お葬式の豆知識
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ペットロス症候群とは
ペットを亡くした飼い主の多くが経験する「ペットロス症候群」。実に9割の人が経験すると言われるペットロス症候群とは、どのような状態を指すのでしょうか。また、どのようにケアするのが良いのでしょうか。
大切な人を亡くしたあとのメンタルケアについては「グリーフケアとお葬式」でご紹介しました。ここでは、大切なペットを無くした飼い主が抱える喪失感、ペットロス症候群とそのケアについてご紹介します。
ペットをとりまく環境の変化
近年ペットを取り巻く環境は大きく変化しています。以前の動物たちは、「使役動物」として人間の作業を補助するために飼育されて来ました。
しかし、最近ではペットを家族の一員として扱うことが増え、「伴侶動物」と呼ばれるようになっています。外飼いが一般的だった犬の飼育も、最近では室内が主流になりました。
核家族化や少子化が進む昨今では、ペットは家族にとってかけがえのない存在になっています。
ペットの健康を気遣う飼い主のために、動物病院もここ10年ほどで20%近く増加しています。
こういった環境の変化を受けてペットの寿命も長くなる傾向にあり、12~18歳程度と幅はあるものの14、5年が平均値となっています。これだけ長い時間を家族として一緒に過ごせば、飼い主の愛情もひとしおでしょう。
ペットロスとは
14、5歳といえば、人間なら中学生の年齢です。
自分の意思であらゆることが出来るようになり、外の世界も広がり、親から少しずつ離れていく年齢です。しかしペットはいつまでも小さな子供のように世話が必要で、飼い主は毎日のように手間をかけることになります。その日常がいつまでも続くように感じてしまうため、亡くした時の喪失感は計り知れないものがあります。
その大きな悲しみと喪失感を感じる状態を、「ペットロス」と言います。
これはペットを亡くした多くの飼い主が感じる正常な感情ですが、時にそれが重症化し、悲しみを克服することが困難になる時があるのです。
そうなると、精神面や身体面に深刻なダメージが現れます。
ペットロス症候群の症状
ペットロスの状態には段階があり、それは否認、怒り、罪悪感、抑うつとして表れます。
●第一段階-否認
ペットを亡くした悲しみのあまり、無意識にその事実を否認しようとします。しかし、既にこの世にはいないペットが再び目の前に現れることはないため、その死を受け入れざるを得なくなります。
●第二段階-怒り、罪悪感
ペットの死を受け入れざるを得ない状況になると、次第に怒りの感情が現れます。それは最後の処置を行った獣医師であったり、逝ってしまったペットであったり、自分よりも悲しんでいるように見えない家族であったり。また、ペットを死なせてしまった自分に対してであったりします。
●第三段階-受容
ペットの死に悲しみ、怒り、罪悪感にさいなまれた後の抑うつ状態を超えると、次第に状況を受け入れられるようになっていきます。もちろん、すぐに受け入れられるわけではなく、数か月から1年ほどかかることもあります。しかし、時間をかけながら少しずつ悲しみが和らいでいき、ペットの死を受け入れられるようになると、思い出を幸せなものにできるようになります。
ペットロス症候群はこの「受容」の段階に進むことができず、怒りや罪悪感にさいなまれた挙句、次第に抑うつ状態になっていきます。不眠、倦怠感、食欲不振、めまいなどの症状が現れるようになり、重症になると、うつ病に進行していくこともあります。
ペットロス症候群のケア
ペットを家族として愛していた人ほど、ペットロスを乗り越えるのは大変です。無理に乗り越えようとしたり、周りから早く立ち直るように促されるのは大きな負担となります。
まずは自分の悲しい気持ちに目をそらさず、むしろ向き合ったほうが良いでしょう。
涙を流すことをためらわず、声を出して泣いてもかまいません。自分の悲しみをしっかりと表現することがまずは第一歩です。
家族と共にペットの想い出を語り合ったり、写真や動画を見返すのも良いでしょう。はじめは悲しみがこみあげてくるかもしれませんが、悲しいと思う気持ちを抑え込まないことが大切です。
同じようにペットを失った体験を持つ人と話すのも、気持ちを整理する良い方法です。ペットとの別れを悲しんでいるのは自分だけではないと思えるだけで、気持ちが救われることもあります。
新しいペットを迎えるというのも一つの手です。もう悲しい思いをしたくないからと、次のペットを飼うのをためらう人も多く、株式会社PLAN-Bの調査によれば新しいペットを迎える人は4割にも満たないそうです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000068228.html
しかし、ペットとの生活が幸せに満ちていればいるほど、ペットのいる生活をもう一度経験したいと思うのは至極自然なことかもしれません。
愛情が深い程ペットの死はつらいもの。早く元気になろうと無理をせず、ゆっくりと受け入れて行くのが良いかもしれません。