お葬式の豆知識
お葬式の豆知識
直葬や火葬式で読経を依頼するには
火葬式や直葬は、お葬式の儀式を行わずに火葬のみを行うことを指します。
しかし、大切な家族の最期には供養のお経だけでもあげたいと考える人もいます。
火葬のみで読経を依頼するのは可能なのでしょうか。
ここでは、火葬式や直葬で読経を依頼する方法についてご紹介します。
直葬・火葬式とは
直葬、火葬式は、どちらも同じ意味です。宗教的な儀式であるお通夜や告別式などを行わずに火葬のみを行う、とてもシンプルなお葬式です。また、参列者を広く呼ぶことはせず、故人と深い関係があった親しい人のみで行われるのが特徴です。
直葬や火葬式を選ぶ理由はさまざまですが、主に3つの理由があります。1つ目は、「一般葬に比べて経済的な負担が軽いこと」です。直葬は、およそ20~30万円程度で行えることが多く、100万円以上かかる一般葬と比べると約3~5分の1の価格であるため、金額的な負担が軽くなります。2つ目は、「充分な参列者数が見込めない場合」です。親族や知人が遠方にいたり、隣人との関係性が薄かったりする場合は、直葬を選択することが多い傾向にあります。そして3つ目は、「故人との別れを気兼ねなく行えること」です。親族と初対面の方がたくさん参列する一般葬では、何かと気を遣ったり、おもてなしをしなければならなかったりするため、親族には結構な負担がかかります。しかし、直葬の場合は気心知れたメンバーだけでお葬式ができるため、心置きなく故人とお別れできます。
直葬・火葬式のデメリット
直葬・火葬式にはこのようなメリットのある反面、メンタル面や納骨面でのデメリットもあります。
メンタル面でのデメリットは、きちんと故人を見送れなかったという遺族の後悔です。
日本のお葬式は9割が仏式と言われるほど、人の死と仏教が密接にかかわっています。一般的なお葬式ではお通夜とお葬式を行い、どちらにも僧侶を呼んでお経をあげてもらいます。
火葬式の場合はこの儀式が行われないため、見送ったあとに大切な家族の最期にきちんと供養をしなくて良かったのか?と後悔する人も少なくありません。また、読経は故人の成仏を願う儀式でもあるため、読経を行わないと故人が成仏できないのではないかと不安を覚える人もいるでしょう。
仮に家族は納得していても、のちのち親戚から苦言を呈されることもあります。
また菩提寺がある場合、納骨に関しては注意が必要です。
菩提寺が管理する墓地に納骨を考えている場合、直葬してしまうと受付けてもらえない可能性があります。
直葬したあとに納骨できないことが分かると、新たに墓地を探さなければならなくなってしまいます。そのため、直葬を検討している段階で菩提寺に相談をしておく必要があります。
直葬で読経を行う方法
このようなデメリットから、直葬・火葬式でも僧侶を呼んで読経したいと考える人もいます。結論から言うと、直葬であっても読経は可能です。
但し一般的なお葬式とは流れが異なるため、どのタイミングで僧侶を呼ぶか事前に決めておかなければなりません。
僧侶を呼んでお経をあげてもらうタイミング
お葬式を行わない場合、故人の遺体は安置場所から火葬場へ搬送することになります。
読経のタイミングはこのいずれかになります。
日本の法律では、人が亡くなってから24時間以内の火葬が禁じられています。そのため、この間どこかに遺体を安置しておく必要があります。
安置場所で読経を依頼する場合は、遺体の安置場所に僧侶を呼んでお経をあげてもらいます。
また火葬場での読経を依頼する場合は、火葬場の炉の前で読経することになります。
いずれにしても読経は5~10分ほどで、さほど時間はかかりません。逆に言うと、専門の葬儀場や寺院ではないため、読経専用のスペースがなく、長くは時間をかけられないという事情もあります。
どちらの場所で行うにしても僧侶を呼ぶことを伝え、読経の可否について確認する必要があります。
読経の依頼方法
読経を行うためには、僧侶を呼ばなければなりません。菩提寺がある場合はまず菩提寺に相談してみましょう。この際にお葬式を行わない旨を伝え、納骨についても相談してみると良いでしょう。
菩提寺がない場合は、葬儀社に手配を依頼するのがスムーズです。読経までセットになった直葬のパッケージを用意している葬儀社もありますし、パッケージがなかった場合でも火葬場の手配を含めてノウハウが豊富な葬儀社にお願いすると安心です。
読経を依頼する際の注意点は?
費用面でメリットが多い直葬ですが、読経を依頼する場合は当然のことながらお布施が必要になります。戒名は必ずしも必要ではありませんが、菩提寺に納骨を考えている場合は必要になる可能性があるため、確認しておきましょう。
戒名を頂く場合には、こちらもお布施が必要になります。
安置場所、または火葬場での読経を依頼する場合のお布施の相場は、だいたい3万~10万円程度です。但し、安置場所に十分なスペースがあって、通常の葬儀と同様の読経を頂く場合は相応のお布施が必要となります。相場については手配を依頼した葬儀社に確認すると良いでしょう。
また、読経を依頼する場所までの移動が発生しますので、お車代も必要になります。遺族側でタクシーなどの交通手段を手配する場合はこの限りではありませんが、一般的に5,000円~10,000円程度のお車代を包む必要があると考えておくと良いでしょう。
このように、直葬・火葬式であっても読経を依頼することは可能です。
但し通常の流れと異なるため、僧侶や葬儀社と事前によく確認しておきましょう。