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北枕とは

北枕とは、その言葉の通り北に枕を向けて寝ることを言います。仏教の開祖である釈迦が、入滅の際に頭を北、顔を西に向け、右わきを下に向けて横たわる「頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)」の姿勢をとったことに由来しています。

釈迦が「頭北面西右脇臥」で横たわった「涅槃図(ねはんず)」は様々な人の手によって描かれていて傑作も多いため、誰でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。その顔を向けた西には極楽浄土があると言われ、周りには弟子たちが嘆き悲しむ姿が描かれています。

こういったことから、死に際して釈迦と同じ姿勢を取ることで、故人が極楽浄土に迷わず向かえるようにとの思いを込め死者の枕を北に向ける習慣が出来ました。本来仏教の教えで北枕を縁起の悪いものとしたり、生者が北を枕にすることを禁じる教えはありません。

 

北枕02

日本独自の忌み事

このように、「北枕」の本来の意味は釈迦が最後に取った姿勢を死者に模倣させることで、成仏を祈るためのものでした。しかし死を忌むものとして捉える日本では、「お釈迦様が亡くなった時に枕を向けていた方角」を悪いものとする考えが広がり、「北枕」=「死」の象徴と捉えられるようになったことが「縁起が悪い」とされるようになった所以のようです。

死者と同じ姿勢を取ることで、「死」そのものを呼び寄せてしまうのではないかと考えられたためです。

北枕には諸説あり、右わきを下に向けるため心臓の負担を減らし、むしろ体に良いと言われたり、風水では北を枕にすると運気が上がるという考え方もあったりします。

また、同じ仏教国のインドや中国では、日本と違って「北枕」が縁起が悪いという考え方はありません。仏教の教えを発端とした、日本独自の考え方のようです。

 

北枕01

故人を北枕に寝かせる

故人を北枕にするためにはいくつか作法がありますので、簡単にご紹介しましょう。

搬送から納棺までの間は、遺体を自宅か葬儀場に安置します。布団に白いシーツをかけ、死装束を着せて両手を胸の前に合わせ、頭には白い三角巾、顔には白い布を掛けます。この時に頭を北に向けた「北枕」の方角に向け、その先に枕飾りを飾ります。

これは仏式の方法ですので、神式やキリスト教式では特に「北枕」を気にする必要はありません。

住宅事情で、北枕にして遺体を安置することが難しい場合は、顔だけでも極楽浄土の西に向けてあげると良いでしょう。

詳しくは「安置とは」「枕飾りとは」でご紹介しています。

 

北枕03

 

 

 

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