくさんのメリットがあります。
【1】子が安心して親の死を迎えられる
親が元気なうちに親の持ち物の行方について話せるのは、家族にとって非常に有意義なことです。高齢になった親を持つ子にとって、親の死後のことはどうしても考えなくてはならないのですが、内容が内容なだけに、親にはなかなか切り出しにくいものです。ここで、親の方から生前整理についての話を出せば、子の負担や不安を解消するきっかけを作ることができます。
【2】相続のトラブルを防げる
生前整理はまた、遺族間の相続争いを防ぐことにもつながります。相続争いは、持ち主本人が亡くなってしまっているために起こるものです。もし不動産や大きな遺産があるのであれば、これらを予め整理してしまうのも、トラブルを防ぐひとつの方法です。
【3】自分の遺志をしっかり伝えられる
生前整理のもう一つのメリットは、自分の財産や持ち物の行く末を自分で決めることができる点です。死んでしまっては何も口出しできませんが、生前であれば自らの意志を反映させることができます。年を重ねると、どうしても判断能力が衰えてきてしまいますので、まだ元気なうちに自分の意志をしっかりと伝えておくことも大切です。
【4】入院などの万が一にも備えられる
生前整理をして身辺を整理しておくと、突然入院しなければならなくなった時なども安心です。家族に何かを取ってきてもらう場合なども伝えやすく、家族は探しやすいという利点があります。
生前整理の方法
●財産や土地を整理する方法
財産や土地、不動産などがたくさんある場合、それらを遺族が突然管理するのは大変です。また、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産があれば、それもきちんと整理しておく必要があります。これらの相続についてはトラブルの大きな原因となりますので、司法書士などの専門家の知識を借りながら見直しを行いましょう。
●要るもの、要らないものに仕分けする方法
高齢になってくると、今まで長く生きた分だけ物が蓄積してしまいがちです。しかし、高齢になってからひとりで大掃除をするのは大変なことです。
そこで、家族の手を借りて一緒に片付けるという方法があります。家族と一緒に片付ければ家族にどのような物があるのかを把握してもらえますし、弱ってしまってなかなか片付けられないといったお悩みも、これで解消することができますね。
家族が遠くてなかなか来られない場合などは、生前整理の専門業者にお願いするという手段もあります。専門業者によっては、生前整理のお手伝いだけでなく、きれいになった家を掃除してくれるところもあります。また、要らないものを処分するだけでなく、買い取ってくれる業者もありますので、生前整理によって不用品をお金に換えるのも良い点です。
●自分の死後の遺品の分け方を書きのこしておく方法
実際にある持ち物を片付けなくても、今ある持ち物を把握し直し、死後にどのように処理してもらいたいかを整理してメモしておくことも、生前整理の一つと言えます。
遺産相続のトラブルの種となりそうなものは遺書へ、簡単にメモとして残しておきたい本や服、日用品などについては、エンディングノートへ記入するという方法もあります。遺書は法的な力があるため、故人の遺志を反映することができますが、エンディングノートはあくまで意見としてしか捉えられないため、必ず従わなければならないという力はないので注意しましょう。
このように、生前整理は「人生の終わりを気持ちよく迎えるための”終活”の一環」とも言えます。のこされる家族の負担を軽減し、且つ自分の財産を自分の意志をもって整理することができるのは、生前整理ならではの利点です。ご自身にとって何が最善かを考え、納得のいく方法を見つけていきましょう。