お葬式の準備
お葬式の準備
直葬や火葬式では「葬祭費用」支給されない?
国民健康保険、または社会保険加入者に対して「葬祭費用」「埋葬費用」の一部を補助する仕組みがあることは「葬儀費用は補助が受けられる」でご紹介しました。しかし、最近都心を中心に増えている「直葬」「火葬式」では、補助金が支給されないことがあります。
ここでは葬祭費の性質と、直葬・火葬式を行う際の注意点についてご紹介します。
「直葬」「火葬式」とは
直葬、または火葬式は、お通夜とお葬式がある一般的なお葬式のスタイルに対して、お通夜もお葬式も行わずに火葬のみを行うもので、どちらも同じ意味です。
都心を中心に火葬式を選択する人が増えているのは、家族葬を選択する人が増えているのと同じ理由と言えるでしょう。
火葬式の大きなメリットは、何といっても喪家側の金銭的負担が少なく済むことです。
お葬式の費用は、儀式に必要な祭壇、棺などを含む「葬儀一式費用」、会食費や香典返しなどを含む「飲食接待費用」、お布施やお車代を含む「宗教関係者費用」の三大費用に分けられます。この三大費用がかからず、火葬に必要な費用だけで済むため、費用負担を少なく抑えることが出来るのが大きな特徴となります。
もう一つの特徴は、遺族の精神的な負担が少ないことです。
大切な家族を亡くした際には、遺族は大きな精神的負担を抱えることになります。その悲しみに暮れる間もなく遺体の搬送、お通夜・お葬式の打ち合わせを済ませ、2日間にわたる儀式を喪主として勤め上げた上、参列者への対応や気配りも必要になります。
これに対し事前の準備も大幅に短縮でき、儀式自体も半日程度で済ませることができる火葬式は、遺族の精神・体力の消耗を最小限に抑えられる点も大きな特徴の一つでしょう。
葬儀費用の補助とは
国民健康保険、社会保険加入者に葬祭費用補助は「葬祭費用」「埋葬費用」の一部を補助する仕組みです。国民健康保険は「葬祭費用」、社会保険では「埋葬費用」としています。
国民健康保険法の第五十七条二節には以下のように記載されています。
その他の給付
第五十八条 保険者は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、助産費の支給若しくは助産の給付又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
各自治体に葬祭費の一部を補助する仕組みがあり、費用は自治体によって様々で、25,000~70,000円程度と幅があります。
直葬は葬祭に当たらない?
一見するとどちらも同じ費用の補助に見えますが、表現が違っています。注意が必要なのは国民健康保険の加入者で、補助の名目が「葬祭費」となっている点です。
この対象をどの範囲にするのかは金額と同様に自治体が定めており、その解釈も変わるというのが現状です。
直葬、火葬式は葬儀を行わないため、葬祭費用の補助対象にならないと判断する自治体もあれば、葬祭費用の中に火葬や埋葬も含めて考える自治体もあります。
一例として、大阪市のホームページでは以下のように書かれています。
葬祭費の支給(大阪市ホームページより抜粋)
●葬祭費
大阪市国民健康保険に加入されている方が亡くなられたときは、葬祭を行った方に50,000円を支給します。
●支給方法
亡くなられた方が大阪市国民健康保険に加入していた区の区役所保険年金業務担当に申請をお願いします。
●申請できる方
葬祭費の支給申請ができるのは、葬祭を行った方です。
申請に必要なもの
●亡くなられた方の保険証
●死亡の事実が確認できるもの(埋・火葬許可証 など)
●申請者が葬祭を行ったことが確認できるもの(葬祭費用の領収書 など)
●申請者の本人確認資料(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート など)
●申請者の金融機関口座通帳(または振込口座のわかる書類)
●誓約書
このように、大阪市では葬祭費が申請できるのは「葬祭を行った方」と明示されており、また葬祭を行ったことが確認できる領収書などの提出を求めています。
これに対し、社会保険で支給される「埋葬料」は、埋葬費用に対して補助される費用のため、直葬、火葬式でも問題なく支払いを受けることができます。埋葬料は地域に関わらず一律50,000円が支払われることになっており、直葬、火葬式の費用の相場が10万~20万円程度であることを考えると、その半分から1/4が補填されることになります。遺族にとってはありがたい補助だと言えるでしょう。
メリット・デメリットを明確に
このように、直葬、火葬式は費用を低く抑えることが可能である分、受給できない補助があることを理解しておく必要があります。詳細は住居のある自治体に問い合わせると良いでしょう。