facebookでシェア twitterでシェア
神葬祭は太古から伝わる葬儀

 神道は、不特定の神様を信仰する多神教のことで、日本固有のものです。神式の葬儀は、この神道におけるお葬式のことを指します。

神道は仏教よりも歴史が深く、太古から信仰されてきたといわれています。神道は、地上に存在する森羅万象は神によってつくられ、その全てには神が宿るという考えのもとに成り立っています。故人が亡くなった際には、その霊を家の守り神となってもらえるよう、葬儀という形で儀式を行います。

神式で行うお葬式は全体の数%とも言われ、ごく少数派です。これは、江戸時代に檀家制度がつくられたことが大きく影響しています。檀家制度がつくられる前は神道派がたくさんいましたが、檀家制度ができたことで、神道の人であっても仏式のお寺に属する必要があったからです。明治維新後に檀家制度が廃止されて以降は、徐々に神道のお葬式を行うことができるようになりましたが、制限されている期間が非常に長かったため、神道派の人が激減してしまったものと推測されます。

神式3

神葬祭の流れ

それでは、神葬祭の流れをご紹介しましょう。


帰幽奉告

故人の死亡が確認された後、まずは神棚と祖霊舎(それいしゃ)に捧告し、神棚の前に白紙を貼ります。病気の祈願などをした神社があるような場合は、親族などが参拝するか、遠方から神社へ向けて礼拝をし、祈願を解きましょう。


枕直しの儀、納棺の儀

枕直しの儀では、故人を清めて白の小袖を着せ、北枕で寝かせます。米や塩、水、酒などを供える祭壇は、前面に設けます。

納棺の際は、棺に新しい布団を入れ、入棺します。棺の前面には神饌(しんせん)を供えて装飾し、礼拝を行いましょう。神饌とは、白米に加え、海の幸や山の幸などのごちそうのことを指します。旬の食べ物や地域の名産などが供えられることもあります。


通夜祭・遷霊祭

通夜祭は、仏式でいう通夜にあたります。仏式ではお寺で行われることがありますが、神道では死を穢れ(けがれ)とするため、神社では行いません。一般的には、自宅あるいは祭儀場などで行われます。

通夜祭で行われる主な儀式は、「祭詞奏上(さいしそうじょう)」と「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」です。神職が祭詞を奏上し、遺族は玉串を奉って拝礼する儀式です。参列者は、式が始まるまえに手水(ちょうず)で手や口を清める「手水の儀」を行います。

神式2

通夜祭の後は、遷霊祭(せんれいさい)が行われます。遷霊祭は、故人の霊を霊璽(れいじ)に遷す儀式で、「御霊移しの儀」ともいわれています。この儀式によって、故人の霊は亡骸から離れ、霊璽へと移されます。


葬場祭

葬場祭は、仏式でいう告別式にあたります。通夜祭で行ったように、手水の儀によって手口を清め、お祓いをする「修祓(しゅばつ)の儀」、「祭詞奏上」、「玉串奉奠」などの儀式、弔電の奉呈・奉読などが行われます。故人と最期の別れを行う場であり、神葬祭の中でも最も重きをおく儀式です。


火葬祭

火葬祭は、故人を火葬する前に行われる儀式です。神職による祭詞奏上と、親族による玉串奉奠が行われます。


埋葬祭

埋葬祭は、遺骨を埋葬する儀式です。神式のお葬式では、火葬後すぐに埋葬するというしきたりがありますが、現在では一度家に安置し、五十日祭で埋葬することが多いようです。五十日祭は、仏式でいう四十九日にあたります。

仏式では供養の一つとして通夜振るまいがありますが、神式で通夜振るまいにあたるのは「直会(なおらい)の義」です。
神式には供養という概念がないため、神事に参列した人たちが神酒と神饌を食する行事の一つと考えると良いでしょう。

神式1

神式で行う法要については次の記事でご紹介しています。「神式の法要

併せて参考にしてみて下さい。

関連する記事

Related Articles

お葬式の豆知識

カテゴリで記事を探す

Category Articles