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棺掛けの意味

棺は遺体を納めるために使う箱で、お葬式では無くてはならないものです。この棺を覆うように掛けるのが棺掛け(かんかけ)です。棺覆い(かんおおい)とも言われます。棺掛けは宗教によってその意味や種類が変わり、神式では白い布を掛けます。神式では死を「穢れ」と捉えているため、白い布を掛けることで清める意味があるのかもしれません。

キリスト教では十字架が入った黒のベルベット布があしらわれた布棺か、黒の布を掛けるのが一般的です。仏式では僧侶が身にまとっている七条袈裟を掛けるのが基本ですが、最近では袈裟ではなく様々な装飾を施された装飾布を掛けるケースも増えています。

七条袈裟とは

七条袈裟とは法衣の一つの種類で、左肩に掛けて身体を覆うようにして身体に巻き付けるものです。仏教発祥の地であるインドでは、出家した僧侶は自分の財産を持つことを一切禁じられており、衣服も例外ではありませんでした。そのため使い道のなくなったようなぼろ布の端切れを集めて身を覆う布を作り、それを身に付けていたのが袈裟の始まりです。

そういった歴史から袈裟は一枚の布からは作られず、複数の布を繋ぎ合わせて作られています。

中でも七条袈裟はその名の通り、七幅の布を横に縫い合わせられているものです。

中国や日本では袈裟の下に下衣を身に付けるため、インドで着用される袈裟よりもより装飾の意味合いが強くなっています。

袈裟には作業着に使われる「安陀会」、普段着として使われる「鬱多羅僧」、儀式の際に使われる「僧伽梨」があり、これらを合わせて「三衣」といいます。七条袈裟は僧伽梨にあたり、僧侶が寺の行事や講義、聴講、礼仏などに際して着用するもので、いわゆる礼服です。

袈裟の色によって宗派や階層を表しており、修多羅という組みひもで左肩と右胸の部分を結び留めます。但し棺掛けに七条袈裟を掛ける場合は、階層を気にする必要はありません。

なぜ七条袈裟を掛けるのか

袈裟は出家して仏陀の弟子となった僧が身にまとうものであることから、これを棺に掛けることで故人が成仏して仏陀の弟子になったことを表しています。

三衣のうちなぜ七条袈裟を使用するのかと言うと、これが僧侶の礼装に当たるからです。故人が極楽浄土へ向かう際、この七条袈裟で旅立ちの身なりを整えるという意味も込められています。棺に棺掛けを掛ける際には、七条袈裟を着る時に使う、修多羅という組み紐も添えます。

また、袈裟を身に付けたものは魔物から守られると考えられており、袈裟には魔除けの意味もあります。故人の遺体を邪悪なものから守るという目的からも使われていますが、火葬の際には棺からはずすようにします。

 

選択肢が増える棺掛け

最近ではお葬式の多様化や棺の種類が豊富になるにつれ、棺掛けも本来の意味を離れ装飾の意味合いが強くなってきています。そのため、七条袈裟ではなく、金襴が施された織物やシルクの布、レースがあしらわれた布などが使われることも増加しています。

遺族にとっては選択肢が増えるため、要望がある場合には対応してもらいやすくなっています。

例えば故人が着用していた着物や洋服を棺掛けに使ったり、故人が好みそうな図柄が施された棺掛けを選ぶことも可能で、様々な選択肢の中から幅広く選択できる状況になっているのが利点です。

中にはメッセージが記入できるものもありますので、遺族が故人への寄せ書きをすることも可能です。

何か希望がある場合は、葬儀社に相談してみると良いでしょう。

 

また、棺自体に装飾を施したものも種類が豊富ですが、装飾された棺には棺掛けを使用しないのが一般的です。

選ぶ棺のよっても対応は変わりますので、まずは仏具店や葬儀社など、棺を手配してくれる業者に相談してみると良いでしょう。

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