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木魚とは

木魚は、仏具の一つです。その名の通り魚を模った木製の道具で、僧侶が読経しながら一定のリズムを刻んで打ち鳴らします。

お通夜やお葬式、法事などで見たことのある人も多いのではないでしょうか。

なぜこれが魚の形をしているかと言うと、これには諸説があります。

魚には瞼がないため、寝ている間も目を閉じることはありません。これを見た昔の人々は、魚は寝ないものと考えていました。そのため、魚のように不眠不休で修行をするように魚をモチーフにしたという説や、読経中に眠くならないよう、戒めの意味で魚の形にしたなどといった説がありますが、本当のところは定かではありません。

木魚の作り方は、一本の太い丸太を使って、中を繰り抜いて作るのが基本です。原料に使われるのは桑(くわ)、楠(くすのき)、栓(せん)、欅(けやき)などで、それぞれに特徴がありますが、最近は楠で作られたものが多く出回っているようです。

楠は幹が太く育つため、材料を大きく取りやすいという点でよく使われますが、どの原料を使うかによって音色も変わってきます。

木の棒に麻布を巻き付けた「ばい」や「しもく」と呼ばれるバチで叩きますが、一般に、素材が硬いほど甲高い音色になると言われています。

また、直系10センチほどの小さなものから、1メートルを超えるような大きなものまで様々なサイズがありますが、大きさによっても音色が変わり、大きい程重厚な音色になります。

彫った木を乾燥させる期間が必要で、一般に1年~3年ほど乾燥させますが、中には10年かかることもあります。最近では需要の減少から、生産地は愛知県の愛西市のみとなっています。

 

木魚の由来

なぜ今のように木魚が使われるようになったかについてですが、実はこれも定かではありません。

一説には、禅寺で使われていた魚板が原型だと言われています。

魚板は木魚のように丸みを帯びていない平らな板で、禅寺で修行にいそしむ層達に食事の時間を知らせるなど、主に時刻を知らせる道具として使われていました。

現在では、黄檗宗の本山である万福寺などで見ることができます。

木製で鯉や鯱(シャチ)を模ってあり、魚は目を閉じることが無いために、修行僧たちの居眠りを戒めるために使われていたと言われます。

また口には「煩悩の珠」を加えており、魚板を叩くことで煩悩を吐き出させる意味もあったようです。

これが次第に形を変え、読経の際に打ち鳴らす木魚へと変化していったと言われています。

木魚は室町時代には使用されていた記録が残っていますが、日本に広く伝わったのは江戸時代に入ってからで、黄檗宗の開祖である隠元隆琦(いんげんりゅうき)が来日した際に、木魚を使った読経のスタイルを日本に広めました。

木魚を使用する宗派

さて、読経の際に使用されている木魚ですが、全ての宗派で使われているわけではありません。

木魚を叩きながら経を読む宗派は禅宗系である臨済宗、曹洞宗、密教系である天台宗、真言宗、浄土系では浄土宗で使われます。

しかし同じ浄土系でも、浄土真宗では使われません。

浄土宗やその他の宗派では熱心に般若心経を唱えて修行することによって成仏できる、いわゆる「自力」で悟りを開くために唱えます。

これに対し、浄土真宗では誰もが成仏できるとし、阿弥陀仏の力「他力」によって浄土へ召される、いわゆる「他力本願」を説いています。そのため、浄土真宗では般若心経を唱えず、読経の際に叩く木魚も必要が無いという事になります。

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