お葬式の準備
お葬式の準備
労災の葬儀費用補助
国民健康保険、または社会保険加入者に対して「葬儀費用」「埋葬費用」などの補助がある件に関しては、「葬儀費用は補助が受けられる」でご紹介しました。
ここでは、業務上の事由で死亡した労働者に労災保険から支給される「葬祭料」についてご紹介します。
労災の葬祭料とは
労災の葬祭料とは、葬祭給付とも呼ばれるもので、労働者が通勤中、または業務上になんらかの事由で死亡した場合に、労災保険から支給される葬祭費用のことです。
●労災保険とは
労災保険は正式には労働者災害補償保険といい、労働保険の一つです。労働保険は「雇用保険」と「労災保険」の二つで成り立っており、労働者の生活や健康を守るための保険です。労災保険は、通勤途中や業務中に労働者がケガや病気を被った際、その治療費だけでなく休業中の賃金を保証し、労働者、またその家族の生活を保障してくれるものです。
但し、対象は労災保険加入者のみとなっていますので、就業先が労災保険に加入していなければなりません。
雇用主は、従業員を一人でも雇っていれば必ず加入の義務があるものです(一部強制適用対象外あり)。雇用主と雇用者双方で保険料を負担しますので、加入している場合は毎月の給与から天引きされています。気になる場合は給与明細で確認してみましょう。
●中小企業の雇用主には特別加入制度がある。
労働保険は労働者のための制度ですので、雇用主は原則的には加入できない仕組みになっています。但し、中小企業の場合は雇用主も労働者となって働くケースが多いため、要件を満たせば特別加入ができるようになっています。
以下は、雇用主でも特別加入が可能なケースの一覧です。
業種 | 従業員数 |
金融業 保険業 不動産業 小売業 |
50人以下 |
卸売業 サービス業 |
100人以下 |
上記以外の業種 | 300人以下 |
詳しくは労働保険組合に問い合わせてみると良いでしょう。
葬祭料として支給される費用
葬祭料として支給される費用は以下の通りです。
支給額1 | 315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額 |
支給額2 | 上記の額が給付基礎日額の60日に満たない場合は、給付基礎日額の60日分 |
上記いずれかの高いほうが支給されます。
例えば、給付基礎日額が8,000円だった場合は315,000円+(8,000×30日分)=555,000円になるので、8,000×60日=480,000円を上回り、支給額1が適用されます。
申請するには
葬祭費用は、業務上の事由によって死亡した労働者の葬祭を行う人を対象に労災保険から支給されます。
“葬祭を行う人”とされているため、一般的には葬祭を行う遺族に支給されます。但し、葬祭を行う遺族がいない場合はこの限りではありません。代理人や会社が遺族に代わって葬祭を行う場合は、その対象者に葬祭料が支給されます。
●手続きに必要な書類
葬祭料の請求は、以下の書類を準備して所轄の労働基準監督署へ提出します。
葬祭料請求書
葬祭請求書を所轄の労働基準監督署へ提出します。書類には以下の内容を記入する必要があります。
●労働保険番号
●年金証書の番号
●請求人の氏名、住所、死亡労働者との続柄
●振込を希望する金融機関と口座番号
●死亡労働者の氏名、住所、生年月日、死亡年月日、平均賃金
●災害の原因及び発生状況
●事業者の名称、所在地、事業主の氏名、捺印
●死亡を確認できる書類
死亡診断書、死体検案書、検視調書など
葬祭料の申請には時効があり、対象の労働者が亡くなった日の翌日から2年が経過すると請求権が消滅しますので、注意が必要です。