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お線香とは

お線香は主に宗教儀式や供養、冥想、祈りの際に使用され、香りを通じて神聖な空間を創り出す役割があります。また、故人への思いやりや感謝の意を表し、仏壇へのお供えやお墓参りの際にも用いられます。もともとはお香として調合されて使用されていましたが、徐々に形を変えて細い棒状のものに変化していきました。

故人が成仏する四十九日の満中陰までお線香を絶やさないようにするのは、仏教には死者はお香を食べる「香食(こうじき)」という考え方があるからです。お香は古来、防臭や殺菌を狙って使用されていたため、穢れを祓うという意味を持っています。

 

一口に「お線香」と言っても、その種類は豊富にある

お線香には、実は様々な種類があります。サイズや燃焼時間、香りの質・種類だけでなく、煙の量(有煙、少煙、微煙、無煙)、香りの濃さ、灰の特性、灰の色や量、そして火種の大きさなどが異なります。現代社会では、住環境や生活様式が変わりつつあり、それに伴ってお香に求められる条件も多様化しています。
以下に、代表的なお線香である杉線香と匂い線香についてご紹介します。

杉線香

「杉線香」(すぎせんこう)は、杉の葉や小枝などを主成分としたお線香の一種です。この種のお線香は、杉の木の香りが特徴的で、清々しく爽やかな香りが広がります。杉は日本では古くから広く使われており、その香りは日本の文化や伝統に深く根ざしています。その匂いをかぐと、どこか懐かしく感じるのはそのせいでしょう。

杉線香は、元禄元年(1864)、幕末の実業家であった安達 繁七(あだち しげしち)によって日光市で製造されたのが始まりとされています。日光市では原料である杉が豊富で、現在でも杉線香の産地として有名です。また栃木の伝統工芸品の一つとなっています。主成分に花粉を含まないため花粉症の人でも安心して使用できますが、杉そのものにアレルギーがある場合は注意が必要です。しっかりとした匂いを感じることから、寺院での仏教行事やお墓参りなどの屋外で使用されることが多いお線香です。「墓線香」とも呼ばれます。

匂い線香

匂い線香は1600年頃中国から伝わったお線香で、別名「長寿香」とも呼ばれています。燃焼時間が安定していて長いことから、家庭の仏壇で使われることが多く、日本のお線香の中では最も使用されてるお線香です。

主な素材は椨(たぶ)の木で、その樹皮を粉にした椨皮粉(たぶこ)をベースとして作られています。良質な燃焼特性があるため、お線香がゆっくりと燃焼していくのが特徴です。

椨の木はクスノキ科で、常緑の高木です。成長すると高さが20~30m程になります。日本では主に四国から南の暖かい地域に分布する樹木ですが、一部東北地方にも見られます。

匂い線香には椨皮粉の他、白檀などの香木や漢方成分、アロマなどの香油も併せて使用されており、素材や形などのバリエーションも豊富です。地域や製造メーカーによって異なる配合や製法があり、それが匂い線香の種類や特徴の豊富さにつながっています。

 

竹芯香(ちくしんこう)

東南アジアで多く生産されている、40cmほどの竹ひごに香料の粉末を練りつけて乾燥させたお線香です。竹の芯も燃えるため、清新で自然な香りが特徴的です。日本ではあまり使われることはありませんが、伝統的なアジアのお線香として、東南アジアの家庭や寺院ではよく使われています。

渦巻線香(うずまきせんこう)

その名の通り、渦巻き型のお線香です。長時間燃え続けるのが特徴で、お通夜から四十九日(満中陰)までの間、焚き続けるために作られたものです。見た目は蚊取り線香のような形状をしていて、香皿などの上に置いて使用します。香の原料によって、様々な色があります。
渦巻き線香が作られたのは100年以上前の明治時代中期で、当時はお線香を絶やさないために家人がつきっきりで焚きつないでいました。しかしこの渦巻き線香によって、一日二回で済むようになりました。

 

きざみ香

匂い香を細かく粉末状にしたものを「きざみ香」と呼びます。沈香や白檀、桂皮、大茴香、安息香などの漢方の原料を細かく刻み、調合されています。香炉にくべて使用するもので、お焼香の際に使われるのは、このきざみ香です。

その他、短寸、長寸など、棒状のお線香でも様々な長さがあり、家庭用や贈答用など、場所や用途によって使い分けられています。
このように様々な香りや形状があり、シーンによって使い分けが可能です。お線香を使用する意味については、「お線香をあげる意味とは?」でご紹介していますので、参考にしてみて下さい。

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