お葬式の準備
お葬式の準備
お葬式費用を払う人
自分のお葬式の費用の残し方や、親のお葬式費用の備え方についてはご紹介しましたが、そもそもお葬式の費用を払うのは誰の義務なのでしょうか。総額数百万円になることもあるお葬式の費用は、そうそう気軽に支払えるものではありません。
ここでは、お葬式費用の支払い対象についてご紹介します。
法律では明確な定めはない
お葬式をするかしないかについては法的な定めがないため、お葬式を支払う対象についても法的な義務は発生しません。逆に言えば、誰でも良いということになります。故人の血縁者でなくてもかまいませんし、友人でも知人でもかまいません。
但し特別なケースを除いて、故人の遺族以外がお葬式の費用を是非払いたいというケースはまずありません。
お葬式費用の支払いには、まず参列者から渡された香典を当てます。それで足りる場合もありますが、足りない場合は差額を支払わなければなりません。
故人の遺産を差額に充てることは可能ですが、故人の預貯金を引き出すには相続人全員の承諾が必要になるため、現実的には誰かが一時的にせよ立て替える必要がありますし、故人が遺産を残していない場合もあります。
最近の判例に見る一般的な支払者
法律では定めは無いものの、親族間で支払いについてトラブルになった判例を見ると、通夜やお葬式のように故人の追悼にあたる儀式にかかった費用は、葬儀を主催した人=喪主や施主が支払うことが原則になっているようです。
火葬や埋葬などに関わる費用については、祭祀継承者(系譜や墓石、仏壇などの祭祀を継承する者)が負担するという見解が出ています。
喪主や施主になるのは親等のより近い人間であることが多い為、配偶者や子が負担することが一般的ということになります。
もちろんこれは一つの見解であり、様々な意見があるのも事実です。
過去の判例に見る支払対象
●通夜、葬儀などの追悼儀式=葬儀を主催した人(喪主、施主など)
●火葬、埋葬などの埋葬費用=祭祀継承者(「系譜」「祭具」「墳墓」を継ぐ者)
お葬式費用の支払いでよくあるトラブル
判例としては前述の通りですが、支払いに当たってはトラブルが起きやすいのも事実です。
お葬式費用の支払いでトラブルが起こりやすいのは、以下のようなケースです。
●何の相談もなく、葬儀のあとに葬儀費用の一部を請求された
上記は、長男が喪主となって葬儀を取り仕切ったため、他の兄弟姉妹は当然長男が葬儀費用を負担するものと思って口を出さなかった。しかし、後日葬儀費用の一部が請求されたというトラブルです。
兄弟姉妹で葬儀費用を分担しあうというのはごくごく一般的な支払方法ですので、これ自体には問題ありません。しかし、この場合は事前に伝えて合意を得た上で、葬儀の内容についても相談するべきです。
喪主としては兄弟姉妹間で分担するのが当然だと考えていたとしても、事前の相談が無い場合はトラブルに発展しやすく、遺族間の関係が悪くなってしまう可能性があります。
●いろいろ口を出されたので高い祭壇や戒名を選択したが、誰も費用を負担しなかった
これは上記とは逆のケースです。喪主が葬儀の内容について相談したところ、あれこれと意見を言われたため祭壇や戒名の費用がかさんだ。皆の意見を聞いて選択したことなので、当然費用は分担できるものと思っていたが、誰も費用を負担してくれなかったため、泣く泣く喪主がお葬式の費用を負担することになったというトラブルです。
これも、遺族間の関係を良好に保てない結果になりがちです。
これも当然と思わず、葬儀費用を分担する相談を事前にしておけば防げたトラブルです。
故人を見送る最期の儀式が原因で親族間でトラブルが起こってしまうのは、非常に残念なことです。
支払いでトラブルになってしまった場合
いずれのケースも事前の相談が基本ではありますが、通夜、葬儀と慌ただしく過ぎる中では相談の時間をなかなか持てないというのも事実です。
もしお葬式費用の支払いでトラブルが起こってしまった場合は、まずは話し合いで解決するのが一番です。但し、それでも結論が出ない場合は弁護士に相談するなどして、法的な判断を仰ぐことになります。
このような事態にならない為にも、親や配偶者の葬儀費用については事前に準備しておくことをおすすめします。以下の記事で準備方法について紹介していますので、参考にしてみて下さい。