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なぜ地域によって違いが出るのか

日本ではお葬式の9割が仏式で行われると言われます。そのため、お葬式で行われる作法は仏教の教えに基づいているものだと勘違いしている人も少なくありません。
しかしお葬式の作法やマナーの中には、実は仏教とは関係なく地域の慣習によって行われているものも多くあるのです。

日本は島国であるものの、海側、山側、河川沿いなど、地理的条件の違いが多く、各地域独自の様々な文化が発展している国です。また、仏教が日本に伝来する以前から神道が根付いており、神道と地域の慣習が融合した作法も多く、その一部が仏式のお葬式の中に取り入れられています。
そのため、別の地域からお通夜やお葬式に参列するとその違いに戸惑うことも多くありますが、それぞれに意味のある作法ですので、その理由を知ると納得するでしょう。ここでは、一部の地域で行われている焼香銭についてと、その由来や意味、対象の地域を見てみましょう。

 

焼香銭(しょうこうせん)とは

焼香銭とは、その名の通りお焼香の際に渡す小銭のことを指します。焼香炉の乗ったお盆に100円から500円程度の小銭を乗せます。
お焼香にはいくつか方法があり、参列者が順番に仏前に移動してお焼香をする方法と、「まわし焼香」といって、お盆に乗せられた香炉が回ってくる方法があります。

仏前に移動してお焼香をする場合は、小銭を持って仏前に行き、賽銭箱に入れてからお焼香を行います。まわし焼香の場合は、お盆に乗った香炉が回ってきたらお盆の上に小銭を置き、お焼香をします。お焼香が終わったら次の人にお盆を回します。
最後の人はお焼香が終わったらお盆を喪主に渡し、喪主が小銭の乗ったお盆を仏前に供えます。いずれもお焼香の作法は通常と同様で、宗派の作法に合わせて行うようにします。
地域によっては小銭を袋に入れて渡す場合もあります。

 

焼香銭を行う理由

なぜこのようなことを行うのかと言うと、実は同じ慣習でも地域によって意味合いが変わります。
一部では、参列者がお香を持参していたことの名残だと言われています。

本来は持参すべきお香をお寺や葬儀場で準備してくれているということで、お焼香銭として小銭を渡すというものです。

また、三途の河の渡り賃だと考える説もあります。
仏教の教えでは、人は亡くなったあと三途の川を渡って向こう岸へ向かうと考えられています。
三途の川はあの世とこの世を隔てる境界線となっており、人は死後七日後にこの川を渡りますが、流れの穏やかな場所もあれば急な場所もあったりと、必ずしも簡単に渡れるものではありません。

そこで故人が無事に向こう岸へとたどり着けるよう、渡し舟に乗る渡し賃として小銭を置くという説です。
三途の河の渡し賃としては、六導銭のように、紙に印刷されたものを棺の中に入れることもあります。

参列者から渡された焼香銭は、お寺に渡すのが通常です。

焼香銭が行われている地域

この焼香銭の風習は全国どこでも行われているものではなく、限られた地域に残った風習です。
新潟県・富山県・愛知県・兵庫県・広島県などで行われていますが、それも全域ではなく、一部でのみ行われている場合もあります。

また、どの地域でも同じように行われているわけではなく、通夜と初七日法要の時だけ行う地域もあれば、葬儀や法要などの全ての儀式で行う場合もあります。お通夜とお葬式では行わず、法要の時のみに行う場合など、地域によって様々です。

 

作法の確認

このように地域特有の慣習である焼香銭ですが、他府県に住む人にとっては作法が分からず戸惑うことがあるでしょう。

また、他地域からの参列者が常に小銭を用意しているわけではありませんので、すぐに出せる小銭が無い場合もあります。その場合は慌てずに焼香のみ済ませて、お通夜やお葬式などの儀式が終わった後に葬儀場のスタッフに確認すると良いでしょう。

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