お葬式が終わったら
お葬式が終わったら
改葬とは
先祖代々の墓を維持できず、形を変えていかなくてはいけない現代事情については「親のお墓に入る?自分の墓を建てる?」でご紹介しました。ここでは、お墓を別の場所に移すことを決めた場合、「改葬」の意味と手続きについてご紹介します。
改葬の意味
様々な理由から、先祖代々の墓を維持できない人が増えています。実家が遠方でお墓参りが難しい、海外勤務が決まった、子供がいない、またはいても娘が一人で嫁いだ後に墓を見る人がいないなど。少子化が進む中、改葬は誰にでも身近になりつつある問題です。
改葬とは、簡単に言うとお墓の「引っ越し」のことです。
今まで使用していたお墓から遺骨や遺体を他の墓や納骨堂に移動させ、現在のお墓を閉じることを指します。
改葬の方法
お墓を改葬することを決めたら、改葬先を探します。お墓の改葬は、主に以下の方法が考えられます。
●新たにお墓を購入する
●永代供養にする
●散骨する
改葬先を決めたら、以下の書類を準備します。
●「埋葬・埋蔵証明証」
現在の管理者に記載を依頼します。
●「墓地使用許可証」または「受入証明書」、「永代使用許可書」
新しい墓地の管理者に発行してもらいます。
●「改葬許可申請証」
上記の「埋葬・埋蔵証明証」「墓地使用許可証」とともに、現在のお墓のある市区町村に改葬の届出をします。
この手続きは墓地の所有者、またはその親族が行うこととされており、その他の人間が行う場合には委任状が必要になります。
市区町村によって書式は異なりますが、記載するのは概ね以下の内容です。
項目 | 内容 |
死亡者の情報 |
死亡者の氏名・性別 |
死亡者の本籍 | |
死亡者の住所 | |
埋葬または火葬の場所 | 死亡者が現在埋葬されている所在地及び名称 |
埋葬または火葬の年月日 | 死亡者を埋葬または火葬した日 |
改葬の理由 | 改葬をする理由
(新墓地設定、墓地移転など) |
改葬の場所 | 改葬先の墓地等の所在地及び名称 |
死亡者との続柄 | 死亡者と申請者の続柄 |
墓地等の管理者 | 埋蔵・埋葬されている墓地の管理者の証明 |
「改葬許可証」が発行されたら、手続きは完了です。
インターネットから書式をダウンロードできるようになっている市区町村もありますので、管轄の市区町村のホームページを確認してみると良いでしょう。
異動する遺骨が複数人の場合は、一人に一枚ずつ作成する必要があります。即日発行されるケースがほとんどですが、枚数が多い場合は時間がかかる可能性もあります。
改葬の費用
当然のことながら、改葬には費用が掛かります。もともとのお墓を閉じる手続きにかかる費用、墓石の撤去などの具体的な工事費、新しい墓の購入費用など。
以前のお墓から墓石を移設したい場合などはさらに輸送費がかかるため、改葬の費用はそれなりにまとまった資金の準備が必要になります。
以下は改葬に必要な大まかな費用になりますので、参考にしてみて下さい。
詳細 | 費用 | |
改葬許可証 | 市区町村が発行する、改葬を許可する証明書 | 数百円程度
※市区町村による |
埋蔵(埋葬)証明発行手数料 | 埋蔵、または埋葬されていることを証明する | 数百円~2000円程度
※墓地管理者による |
墓石処分・区画整理費用 | 墓地を更地にして返還する費用 | 1平方メートルあたり10~20万円程度
※業者によるため見積りが必要 |
墓石・遺骨運搬 | 墓石や遺骨を運搬する費用・墓石を処分する場合は運搬費は必要ない | 距離や重量にもよるため、見積もりが必要。移動時間が半日以内で3万~10万円程度と幅がある。 |
閉眼法要 | お墓の魂を抜く法事の費用。お布施として支払う。 | 5千円~1万円程度 |
新しいお墓の購入費用 | 遺骨の移動先。期限付き墓地、レンタル墓、永代供養、散骨など方法は様々。 | 50~300万円程度 |
新しいお墓の開眼供養 | お墓に魂を入れる法事の費用。お布施として支払う。 | 5千円~1万円程度 |
遺骨を運搬する業者の中には、いったん遺骨を預かるサービスを提供している場合もあります。墓じまいのあと、遺骨を移動させる場所の準備が間に合わない場合にはこういったサービスを利用するのも一つの手でしょう。
改葬する場合は同時に離檀するケースも多いですが、その際は離檀料も必要になります。離檀の方法と離檀料については「檀家を辞める―離団とは」「離檀料の相場とは」で詳しくご紹介していますので、参考にしてみて下さい。