お葬式の準備
お葬式の準備
失敗する終活事例集
「エンディングノートとは」や「自分の人生を振り返る」で、エンディングノートの書き方や必要性についてはご紹介しました。
でも実は、一生懸命準備したのに終活に失敗してしまったという人が少なからずいるようです。
ここでは、せっかく準備したにも関わらず失敗してしまった終活の例を交えながら、注意点をご紹介したいと思います。
失敗例1)自分の希望のみを優先させたエンディングノート
妻と子供二人と暮らす60代のNさんは、自分のポリシーをしっかり持った男性で、自分の死後に家族に迷惑をかけないようにと、エンディングノートを1年がかりで完成させました。
しかし、そのエンディングノートが原因で、家族から大反発にあうことになってしまったのです。いったい何がいけなかったのでしょうか。問題はその内容です。
Nさんの希望は、
●通夜も葬儀も行わず、同居の家族のみで密葬にしてほしいこと。
●戒名も墓も必要ないこと。
●自分の遺骨は散骨してほしいこと。
Nさんは「自分のために大げさなことは何もしなくて良い」ということと、「死んだ人間のために使うよりも、後に残った人間のためにお金を使ってほしい」と願っていたため、それを端的に伝えると上のような内容になったのでした。
家族と作り上げるエンディングノート
一家の主としては立派な考えですが、家族にとってはそんなに簡単には済ませられない問題です。
家族の意見を聞いてみるともっともなことも多く、Nさんは考え込んでしまいました。
Nさんの妻の考えは、大切な家族の最期には盛大でなくともできる限りのことをしたいと考えていることと、命日や何かあった時にはお墓に行ってお参りをしたい、それでないと寂しいということでした。
自分の死後のことを考えるとき、希望を伝えるのはもちろんですが、残された家族の気持ちを無視した内容になってしまっては元も子もありません。
エンディングノートは一人で作っても良いですが、家族と作り上げても良いのです。希望を書いたら家族に伝え、何度か書き直したり加筆したりしながら、時間がかかっても自分と家族が納得する内容になることが大切です。
失敗例2)エンディングノートのある場所を伝えていなかった
妻と二人暮らしの70代のTさんは、とても詳細に書き込んだエンディングノートを用意していました。
自分の財産のこと、お葬式に呼んでほしい人のこと、宗派のこと、遺品の譲り先、などなど。
身体の弱い妻が自分の死後に困らないように、ありとあらゆることを書き残し、これで何があっても大丈夫と安心していました。
ところがある日、Tさんは突然の事故で帰らぬ人となってしまったのです。
Tさんはエンディングノートを大切な場所に保管していましたが、そのことを妻には伝えていませんでした。
自分が先立つ話をすると妻が不安がるだろうという優しい思いやりからの行動でしたが、妻は結局エンディングノートを見つけることができず、Tさんのメッセージを受け取ることが出来なかったのです。
必ず家族の手に渡る方法を考えよう
葬儀や法要のすべてが終わっても妻は遺品整理をする気持ちになれず、ようやく遺品を整理する最中にエンディングノートを見つけたのはTさんの死後から1年もたった後でした。
Tさんの願い通りの葬儀ができなかった妻は大変悔やむことになり、むしろ気持ちが落ち込んでしまったと言います。
エンディングノートを作成したら必ず家族に伝えるか、信頼できる親族などに預けておくと安心です。
失敗例3)パソコンが壊れてデータが消えてしまった
50代のHさんは、現役のサラリーマンでパソコンも自由に使いこなしています。
エンディングノートはパソコンにデータで残し、必要に応じて追加や修正を行っていました。もちろん、家族にはまだ見せていません。
もうそろそろ完成かと思われた矢先、なんとパソコンが故障してすべてのデータが消えてしまったのです。
まだ作成途中だからと、他の方法で保存しておらず、結局新しいパソコンで一から作り直す羽目になってしまいました。
安全のために印刷して保管する
これが本人の存命中なら作り直せばよいのですが、本人にもしものことがあった時にいざ家族がデータを開こうとしたらデータが壊れていたり、CDに書き込んで保存していたはずが、そのCD自体が壊れてしまったりすることもあります。
パソコンで作成したエンディングノートは、必ず印刷した状態でも保管するようにすると安全です。
自分の死後の家族の気持ちは、想像をする以上にデリケートなものです。せっかく書き上げたエンディングノートが無駄にならないよう、作成時には家族と相談し、出来上がったら必ず家族の手に渡るように保管しておきたいものです。