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法相宗の教え

法相宗は7世紀の初め、中国の唐時代に生まれた大乗仏教の一つです。西遊記で知られる三蔵法師、「玄奘三蔵」がインドに訪れた際に17年という長い年月をかけて習得した「唯識教学」が基となって開かれています。

玄奘三蔵はインドからこの思想を持ち帰ったあと翻訳に力を注いだため、宗派は玄奘の弟子である慈恩大師によって開かれました。

 

日本に伝わったのは飛鳥時代

法相宗が日本に伝わったのは7世紀頃の飛鳥時代と言われており、その後奈良時代に最も栄えた教えとして知られます。日本に法相宗を広めたのは遣唐使として唐に渡った道昭という僧で、道昭は玄奘三蔵と寝食を共にし、日本に初めて禅の何たるかを伝えた僧であると言われています。

道昭は日本に帰国したのち飛鳥法興寺で法相宗を開き、これを広めました。

平安仏教と言われる天台宗真言宗、鎌倉仏教と言われる浄土宗浄土真宗融通念仏宗などが民衆の救済に重点を置いていたのに対し、法相宗は教示である「唯識論」の追求、つまり学問に重点をおいた宗派でした。

唯識論とは、この世の全ての物事には実態が無く、心が生みだしているという考え方です。修行を重ねることによって無我の境地、悟りを開くことが出来ると言うのが法相宗の教えです。

法相宗の本山は薬師寺と興福寺

法相宗が広まったのは飛鳥時代から奈良時代です。奈良時代に最も栄えたため、法相宗の寺院の多くは奈良県にあります。

本山は奈良市西ノ京町にある薬師寺と、五重塔で有名な奈良市上大路町にある興福寺です。

清水寺や法隆寺もかつては本山の一つでしたが、いずれも第二次世界大戦後に他宗派を名乗って離脱しています。

このほかに、大阪市内にも法相宗の寺院があります。

檀家を持たない法相宗

檀家は江戸時代に寺請制度が施行されたことをきっかけに全国に広まりましたが、それよりも歴史が古い法相宗には檀家がありません。これは奈良仏教系と言われる華厳宗、律宗も同様です。但し、同じく江戸時代よりも歴史の古い平安仏教である天台宗や真言宗には檀家が存在しています。法相宗は学問を究めることに重きを置いてきた歴史があり、葬礼は行わないと言う確固たる意志があって檀家制度を持たなかったのではないかという考えもあるようです。

このように奈良仏教系の三宗は葬儀を始めとする祭礼を一切行わないため、法相宗でのお葬式やお墓を持つことはできません。

法相宗のお葬式はどうするか

お葬式を行わない法相宗ですが、お葬式自体を禁止しているわけではありません。そのため、法相宗の信者がお葬式を出す場合は、他の宗派の僧侶に依頼することになります。奈良仏教系以外の宗派ではお葬式を行っているため、まずはどの宗派に依頼するのか決める必要があります。

法相宗自体には葬礼に関する決まったしきたりはありませんので、どの宗派に依頼しても問題はありません。但し同じ仏教とは言っても宗派によって特徴がありますし、自分たちの宗派以外のお葬式には対応しないということも十分に考えられます。
墓地に関しても同様です。お葬式を依頼した宗派の墓地に入るのか、宗派が不問な霊園などに墓地を持つかのどちらかになります。

あとあとのトラブルを避けるためにも、法相宗の信者が家族にいたら、事前にお葬式を依頼する宗派やお墓について話し合っておくことをお勧めします。迷った際は葬儀社に相談するのが良いでしょう。葬儀社なら色々な宗派とのつながりがありますし、法相宗の信者が過去にどのような宗派でお葬式をおこなったか等についての経験があります。
また、どうしても宗派を決めかねるという場合は、無宗教で行うというのも一つの手でしょう。

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