お葬式が終わったら
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墓じまいの手続きと流れ
近年、墓じまいをする人が増えています。
お墓を別の場所に移す「改葬」については、「改葬とは」でご紹介しました。ここではお墓を閉じて遺骨を引き上げる「墓じまい」についてご紹介します。
墓じまいとは
墓じまいとは、その言葉の通りお墓を「しまう」ことを指します。具体的には墓石を撤去して更地にし、使用権を墓地の管理者に返還することです。
従来の日本のお墓は「●●家の墓」と家名が刻まれて、先祖代々の遺骨が納められていました。これを一族の祭祀継承者が受け継いでいくことが前提となっていました。
しかし、近年はお墓を維持していくことが難しくなって来ています。理由は様々ですが、大きく以下の4つに分けられるでしょう。
●継承者がいない
少子化、未婚の単身者の増加から継承すべき子がいない、またいたとしても女子のみで、嫁ぐ際に負担になってしまうなど、お墓を継承すべき対象がいないケースが増えています。
●核家族化
都心部を中心に核家族化が進んでおり、実家とは遠く離れた場所に住んでいるケースは少なくありません。この場合、実家に帰るのに新幹線や飛行機で移動しなければならず、お墓の管理をするのが難しくなります。
●お墓に対する価値観の変化
お盆やお彼岸には家族そろってお墓参りし、先祖を供養すると言った昔ながらの習慣に対する価値観が時代とともに変化していることも理由の一つです。「先祖代々」「一族」よりも、「個」を重視するようになり、これが負担と感じるようになりつつあります。「子供に負担をかけたくない」と考える親世代も増えています。
●離檀するため
離檀を考える際も、墓じまいが必要になります。寺院によって対応は様々ですが、離檀する際は墓じまいをして遺骨を引き上げなければならないケースがほとんどです。
墓じまいと改葬の違い
このような理由から、先祖代々の墓を閉じる人たちが増えているわけですが、「墓じまい」と「改葬」はどう違うのでしょうか。
いずれも元のお墓を閉じて返還する点では同様ですが、改葬は「改葬とは」でご紹介しているとおり、お墓のお引越しです。
理由の多くは核家族化でお墓とは離れた場所に住んでいるために管理が困難であることから、先祖代々の墓を閉じて管理しやすい場所に引っ越しをします。
これに対して墓じまいは、お墓を閉じたあとに新しい墓地を用意しません。遺骨は散骨したり、合祀を選択します。ここが改葬と墓じまいの大きな違いです。
墓じまいの理由でもご紹介しましたが、近年お墓に対する価値観が大きく変化しており、先祖を供養するのにお墓を必ずしも維持する必要はないという考える人が増えているのでしょう。
墓じまいの手順
墓じまいをするにあたっては、いくつか手続きが必要になります。墓じまいの流れと、手続きについてご紹介します。
1)親族の同意を得る
墓じまいをするにあたって、まずは親族との話合いをする必要があります。墓じまいにするのか、改葬するのか、遺骨はどうするのかなど、親族間できちんと話し合っておくと良いでしょう。
親族の同意を得ずに勝手に進めてしまうと、のちのちトラブルの原因になります。
2)寺院、または霊園に墓じまいの意思を伝える
お墓の管理者である寺院、または霊園に墓じまいの意思を伝えます。この際、「埋葬証明書」を発行してもらう必要があります。日本の法律では遺骨を勝手に埋葬することが禁じられていますので、遺骨の行き先がどこであっても埋葬許可証は必要になります。
3)閉眼供養をする
墓石を撤去する前に、「閉眼供養」を行いましょう。「魂抜き」「性根抜き」などとも呼ばれます。お墓に入っている仏様の魂を抜く儀式で、役割を終える際に行う儀式です。
4)墓石の撤去・出骨
業者に依頼して、墓石を撤去して遺骨を取り出してもらいます。遺骨はいったん自宅に保管するか、遠方の場合は輸送を依頼するようにします。
5)墓地を更地にして、管理者に返還する
業者に委託して、墓地を更地にして管理者に返還します。この際、管理者から埋葬許可証を発行してもらいます。
6)遺骨を散骨、または合祀する
改葬でなければ散骨する、または合祀を依頼した場所へ渡します。
墓じまいの費用の相場
墓じまいをするにあたっては、費用が必要になります。費用が必要になるのは墓石の撤去、更地に戻す工賃、閉眼供養のお布施などです。
多くは50万~100万円程度ですが、離檀も同時に行う場合は離檀料が発生する場合もあります。
もし永代供養を依頼していたとしても、永代使用料は返還されませんので注意が必要です。
世代が変わり価値観も変化していく中、社会的な意識も「柔軟な対応」へと変化しつつあります。家族にとってより良い方法を、継承者候補ともよく話し合っておくと良いでしょう。