お葬式の準備
お葬式の準備
お葬式は必要ないのか
遺言やエンディングノートに、「自分のお葬式はしない」ことを書き残す人がいます。遺族がその遺言を守って従った場合、どのようなことが起こるのでしょうか。お葬式をしない場合や知人を呼ばない密葬などを行う場合に起こりうる問題についてご紹介し、お葬式をすることの意味について考えていきたいと思います。
お葬式を行わないと、遺族の気持ちの整理がつかないことがある
お葬式を行わないでほしいと遺言で残す理由のひとつに、遺族に金額的・精神的な面で苦労してほしくないからという想いがあります。しかし、お葬式を行わないことで、遺族の気持ちの整理がつかないことも少なくありません。お葬式は、故人の生と死を区切る一つの儀式であることに加え、遺族が故人に別れを告げ、気持ちの整理をつける場でもあるのです。これについては、グリーフケアとお葬式でもご紹介しています。
お葬式を行う以上の負担がかかる可能性
お葬式を行わない、あるいは親族のみで密葬や家族葬を行った場合、故人の友人や知人はお葬式に参列できません。これは故人の遺志ですので問題はないのですが、友人や知人としては、やはり一度弔問して故人との別れを忍びたいと思うものです。すると、以下のような問題が発生します。
●遠い親族に反感をかうことがある
故人の遺志を汲んでお葬式を行わなかったり、密葬や家族葬で済ましてしまったりすると、通常のお葬式を挙げると思っていた親族が不満を抱いてしまう場合があります。お葬式の形式は多様化しつつある現在でも、通常のお葬式を挙げたいと考える人はまだまだ沢山いらっしゃいます。故人の遺志でお葬式の方法を変えるのであれば、事前に親族へ説明し、理解してもらうことが大切です。
●予期せぬ弔問客がお葬式や自宅に続々と訪れ、対応に困ってしまう
手紙や電話しかなかった時代に比べ、現在はメールや掲示板などで簡単に情報が流れてしまう環境にあります。密葬や家族葬の情報を流さなくても、近所に住んでいる知人や関係者にはどうしても情報が入ってしまうことがあります。特に交友関係が広かった人や商売をしていた人などは、訃報を知った友人や知人から情報が広まり、お葬式当日に驚く程の弔問客が訪れてしまう場合があるのです。
実際、少人数の家族葬で済ませる予定だった葬式に、予期せぬ弔問客が100人以上来たという例もあります。また、故人のお葬式を挙げ
なかったために、後日自宅へ突然弔問に訪れるお客様が後を絶たたない場合もあります。遺族はその度に対応を余儀なくされ、お葬式を挙げるよりも疲れてしまったという例もあります。
●時には弔問客に怒られることも
家に弔問してくださるお客様の中には、「なぜ自分がお葬式に呼ばれなかったのか」と不満をもらす方もいらっしゃいます。このような場合は、故人の遺志を汲んでお葬式をあげなかったことを伝え、前もってお伝えできなかったことを謝りましょう。
●香典返しを手配しなければならない場合がある
また、弔問客の中には、香典を持ってきてくださる方も少なくありません。香典は受け取っていないと一度断っても、どうしても…と渡されることもあるでしょう。弔問客が多く、さらに香典をもらう機会が増えるとなると、やはり香典返しを手配しなければならない事態となることも考えておかなければなりません。
このように、故人や遺族がよかれと思ってしたことが、思いもよらぬところでトラブルになってしまうことがあります。お葬式をしないと遺言を残す場合や、故人の遺志を継いでお葬式をしないと決める場合、あるいは家族のみでお葬式をすることを決める場合は、出てくる可能性がある問題についても同時に考えておく必要がありそうです。故人と深い関わりがあった方々は、故人に対して特別な想いを抱いています。この気持ちを汲み取り配慮することも、遺族として必要なことなのかも知れません。
お別れ会をするという選択肢
故人の遺志を汲み取りつつ、遺族の想いにもしっかり区切りをつけられる方法として、お別れ会を開くことも増えてきています。お別れ会は、偲ぶ会や送る会などとも言われ、故人と関係のあった友人や知人を招いて行われます。お葬式のように形式に則ったものではなく、多くは宴会場やホテルの会場などで開かれ、パーティー形式で進められるのが特徴です。
お別れ会では、故人の生い立ちからの足跡をたどる動画が流れたり、故人が好きだった音楽をかけながら立食パーティーをしたりすることもあります。お葬式のマナーなどにがんじがらめになることもなく、肩の力を抜いて過ごすことができるので、遺族も参列者も居心地の良い時間を過ごすことができます。リラックスしながら故人との思い出を語り合えば、遺された人に負担をかけたくないという故人の気持ちも反映させることができますね。