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火葬大国、日本

日本の埋葬方法は99%が火葬で行われるため、日本にいると遺体を火葬することが当り前のように感じるかもしれません。しかし世界を見渡してみると、基本的に火葬を行わない国もたくさんあります。日本は、世界でも有数の火葬大国なのです。

理由の一つに仏教国であることも上げられますが、実は同じ仏教国でも中国では火葬の割合が70%程度と言われ、土葬の習慣が残る地域が多くあります。日本は中国に比べて国土が狭く、場所の確保が困難であることも火葬が大半を占めることの理由となっています。

 

昔の火葬方法

今でこそ近代的な火葬設備を持つ日本ですが、火葬が初めて行われたとされる700年頃の火葬方法は、もっと原始的なものでした。火が広がることの無いよう、河原や人里離れた開放的な場所で薪や藁を燃やして遺体を火葬していたと考えられます。その頃は温度の調節も難しく、今のように綺麗にお骨だけを残すことは難しかったことでしょう。

その後、歴史の中で火葬する場所を仕切ったり、火葬専門の建屋の中に火葬炉が作られたりして、現在のような近代的な火葬場が出来上がっていきました。

火葬炉の形式

火葬炉には、いくつか形式があります。日本で使用されている火葬炉の形式は、大きく分けて「ロストル式」と「台車式」の2種類あります。

 

ロストル式

ロストル式は、ロストル(火格子)の上に棺を置いて火葬する仕組みのことです。格子の下には受け皿があり、棺が燃えたあとお骨が下に落ちても受け止められる仕組みになっています。火葬にかかる時間は早ければ40分程度で終わり、燃焼効率が良いのが特徴となっています。遺体を火葬している間、骨上げの儀式まで別室で待機している遺族たちにとっては、時間の効率の良い方法と言えるでしょう。

但し、火葬中に遺骨が格子下の受け皿に落ちてしまうと、原型をとどめておくことが出来ません。遺体を焼却した後に遺骨を拾って骨壺に詰める「骨上げ」の儀式を行う日本においては、受け入れがたいと感じる遺族もいるでしょう。

東京や大阪などの都心部に多く採用されていますが、普及率は全体の一割程度のようです。

 

台車式

台車式は、日本で最も多く採用されている火葬炉の形式です。

棺を乗せた台車を、台車ごと火葬炉の中に入れて焼却するため、「台車式」と呼ばれるようになりました。

棺が燃えてなくなっても、遺骨がすぐ下の台車で受け止められるため、人の形を保ったまま火葬することが可能です。骨上げを行う際には、頭蓋骨や喉仏の位置が分かるのがメリットと言えるでしょう。未燃焼の物質が有害ガスを発生しないよう、再燃焼室が設けられるなど、環境にも配慮した設備になっています。

しかし、燃焼には1時間以上必要で、火葬が終わった後も収骨のために台車を冷やす時間が必要です。

ロストル式よりも時間が必要になり、待機時間が長くなることがデメリットと言えます。

 

火葬技師が遺体を焼却する

火葬を行うには、「火葬技師」という専門の技術者が必要です。一般に、「火夫」とも呼ばれます。遺体を焼却するといっても、お骨だけは綺麗に残さなければなりません。そのためには、炉の形式にもよりますが、おおよそ800°~1200°の間で温度を調節する必要があり、そのための専門技術が必要になります。

800°以下では有害物質が発生する可能性があり、また1200°を超えるとお骨まで焼却されてしまいます。さらに、温度は常に一定であれば良いわけではなく、子供か大人か、また体格によっても温度や時間を調節しなければなりません。

そのため、遺体を焼却するためには専門の技術を持った火葬技師が必要だったのです。

火葬技師は遺体の燃焼具合を確認しながら、火力や時間を調節します。

但し最近ではコンピュータで制御が可能な最新型の火葬炉が出現し、これを使えば火葬技師に頼らなくても火葬ができるようになりました。

火葬炉の燃料

火葬炉の主な燃料は、都市ガスや液化石油ガスです。

古くは重油や石炭、薪などが用いられてきましたが、保管場所や燃焼効率、また環境への配慮から、徐々に変化して来ました。

以前は火葬場の長い煙突から煙が出るさまを見ながら故人の成仏を願うといったシーンも見られましたが、都市ガスや液化石油ガスを使った場合、短い煙突や排煙口のみで対処が可能です。このように、最新の設備では周辺の住民に配慮された作りになっています。

 

骨上げの儀式

一般に、遺体を火葬した後はお骨を拾って骨壺に納める「骨上げ」の儀式を行います。しかしこれは日本独自のもので、他国には類をみません。

故人を大切に思う気持ちが骨上げの儀式となり、またこの日本独自の儀式のため、火葬の技術が今のように発展してきたのでしょう。

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